Magentoのメールテンプレート機能にCVSS10.0の「BlockStrap」、AIで短期間に悪用コード作成の恐れ
概要 eコマースセキュリティ企業のSansecは、Magento/Adobe Commerceのメールテンプレート処理に存在する脆弱性「BlockStrap」(CVE-2026-103849)を公表した。CVSSスコアは最高値の10.0で、認証なしに任意のPHPコードをリモート実行できる。影響を受けるのはAdobe Commerce・Magento Open Source 2.4.9以下、およびAdobe Commerce B2B 1.5.3以下で、2026年9月以前のリリースを適用している環境が対象となる。Adobeは10月13日付でセキュリティ公告APSB26-153を公開し、修正パッチを提供済みだが、優先度は「priority 2」(30日以内の対応を推奨)とされており、Sansecはこの対応期限を待たずに即時適用するよう強く呼びかけている。 「二段階ディレクティブインジェクション」の仕組み BlockStrapは、9月に公開された別の脆弱性「StyleSmuggler」への対策として導入された「署名済み信頼ディレクティブ」の仕組みを逆手に取った攻撃だ。Magentoのメールテンプレートエンジンは、子テンプレート内の値を署名したうえでルートレベルで再スキャンする設計になっているが、この再スキャン処理が攻撃者の制御下にあるデータに含まれる"{{block}}“ディレクティブをそのまま実行してしまう。つまり攻撃者は、子テンプレートに悪意のあるコンテンツを注入し、それが署名・再処理される過程でより高い権限レベルのコードとして実行される、という二段構えの抜け道を突く。発見者はセキュリティ研究者のvozecで、Sansecは公表後24時間以内に4種類の異なるコード実行経路を再現できたとしている。 悪用の懸念と対応策 Sansecが最も強く警告しているのは、悪用までのスピードだ。攻撃経路自体は複雑だが、同社は「AIエージェントを使えば誰でもパッチを逆解析して実際に動くエクスプロイトを比較的短時間で作成できる」と指摘し、優先度1の脆弱性でありながら公表から3日で大規模な悪用に発展したStyleSmuggler事例と同様の展開を警戒している。現時点で実際の悪用は確認されていないが、研究者らは攻撃が近いうちに始まると予想する。対策としては、10月のリリースだけでなく9月のホットフィックス(VULN-39341)も併せて適用する必要があり、標準的なComposerによるインストールだけでは不十分だという点が注意点として挙げられている。運営者にはSansecの無料診断ツールeComscanでパッチ未適用や侵入痕跡の有無を確認すること、また同時期に公表されたStyleSmuggler関連の対策も合わせて実施することが推奨されている。