ワークフロー基盤Temporal、エージェント型AI需要で5.5億ドル調達し評価額125.5億ドルに倍増
概要 ワークフローオーケストレーション基盤を手がけるTemporalが、5億5000万ドルのシリーズE資金調達を実施し、評価額は125億5000万ドルに達した。今年に入ってからの評価額の倍以上に相当する規模で、ラウンドはLightspeed Venture Partnersが主導し、Wellington Management、Goldman Sachs Growth Equity、Tiger Globalが共同主導を務めた。T. Rowe PriceやSV Angelも有力な参加投資家として名を連ねた。a16z、Sequoia、Indexなど既存投資家も継続して出資している。背景にあるのは、OpenAIやNVIDIAをはじめとする大手AI企業が本番環境でエージェント型AIシステムを運用する中で、Temporalの提供する「Durable Execution(耐久実行)」技術への需要が急拡大していることだ。 Durable Executionが支えるエージェント型AI Temporalの中核技術であるDurable Executionは、数日から数ヶ月にわたって実行され続ける長時間ワークフローを、障害発生時にも自動的に状態を保持したまま復旧できるようにする仕組みだ。生成AIモデルが推論を担う一方で、Temporalはその裏側で外部サービスの障害や一時的な停止が起きても多段階のAIエージェントの処理が中断・破綻しないよう、実行状態の保存や失敗したステップの再試行を管理する「配管」の役割を果たす。CEOのSamar Abbas氏は、信頼性はAI以前から不可欠な要素だったが、AIの普及によってその重要性がさらに高まったと述べ、開発者が開発初期の段階から基盤として組み込む必要性を強調している。 急成長を示す各種指標 Temporalの年間経常収益(ARR)は前年比200%以上の伸びを記録し、ネットドルリテンションも2月以降200%を超える水準を維持している。8月時点の処理アクション数は1.9兆件に達し、前年比350%以上の増加となった。オープンソース版の導入数は4300万件超(2025年12月比134%増)、有料顧客数も4300社超(前年比139%増)に拡大している。主要顧客にはOpenAI、NVIDIA、Snap、Netflix、JPMorgan Chaseなどが名を連ね、Snapは1日あたり4億1400万件のストーリー配信にTemporalを利用し、OpenAIの利用規模はこの1年で60倍に拡大したという。 資金使途と今後の展望 調達した資金は、この1年で570人規模まで倍増したチームを土台としたグローバルでの事業展開の拡大、プラットフォーム基盤の強化、エンタープライズ向けのセキュリティ・信頼性の向上などに充てられる方針だ。エージェント型AIが実験段階から本番運用へと移行するにつれ、複雑な多段階処理を止めずに稼働させ続けるインフラの重要性は今後さらに増すとみられ、Temporalは主要AI企業との連携を軸に、オーケストレーション基盤としての地位をさらに固めたい考えだ。