Chrome V8ゼロデイCVE-2026-11645、野生で悪用確認——2026年5件目の緊急パッチ

概要 Googleは2026年6月8〜9日、ChromeのJavaScriptエンジン「V8」に存在する高深刻度のゼロデイ脆弱性(CVE-2026-11645)を修正する緊急セキュリティアップデートをリリースした。CVSSスコアは8.8で、攻撃者が細工したHTMLページをユーザーに閲覧させるだけで、ブラウザのサンドボックス内で任意コードを実行できる。Googleは「野生でのエクスプロイトが存在することを確認している」と声明を出しており、実際の攻撃への悪用が認められている。 修正済みバージョンはWindows・macOSが149.0.7827.102/103、Linuxが149.0.7827.102。Chrome以外にもMicrosoft Edge、Brave、Opera、Vivaldi等のChromiumベースブラウザが影響を受けるため、各ベンダーの対応アップデートへの更新も必要となる。 技術的な詳細 CVE-2026-11645の根本原因は、V8エンジンにおける**バッファ外読み書き(Out-of-Bounds Read/Write)**だ。ヒープ破損を引き起こし、ASLR(アドレス空間配置のランダム化)などのメモリ保護機構を迂回できる状態が生じる可能性がある。攻撃は細工されたHTMLページを介してリモートから完結するため、ユーザーに特別な操作を求めない点が危険度を高めている。 脆弱性は匿名の研究者「303f06e3」が2026年4月27日にGoogleへ報告し、責任ある情報開示(Responsible Disclosure)に対して5万5,000ドルのバグバウンティ報奨金が支払われた。公開時点では技術的詳細やProof-of-Conceptコードは非公開とされており、大多数のユーザーが修正版を適用するまで情報制限が維持される見通しだ。 2026年のChromeゼロデイ連続発生 今回のCVE-2026-11645は、2026年に入って実際の攻撃で悪用が確認された5件目のChromeゼロデイとなる。過去4件はCVE-2026-2441、CVE-2026-3909、CVE-2026-3910、CVE-2026-5281であり、年間を通じてChrome V8を中心とした攻撃が継続していることが浮き彫りになっている。 組織・個人を問わず、ブラウザのアップデートは最優先の対応事項だ。Chromeのアップデートは「メニュー → ヘルプ → Google Chrome について」から適用でき、適用後はブラウザの再起動が必要となる。企業環境では、古いバージョンの残存確認と集中管理による強制更新も推奨される。

June 14, 2026

ShinyHuntersがOracle PeopleSoftゼロデイ(CVE-2026-35273)を悪用、大学など100超の組織からデータ窃取

概要 ハッカーグループShinyHuntersが、Oracle PeopleSoft Enterprise PeopleToolsに存在するゼロデイ脆弱性CVE-2026-35273を悪用し、大学を中心とした世界100以上の組織に侵入してデータを窃取した。Googleのセキュリティ部門Mandiantはこの攻撃キャンペーンを「UNC6240」として追跡しており、活動期間は2026年5月27日から6月9日にかけてと特定している。Oracleは6月10日に帯域外のセキュリティアドバイザリを公開して緩和策を提供したが、これは攻撃期間が終了した後であり、ゼロデイとして放置されていた期間に対する批判を受けている。 脆弱性の技術的詳細 CVE-2026-35273はCVSSスコア9.8(Critical)の深刻な脆弱性で、PeopleSoft PeopleToolsのUpdates Environment Management(PSEMHUB)コンポーネントに存在するリモートコード実行(RCE)の欠陥だ。認証不要かつユーザー操作も必要とせず、HTTP経由のネットワークアクセスがあれば攻撃者が任意のコードを実行できる。影響を受けるバージョンはPeopleTools 8.61と8.62で、サポートが終了した旧バージョンも同様に影響を受ける可能性がある。 ShinyHuntersは本脆弱性を含む「既存の既知脆弱性と今回のゼロデイを組み合わせたガジェットチェーン」で初期アクセスを獲得したと自ら認めている。攻撃者はポート8888でPythonのSimpleHTTPを実行する公開ステージングサーバーを介して侵入し、MicrosoftのAzureバイナリに偽装したカスタムMeshCentralリモート管理エージェントを展開した。その後、ハードコードされた認証情報を利用したSSHによる横移動を行い、侵害されたディレクトリ内に「README-IF-YOU-SEE-THIS-YOUVE-BEEN-HACKED.TXT」というマーカーファイルを残した。 被害状況と影響を受けた組織 Mandiantは100以上の組織に対して脆弱性を通知したと報告している。標的となった組織の68%が高等教育機関であり、その大半が米国内の大学だ。攻撃者はおよそ300インスタンスへの侵害を確認した。被害を公表したノッティンガム大学(University of Nottingham)では、約45万5,000件のメールアドレスが漏洩し、そこには氏名・住所・電話番号・パスポート番号・障害情報といった機密性の高い個人情報が含まれていた。 ShinyHuntersはこれまでSaaSプラットフォームを主な標的としていたが、今回の攻撃はエンタープライズERPシステムへのターゲット拡大を示しており、ソーシャルエンジニアリング中心の戦術から技術的な脆弱性悪用へと能力が進化していることが示された。 Oracleの対応と推奨される緩和策 Oracleは緊急のセキュリティアドバイザリとして、PSEMHUBサービスの無効化、またはネットワーク境界での/PSEMHUB/*エンドポイントへの外部アクセスのブロックを推奨している。Webアプリケーションファイアウォール(WAF)のルールのみでは不十分とされており、組織はより踏み込んだ対処が求められる。 侵害の痕跡(IoC)として、予期しない.jspウェブシェルファイル、logsやpersistantstorageといった不審なディレクトリ、永続化目的で改ざんされた可能性のある最近変更されたXMLファイルが挙げられる。PeopleSoftを利用している組織はただちにパッチ適用と上記IoC調査を実施することが強く推奨される。

June 14, 2026

3億3600万ユーロを洗浄した暗号資産マネーロンダリングサービス「AudiA6」、欧州当局が摘発

概要 Europolと11カ国の法執行機関が2026年6月10日、暗号資産マネーロンダリングサービス「AudiA6」の解体に成功した。2021年の稼働開始以来、ランサムウェアグループをはじめとする多数のサイバー犯罪組織のために総額3億3600万ユーロ(約4億ドル相当)超の不正資金を洗浄してきたとされる。ジョージアでウクライナ人とロシア人の管理者2名が逮捕されたほか、30台以上のサーバーと25ドメインが押収・閉鎖、80台超の車両と複数の不動産も没収された。暗号資産は69万2000ユーロが凍結、8万6000ユーロが差し押さえられている。 サービスの手口と技術的詳細 AudiA6は「産業規模」の資金洗浄プラットフォームとして機能していた。盗まれた他人の身分証明書を用いて複数の暗号資産取引所に数千件の不正口座(マネーミュール口座)を開設し、6,000件以上のKYC(本人確認)レコードをそれらに紐付けて追跡を困難にしていた。顧客からは洗浄額の3〜10%の手数料を徴収し、「クリーン」にした資金を約1時間以内に返却するという迅速なサービスを売りにしていた。ロシア語話者の仲介者が資金移動を支援し、複雑なトランザクションチェーンを構築することで資金の出所を隠蔽していた。 捜査の経緯とつながり 捜査の転機となったのは2025年9月のポーランド警察による捜査で、ウクライナ人容疑者1名を逮捕した際に押収したデバイスから、ネットワーク参加者を特定する重要な情報が得られた。AudiA6の管理者らはサイバー犯罪者向けダークウェブマーケットプレイス「Dark2Web」も運営しており、今回の作戦でこちらも同時に閉鎖された。また、2022年に発生したLastPassへの不正アクセスで盗まれた資金の一部もこのサービスを通じて洗浄されていたことが明らかになっている。米国ではこの2名に対し共謀罪とマネーロンダリング罪で起訴状が提出されており、有罪となれば各罪で最長20年の禁固刑が科される可能性がある。 今後の影響 Europolは今回の摘発について「数億ユーロ規模の不正収益を洗浄するために使われていた重要な金融パイプラインを遮断した」と評価している。本作戦にはEuropolとEurojustに加え、米国シークレットサービス(USSS)、IRS犯罪捜査部(IRS-CI)、ポーランド警察など11カ国の機関が参加した。ランサムウェア攻撃の収益化を支える洗浄インフラへの打撃は、サイバー犯罪エコシステム全体の弱体化につながるとみられており、国際的な協調捜査の有効性を改めて示す事例となった。

June 13, 2026

ServiceNow、APIバグによるセキュリティインシデントを公表——未認証アクセスで顧客データが外部に露出

概要 ServiceNowは2026年6月9〜10日、認証バイパスを許すAPIバグにより顧客インスタンスのデータが外部から閲覧可能な状態にあったセキュリティインシデントを公表した。問題のエンドポイントは /api/now/related_list_edit(および /api/now/related_list_edit/create)で、設定上 requires_authentication=false となっており、有効な認証情報を持たない外部ユーザーでも顧客インスタンスのテーブルを参照できた。主に「Australiaプラットフォームリリース」を使用する顧客、またはそれより古いリリースで特定の設定変更を行っていた顧客が影響を受けるとされている。ServiceNowは2026年6月5日にホスト型インスタンスへのセキュリティアップデートを適用済みで、当該エンドポイントは認証必須の設定に変更された。 インシデントの経緯と発覚までの遅延 ServiceNowが最初にこの脆弱性の報告を受けたのは2026年4月22日で、バグバウンティプログラムへの機密提出という形だった。しかし実際にパッチが適用されたのは6月5日であり、報告から修正まで約6週間の空白が生じている。BleepingComputerの報道によると、悪用の疑いがある活動は6月初旬に確認されており、この期間中に攻撃者が同エンドポイントを利用して顧客データを参照した可能性がある。同社は不審なAPIアクセス元としてIPアドレス 51.159.98.241 を特定し、その後「この活動はバグバウンティに関連したセキュリティ研究者または顧客主導のリサーチに起因するものと見られる」との見解を示した。 潜在的な影響とリスク ServiceNowのインスタンスには通常、ITサービスチケット、従業員レコード、資産インベントリ、セキュリティレポートといった組織内の機微情報が格納されている。同社はどのようなデータが実際にアクセス・取得されたかについて具体的な情報を公開していない。また、一部のRedditユーザーは「Australiaリリース以外のバージョンでも外部アクセスの痕跡が確認できた」と報告しており、影響範囲が同社の公式発表より広い可能性も指摘されている。影響を受けた顧客にはサポートケースを通じてインシデント通知が送付されており、通知を受けていない顧客は影響外とされている。 管理者向け対応策と情報開示の限界 TechRadarは影響を受けた可能性のある管理者が取るべき対応として、/api/now/related_list_edit へのリクエストをログで確認すること(特にIPアドレス 51.159.98.241 からのアクセス)、露出した可能性のあるレコードを精査すること、サポートワークフロー経由で共有されたパスワードやトークンをローテーションすること、そしてAPIロギングの有効化を確認することを推奨している。一方で同社はインシデントの詳細に関する情報開示を極めて限定的に留めており、公式ナレッジベース記事へのアクセスにはログインが必要な設計となっている。バグバウンティによる発見から修正まで約6週間を要した点、および実際にアクセスされたデータの内容が明かされない点は、影響を受けた顧客にとって依然として大きな懸念として残っている。

June 12, 2026

Microsoft 2026年6月Patch Tuesday:200件の脆弱性と6件のゼロデイ修正、直後に新たなDefenderゼロデイ「RoguePlanet」も発覚

概要 Microsoftは2026年6月のPatch Tuesdayにおいて、過去最多規模となる200件のセキュリティ脆弱性を修正した。このうち33件がCritical評価であり、28件がリモートコード実行(RCE)に関するものだった。脆弱性の種類別では、特権昇格(EoP)が65件、RCEが55件、情報漏洩が30件、スプーフィングが27件、セキュリティ機能バイパスが19件、DoSが7件という内訳となっている。今回のアップデートには6件のゼロデイ修正が含まれており、そのうち5件は公開済み、1件は実際に悪用が確認されていた。 修正された6件のゼロデイの詳細 今回修正されたゼロデイの中でも特に注目を集めているのが、研究者「Nightmare Eclipse」によって2026年5月にパッチより約1か月前に公開された3件の脆弱性だ。同研究者はMicrosoftの脆弱性開示プロセスへの抗議としてPoC(概念実証コード)を公開していた。 YellowKey(CVE-2026-45585):Windows回復環境(WinRE)のバックドアとして機能するBitLockerバイパス脆弱性。物理アクセスを持つ攻撃者がTPM単体で保護されたシステムの暗号化を迂回可能。Windows 11およびWindows Server 2022/2025が対象。 GreenPlasma(CVE-2026-45586):Collaborative Translation Framework(CTFMON)に存在する特権昇格脆弱性。ローカル攻撃者が完全にパッチ済みのWindowsシステムでもSYSTEM権限のシェルを取得できる。 MiniPlasma(CVE-2020-17103):Cloud Files Mini Filter Driverの特権昇格脆弱性。Google Project Zeroが元々報告したもので、同様にSYSTEM権限の取得を許す。 HTTP/2 Bomb(CVE-2026-49160):HTTP.sysにおけるDoS脆弱性。HTTP/2ヘッダー圧縮を悪用してメモリ枯渇とサーバーダウンを引き起こす可能性がある。 CVE-2026-50507(bitskrieg):BitLockerのバイパスをもたらす2つ目の脆弱性。「必要なファイルにアクセスできませんでした」エラーを発生させ、WinREによる修復が必要になる場合がある。 CVE-2026-42897:Exchange Server(Outlook Web Access)のスプーフィング脆弱性。細工されたメールを通じて任意のJavaScriptを実行可能で、今回唯一実際に悪用が確認されていた脆弱性。 修正直後に発覚した新ゼロデイ「RoguePlanet」 Patch Tuesdayのリリース数時間後、同じ研究者Nightmare Eclipseがさらに新たなゼロデイ「RoguePlanet」を公開し、セキュリティコミュニティに衝撃を与えた。この脆弱性はMicrosoft Defenderのレースコンディションを悪用するローカル特権昇格(LPE)であり、KB5094126を含む完全にパッチ済みのWindows 10/11環境(正式ビルドおよびCanaryビルドの両方)でSYSTEM権限のコマンドプロンプトを起動できることが確認されている。CVE番号は現時点では割り当てられていない。 研究者によれば、「エクスプロイトは成功するかどうかが不確定だが、一部のマシンでは100%の成功率を達成した」という。なお、元々はSMB共有上の仮想ハードディスク(.vhd/.vhdx)ファイルを対象としたRCEとして開発されたが、Microsoftの防御強化によりLPEへとダウングレードされた形だ。ThreatLockerがエクスプロイトの動作を独自に確認しており、PoCコードは研究者のセルフホスト型リポジトリで公開されている。Microsoftはまだパッチも公式声明も出していない。 対応と今後の見通し 今回のPatch Tuesdayは規模の大きさだけでなく、Nightmare Eclipseによる連続的なゼロデイ公開という文脈でも注目されている。同研究者はMicrosoftの脆弱性開示慣行への不満から、修正リリース前後に相次いでPoCを公開しており、今後も追加の公開が行われる可能性がある。RoguePlanetに対する暫定的な緩和策としては、アプリケーションの許可リスト(allowlisting)の導入が有効とされている。企業および個人ユーザーはできる限り早急に今月の更新プログラムを適用するとともに、RoguePlanetのパッチが提供されるまでエンドポイント保護の強化を検討することが推奨される。

June 11, 2026

VeeamのBackup & ReplicationにCVSS 9.4の重大なRCE脆弱性、低権限ドメインユーザーによる任意コード実行が可能

概要 Veeam Backup & Replication(VBR)に、CVSSスコア9.4の重大なリモートコード実行(RCE)脆弱性CVE-2026-44963が発見された。影響を受けるのはバージョン12.3.2.4465以前のすべてのv12系ビルドで、Windowsドメインに参加しているバックアップサーバー上で、認証済みの低権限ドメインユーザーが任意のコードをリモート実行できる。脆弱性はwatchTowrの研究者Sina Kheirkhah氏が責任ある開示のプロセスで報告した。Veeamは修正済みバージョン12.3.2.4854を既にリリースしており、すべてのユーザーに対して早急なアップデートを推奨している。 技術的な詳細 本脆弱性の悪用条件は、バックアップサーバーがWindowsドメインに参加していることだ。これはVeeam自身がセキュリティ上のベストプラクティスとして「バックアップサーバーをドメインに参加させないこと」を推奨しているにもかかわらず、多くの環境でドメイン参加が行われているという現実を突いた攻撃経路となっている。攻撃者はActive Directory環境のごく低い権限のアカウントを持つだけで、バックアップサーバー上で任意コードを実行し、システム全体の侵害につなげることができる。なお、バージョン13.x系はアーキテクチャの変更により本脆弱性の影響を受けない。 影響範囲と対策 Veeamは世界55万社以上の顧客を抱え、Fortune 500企業の82%が同製品を導入している。バックアップサーバーはランサムウェアグループにとって最優先の標的であり、侵害されるとデータ窃取やバックアップ機能の無効化によって被害組織の復旧を阻むことができる。過去にはVBRの4件の脆弱性がCISAによって積極的に悪用が確認されたとして警告されており、今回も修正パッチのリリース後にリバースエンジニアリングを通じた攻撃の試みが加速する可能性が高いとVeeam自身も警告している。対策としては、バージョン12.3.2.4854への即時アップデートに加え、バックアップサーバーをドメインから切り離すというVeeamの推奨ベストプラクティスへの準拠が重要となる。

June 11, 2026

Cisco Catalyst SD-WAN Managerのゼロデイ脆弱性CVE-2026-20245が悪用被害—パッチ未提供のまま対策を急ぐ

概要 Ciscoは2026年6月初旬、Catalyst SD-WAN Manager(旧SD-WAN vManage)に存在する高深刻度の脆弱性CVE-2026-20245(CVSS 7.8)が実際の攻撃に悪用されていることを確認した。この脆弱性は不十分な入力検証に起因するコマンドインジェクションであり、netadmin権限を持つ認証済み攻撃者が細工されたファイルをアップロードすることでroot権限による任意コマンドの実行が可能になる。Ciscoは一部のケースでエッジデバイスへの設定変更が行われたことを確認しているが、今回の悪用を行った脅威アクターは特定されていない(関連する認証回避脆弱性CVE-2026-20127については、脅威活動クラスタUAT-8616が2023年から悪用してきたとされる)。現時点でCiscoはこの脆弱性に対するパッチを提供しておらず、回避策の適用が急務となっている。 攻撃チェーンと技術的詳細 この脆弱性の悪用には段階的な攻撃チェーンが用いられていることが確認されている。攻撃者はまずCVSS 10.0(最大値)の認証回避脆弱性CVE-2026-20182、またはCVE-2026-20127を利用して初期アクセスを獲得し、netadmin権限を手に入れる。その後、CVE-2026-20245を悪用して細工されたファイルをシステムにアップロードし、コマンドインジェクションによりrootとして任意のコマンドを実行する流れだ。 影響を受けるのはオンプレミス展開に加え、Cisco SD-WAN Cloud-Pro、Cisco SD-WAN Cloud(Cisco Managed)、Cisco SD-WAN for Government(FedRAMP)と幅広い展開形態に及ぶ。侵害の確認には /var/log/scripts.log の不審なエントリを調査することが推奨されており、ネットワーク管理者は早急なログ確認が求められる。 回避策と推奨対応 Ciscoはパッチが用意できていない現状を踏まえ、CVE-2026-20182の修正を含むSD-WANソフトウェアバージョンへのアップグレードを暫定的な対策として推奨している。攻撃チェーンの起点となるCVE-2026-20182を封じることで、CVE-2026-20245への到達そのものを困難にする狙いだ。一連の脆弱性は連鎖して悪用されるケースが確認されているため、組織は影響を受けるシステムの特定とアップグレード計画の策定を急ぐ必要がある。エンタープライズネットワークの根幹を担うSD-WANインフラを標的とする攻撃が現実に進行中であり、対応を先送りにするリスクは高い。

June 9, 2026

MagentoのMirasvit Cache Warmer拡張機能に認証不要RCE脆弱性CVE-2026-45247(CVSS 9.8)—CISAがKEVに追加

概要 米国サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)は2026年6月3日、Magento向けフルページキャッシュ拡張機能「Mirasvit Cache Warmer」に存在するリモートコード実行(RCE)脆弱性CVE-2026-45247(CVSSスコア9.8)を既知悪用脆弱性(KEV)カタログに追加した。この脆弱性はバージョン1.11.12未満の全バージョンに影響し、認証なしに攻撃者がサーバー上で任意のPHPコードを実行できる。実際の攻撃が米国・英国・フランス・オーストラリアのゲームおよびビジネスサイトで確認されており、連邦機関には2026年6月6日までの対処が義務付けられた。 脆弱性の技術的詳細 CVE-2026-45247の根本原因はPHPオブジェクトインジェクション(信頼できないデータの逆シリアル化)にある。攻撃者はCacheWarmerクッキーに細工したシリアル化PHPオブジェクトを注入することで、デシリアライズ処理をトリガーする。同拡張機能はデシリアライズ時にクラスを制限しないため、Magentoコア内に存在するガジェットチェーンと組み合わせることでRCEへ昇格できる。認証不要かつネットワーク越しに悪用可能なため、CVSSスコアは最高水準の9.8に分類された。 セキュリティ研究者の観測によると、攻撃ペイロードはBase64エンコードされたシリアル化オブジェクトとして送信される。侵害の検知には、CacheWarmerクッキー内にCacheWarmer:(Tz|Qz|YT)というパターンが含まれるリクエストの有無を確認することが有効とされている。 攻撃のタイムラインと影響範囲 パッチは2026年5月25日にリリースされ、翌5月26日に脆弱性が公開された。その直後から脅威アクターによる悪用が開始されており、パッチ適用猶予がほぼ存在しない状況でエクスプロイトが広まった。CDNによるIPマスキングを考慮すると実際の影響店舗数はさらに多い可能性がある。 Impervaが観測した攻撃活動では、主にゲーム系および一般ビジネス系のECサイトが標的とされており、地理的には英語圏およびフランスを中心に被害が確認されている。 対処方法と推奨事項 Mirasvit Cache Warmerを利用している管理者は直ちにバージョン1.11.12以降へのアップデートを実施する必要がある。KEVカタログへの追加により、米国連邦政府機関は2026年6月6日を期限として対処が義務付けられているが、民間組織においても同様の緊急度で対応することが推奨される。パッチ適用が即座に困難な場合は、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)でCacheWarmerクッキーの異常なペイロードをフィルタリングする緩和策も有効とされている。

June 9, 2026

CISAがSolarWinds Serv-UのDoS脆弱性CVE-2026-28318をKEV登録、6月19日までにパッチ適用を義務化

概要 米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は2026年6月5日、SolarWindsのファイル転送ソフトウェア「Serv-U」に存在する高深刻度のサービス拒否(DoS)脆弱性(CVE-2026-28318)を既知悪用脆弱性(KEV)カタログに追加した。この脆弱性はCVSSスコア7.5と評価されており、野外での積極的な悪用が確認されたことを受けての措置となる。CISAはBinding Operational Directive(BOD)22-01に基づき、連邦民間行政機関(FCEB機関)に対して2026年6月19日までに修正版を適用することを義務付けた。また、民間組織に対しても速やかな対応を強く推奨している。 脆弱性の技術的詳細 CVE-2026-28318は、Serv-Uにおける「制御されないリソース消費(CWE-400)」に分類される欠陥だ。攻撃者は認証なしに、Content-Encoding: deflate ヘッダーを含む細工されたPOSTリクエストをServ-Uサーバーに送信するだけで、サービスを過剰なリソース消費状態に追い込みクラッシュさせることができる。攻撃に必要な複雑度は低く、ユーザーの操作も不要なため、遠隔から容易に悪用可能な点が深刻とされている。 SolarWindsは2026年6月4日に修正版「Serv-U 15.5.4 Hotfix 1」をリリースしており、それ以前のすべてのバージョンが影響を受ける。即時パッチ適用が困難な組織向けの緩和策として、アクセスを既知のIPアドレスに限定することや、content-encoding を含むPOSTリクエストをブロックする設定が推奨されている(なお、この機能はアプリケーション上必須ではない)。 露出状況と影響範囲 インターネット上への露出状況も懸念材料となっている。Shodanの調査では12,000件以上のServ-Uインスタンスがインターネットに公開されており、Shadowserverもさらに約3,100台のサーバーを追跡している。これらすべてが脆弱なバージョンを実行しているとは限らないが、パッチ適用率は依然として不明であり、未対応のシステムが多数残存している可能性がある。現時点でランサムウェアグループによる悪用との関連は報告されていないが、認証不要で実行可能な攻撃の性質上、早急な対応が求められる。

June 8, 2026

AIエージェントがFFmpegで21件のゼロデイ発見、Chrome 149は過去最多の429件を修正

概要 2026年6月6日、セキュリティ界に2つの大きなニュースが同時に飛び込んだ。セキュリティ企業depthfirstの自律型AIエージェントが広く使われているメディアライブラリFFmpegに21件の未知の脆弱性(ゼロデイ)を発見したことと、GoogleがChrome 149のリリースで過去最多となる429件の脆弱性をパッチしたことだ。いずれもAIが脆弱性発見の加速に与える影響を改めて浮き彫りにする出来事となった。 AIエージェントによるFFmpegゼロデイの発見 depthfirstが開発した自律型AIセキュリティエージェントは、動画・音声処理の定番ライブラリであるFFmpegを解析し、21件の未知の脆弱性を発見した。特筆すべきはそのコストで、今回の一連の調査にかかった費用はわずか約1,000ドルに過ぎなかった。 発見された脆弱性の多くはヒープオーバーフローおよびスタックオーバーフローであり、TSデマクサーやVP9デコーダーなど、パーサーやデマクサーコンポーネントに集中していた。中には2003年から存在していたスタックオーバーフローをはじめ、15〜20年以上にわたって誰にも気づかれずにコードに潜伏し続けていたバグも含まれる。21件のうち9件にはCVE識別子(CVE-2026-39210〜CVE-2026-39218)が付与され、研究チームは動作するProof-of-Conceptコードも公開している。 Chrome 149:史上最大規模のセキュリティアップデート Googleは同日、Chrome 149(バージョン149.0.7827.53/54)をLinux・Windows・macOS向けにリリースした。今回のリリースに含まれるパッチ数は429件と、Chromeの歴史上1回のリリースで修正した脆弱性の数として過去最多を更新した。この数は2025年1年間にChromeで修正されたセキュリティ脆弱性の合計の数倍に達する規模だ。 429件のうち22件はCritical(重大)に分類されており、そのほとんどがUse-After-Free(UAF)エラーだ。内訳はUse-After-Free 110件、不十分な入力検証 88件、不適切な実装 60件、高リスクの脆弱性 87件、中〜低リスク 320件となっている。影響コンポーネントではWebGLライブラリのANGLEが37件と最多で、次いでExtensionインターフェースとメディア処理がそれぞれ18件だった。 最も深刻な脆弱性はCVE-2026-10881(CVSS 9.6)で、ANGLEグラフィックスエンジンの範囲外読み書きを突くことでChromeのサンドボックスを突破し、OSレベルのコード実行につながる恐れがある。Googleはこの脆弱性の報告者に97,000ドルのバグバウンティを支払った。ほかにもNetworkコンポーネントのUAFであるCVE-2026-10882に43,000ドル、ANGLEの範囲外書き込みCVE-2026-10883に5,000ドルが支払われており、外部研究者への支払総額は約209,000ドルに達している。なお429件のうち371件はGoogle自身が内部で発見したものだ。 AIが変えるセキュリティリサーチの展望 今回のFFmpeg事例が示すのは、AIが脆弱性発見の速度と規模を根本的に変えつつあるという現実だ。1,000ドルという低コストで20年以上前から潜む脆弱性を21件発見できるなら、従来の手動ペネトレーションテストや静的解析と比較して経済性は圧倒的に高い。Googleはすでにこのトレンドを意識しており、AI生成のバグ報告が急増していることに対応するためバグバウンティプログラムの運用を見直している。ただしChrome 149の429件についてGoogleはAIによる発見だとは説明しておらず、重大バグの大半はGoogle社内のセキュリティチームによる発見で、AIとの関連はバグ報告の「量」にあって「発見そのもの」ではないとされる。それでもAI生成のバグ報告が急増している事実は、セキュリティ研究においてAIの存在感が急速に拡大していることを示している。なお、Chrome 149ではセキュリティ修正に加えてPDF編集機能(注釈・署名)も追加されており、ユーザーは「ヘルプ → Google Chrome について」から手動で更新を確認できる。

June 7, 2026