身元確認サービス企業IDScanから運転免許証など1億6600万件超が流出、ダークウェブ「Nexus」で販売
概要 米ルイジアナ州に拠点を置く身元確認サービス企業IDScan.netは、クラウドプラットフォームへの不正アクセスにより、運転免許証のスキャンデータなど大量の身分証明書情報が流出したことを確認した。同社は2026年9月1日頃に不審なアクセスを検知し、9月4日に自社サイトで「不正な第三者が顧客情報にアクセスまたはコピーした可能性がある」と公表した。流出したデータには、米国・カナダの運転免許証スキャン1億5300万件、身分証明書1000万件、旅行書類300万件、医療カード57万9000件が含まれ、氏名や政府発行の身分証番号、免許証のスキャン画像そのものも対象となっている。IDScanは車のレンタル会社、小売業者、金融機関、大麻販売店など幅広い業種に本人確認技術を提供しており、影響の裾野は広い。 発覚の経緯とダークウェブでの流通 事件が表面化したきっかけは、セキュリティジャーナリストのBrian Krebs氏による報道だった。Krebs氏は、ロシア系サイバー犯罪フォーラム「Exploit」上で、ダークウェブサービス「Nexus」がこの巨大な身分証明書データベースへのアクセスを広告していることを突き止めた。Krebs氏自身のバージニア州運転免許証を、販売者が無料サンプルとして提示していたため、Krebs氏はデータの実在性を自ら検証できたという。IDScanは、Nexus上での完全なデータアクセスには金銭の支払いが必要だったとしつつも、影響を受ける可能性のある個人への通知を進めていると説明している。Krebs氏の報道とFBIの捜査開始後、Nexusはダークウェブ上から姿を消したが、犯罪者側がデータベースの複製を保持している可能性は高いとみられている。 対応状況と今後の見通し IDScanは「システムの保全のため直ちに対策を講じ、事案の全容と範囲を特定するためサードパーティの専門家チームと連携した」と説明し、データセキュリティに関する社内ポリシーや手続きの見直しも進めているとする。影響を受けた可能性のある顧客に対しては、無償のクレジット監視・身元保護サービスを提供している。捜査面では、報道を受けてFBIニューオーリンズ支局が正式に捜査を開始しており、IDScanも当局への協力を表明している。運転免許証や身分証明書のスキャン画像はなりすまし犯罪に直結しやすい機微情報であり、1億件を超える規模での流出は、被害者にとって長期的な本人確認詐欺のリスクを残す事案として注視される。