CohereとAleph Alphaが合併、評価額200億ドルの大西洋横断「主権AI」企業が誕生

概要 カナダのエンタープライズAI企業Cohereは2026年4月24日、ドイツのAIスタートアップAleph Alphaとの合併を発表した。両社は「大西洋横断AIパワーハウス」の設立を謳い、MicrosoftやGoogleといった米国シリコンバレー系AIプロバイダーへの主権的代替として市場に打って出る構えだ。合併後の企業評価額は約200億ドルとされ、SchwarzグループがCohere のシリーズEラウンドに€5億(約6億ドル)のストラクチャードファイナンスを投資する。取引は2026年中に正式クローズされる見込みだ。 合併の戦略的背景 Cohere CEOのAidan Gomezは、Aleph Alphaが持つ「スモール言語モデル、欧州言語処理、トークナイザー技術」がCohereの汎用大規模言語モデルと相補的な関係にあると指摘する。Cohereは2025年時点で年間経常収益2億4,000万ドルを計上していた一方、Aleph Alphaの収益規模は小さかったが、ドイツ政府や欧州規制産業との深い関係と専門的な技術資産を持つ。両社の組み合わせは、収益基盤と欧州特化の技術・顧客基盤を統合し、防衛・エネルギー・金融・医療・製造・通信・公共セクターを主要ターゲットとするエンタープライズAI市場を狙う。 「主権AI」の文脈と課題 この合併は、データが米国テックジャイアントのインフラを経由することへの懸念が高まる欧州で、「AI主権」への需要に応えるものだ。カナダとドイツは両国間で「ソブリン・テクノロジー・アライアンス」を立ち上げており、政府レベルでの後押しも追い風となっている。Schwarz Group(Lidl・Kauflandを擁するドイツ小売大手)にとっても、傘下のSovereignクラウドプラットフォーム「STACKIT」の主要顧客を確保するという戦略的メリットがある。 ただし、欧州企業や政府機関がカナダ・ドイツ合弁の新会社を真の「主権AI」として受け入れるかは不透明な部分も残る。CohereがIPOにより株式を広く分散させた場合、所有権が国際化し「主権性」の訴求が薄れるリスクも指摘されている。エンタープライズAI市場でSilicon Valleyの覇権に対抗できる競争力を持続的に維持できるかが、合併後の最大の問いとなる。 今後の展望 合併は2026年内のクローズを目指しており、完了後はカナダ・ドイツ双方の人材と技術を統合した新体制が整う見込みだ。規制産業向けのデータ管理とプライバシー保護を強みとしながら、欧州および国際市場での顧客獲得を加速させる戦略が軸となる。「大西洋横断パワーハウス」が掲げる主権AI路線が、AIプロバイダーの地政学的再編の呼び水となるかが注目される。

April 27, 2026

SoftBankによるDigitalBridge約40億ドル買収、株主の96%が承認——ASIビジョン実現へ次世代AIインフラ基盤を獲得

概要 SoftBank Groupによるデジタルインフラ投資会社DigitalBridge Group買収計画が、2026年4月23日に開催されたバーチャル形式の特別株主総会で承認された。投じられた票のうち約96%(約1億2,118万株)が賛成し、メリーランド州法および買収契約が定める過半数要件を大きく上回った。買収は1株あたり16.00ドルの現金払い、企業価値総額は約40億ドル(約6,200億円)で、2025年12月26日終値に対して15%のプレミアムが付いている。 DigitalBridgeの事業と規模 DigitalBridgeはデジタルインフラ資産への投資・運用を専業とするグローバル企業で、運用資産残高は1,080億ドル(約16兆円)に達する。データセンター、携帯基地局、光ファイバーネットワーク、エッジインフラを中心に30年以上の投資実績を持ち、次世代AIサービスに不可欠な物理インフラの開発・資金調達・スケールアップを手掛けてきた。CEOのマーク・ガンジー氏のもとで培われたこのノウハウこそが、SoftBankが今回の買収で獲得したい最大の資産とみられる。 ASIビジョンと戦略的意義 SoftBank会長兼CEOの孫正義氏は買収の狙いについて「AIが世界中の産業を変革するにつれ、より多くの計算資源・接続性・電力・スケーラブルなインフラが必要になる」と語っており、同社が掲げる「人工超知能(ASI)」プラットフォームへの進化という長期ビジョンに直結する投資と位置付けている。DigitalBridgeの取得によりSoftBankは、AI向け次世代データセンターの建設・運営・資金調達を一貫して担う能力を社内に取り込む。Vision Fundを通じたAIソフトウェア企業への出資に加え、物理インフラ層も自社グループ内で完結させる垂直統合戦略の一環だ。 クローズに向けたスケジュールと体制 株主承認の取得に続き、残る完了条件は各国規制当局による承認など通常の手続きのみとなり、取引は2026年後半のクローズを見込んでいる。買収完了後もDigitalBridgeは独立した運営プラットフォームとして存続し、引き続きマーク・ガンジーCEOがリーダーシップを担う予定。既存のポートフォリオ企業や投資家との関係に直接的な変更は生じない見通しで、SoftBankグループの一員として資本力とネットワークを活かした事業拡大が期待される。

April 27, 2026

Intel Q1 2026決算、売上136億ドルで市場予想を大幅超過——株価24%急騰は1987年以来最大の上昇

概要 Intelは2026年4月23日、2026年第1四半期(Q1 2026)の決算を発表し、売上高135.8億ドル(前年同期比+7%)、調整後EPS0.29ドルという結果でアナリスト予想(売上高123.6億ドル、EPS0.01ドル)を大幅に上回った。この好結果を受けて翌取引日の株価は約24%急騰し、1987年以来最大の一日上昇率を記録した。6四半期連続で業績予想を超える快挙となり、Intelの業績回復への期待が一気に高まっている。 部門別業績と技術的詳細 事業セグメント別では、データセンター・AI部門(DCAI)が前年比22%増の51億ドルと最大の成長を遂げ、市場予想の44.1億ドルを大きく超えた。クライアント向けのCCG(Client Computing Group)は前年比1%増の77億ドルと堅調に推移。Intel Foundryは前年比16%増の54億ドルを記録した。AI関連ビジネス全体では売上の60%を占め、前年比40%増と高い成長率を示している。 一方、GAAP基準では営業損失が31億ドル、EPSが-0.73ドルと大幅な赤字が続いており、高い設備投資が重なって調整後フリーキャッシュフローは-20億ドルとなっている。現金・短期投資は328億ドルを確保しており、財務基盤自体は維持されている。 AIとCPU需要を活かした復活戦略 CEO Lip-Bu Tan氏は「AIエージェントの台頭により、CPUおよび高度なパッケージングソリューションへの需要が大幅に増加している」と述べ、同社の競争優位を強調した。CFO David Zinsner氏は先進パッケージング技術について、従来は1顧客あたり数億ドル規模と見ていたが、現在は数十億ドル規模の事業になりうるとの強気な見通しを示した。 戦略的パートナーシップも着実に積み上げられており、GoogleはXeon 6プロセッサの採用とカスタムASIC開発での協業を発表。NVIDIAのDGX Rubin NVL8システムにもXeon 6が採用された。さらにSpaceX、xAI、TeslaといったElon Musk関連企業とのチップ製造協力も明らかになった。製品面では、Xeon 600(ワークステーション向け)、Core Ultra 200S Plus/200HX Plus(デスクトップ・モバイル)、Intel 18Aプロセス採用のCore Series 3など多数の新製品を投入している。 今後の見通しと課題 Q2 2026のガイダンスとして、売上高138〜148億ドル、調整後EPS0.20ドルを示し、アナリスト予想(売上高130.3億ドル、EPS0.09ドル)を再び上回る水準となった。コスト削減も継続しており、従業員数はQ4 2025の85,100人からQ1 2026末には83,200人へと縮小している。 ただしGAAPベースの営業損失が31億ドルにのぼる構造的な課題は残っており、ファウンドリー事業の黒字化にはまだ時間がかかると見られる。市場では好決算が「不快な現実を隠している」との指摘もあり、製造コストの最適化や設備投資回収の道筋が今後の評価を左右する重要な焦点となる。

April 26, 2026

SK Hynix、2026年Q1に過去最高の四半期業績——AI向けHBM需要が売上を3倍に押し上げ

過去最高の財務業績 SK Hynixは2026年4月23日、2026年第1四半期(1Q26)の決算を発表し、あらゆる主要指標で過去最高を更新した。売上高は52.5763兆ウォンで、前四半期比60%増・前年同期比198%増という驚異的な伸びを記録した。1四半期の売上高が50兆ウォンを超えたのは同社史上初めてのことだ。 営業利益は37.6103兆ウォン(前四半期比96%増、前年同期比405%増)、営業利益率は72%と過去最高水準に達した。純利益も40.3459兆ウォン(前四半期比165%増、前年同期比398%増)を計上した。通常、第1四半期は季節的な需要低迷期にあたるが、AIインフラへの投資拡大がその影響を完全に打ち消した形となった。また、現金および現金同等物は54.3兆ウォンに積み上がり、有利子負債19.3兆ウォンを差し引いたネットキャッシュポジションは35兆ウォンに達した。 HBMとAIメモリが牽引 今期の業績を支えた最大の要因は、AIデータセンター向け高帯域幅メモリ(HBM)の急増する需要だ。HBMに加え、サーバー向けDRAMモジュールや企業向けSSD(eSSD)など高付加価値製品の販売が好調で、全体の収益性を大幅に押し上げた。SKグループのチェ・テウォン会長はHBMの供給不足が2030年まで続く可能性を示唆しており、需給のタイト感は当面継続するとみられている。 製品面では、1cnmプロセス(10nmクラス)を採用したLPDDR6の量産立ち上げや、192GB SOCAMM2の量産開始など新世代製品の展開も進んでいる。NAND分野ではCTF技術を適用した321層QLCのクライアントSSD(cSSD)「PQC21」を開発したほか、高性能TLCおよび高容量QLCのeSSDラインアップでAI需要への対応を進めている。また、Solidigmとの協業により高容量QLC eSSD分野での優位性確保も目指している。 今後の見通しと投資計画 同社は今後の見通しについて、エージェンティックAI(Agentic AI)の普及がインフラ全体でのメモリ需要を底上げするとして、DRAMとNAND双方で「有利な価格環境が継続する」と予測している。設備投資面では、M15X工場のランプアップ(生産能力増強)、竜仁(ヨンイン)クラスターのインフラ整備、EUV露光装置の確保に重点を置く方針だ。AIの進化がメモリへの需要構造を根本的に変え、SK Hynixにとって長期的な成長の追い風となっている。

April 26, 2026

SpaceXがIPO申請書で「Terafab」計画を公開——Tesla・xAI・IntelとGPU自社製造へ

概要 SpaceXはIPO(新規株式公開)に向けて証券取引委員会(SEC)に提出したS-1登録書類の中で、GPU(グラフィックス処理ユニット)を自社設計・製造する野心的な計画「Terafab」を公表した。この施設はテキサス州オースティンに建設される予定で、Elon Musk氏が率いる電気自動車メーカーのTesla、AI企業のxAIに加え、半導体大手のIntelが共同パートナーとして参画する。SpaceXはロケット製造や衛星通信(Starlink)での膨大なコンピューティング需要を抱えており、外部サプライヤーへの依存を減らすことが急務となっている。 Terafabの技術的な詳細 Terafabプロジェクトはチップの設計から製造、パッケージングまでを一貫して手掛ける「垂直統合」モデルを採用する計画で、年間1テラワット(1兆ワット相当)以上の演算能力の供給を目標に掲げている。これはAI・宇宙開発・自動運転など各社が抱える莫大なGPU需要を内製で賄うことを意図しており、NvidiaをはじめとするGPUサプライヤーへの依存度を大幅に低下させる狙いがある。Intelの参画はファウンドリ(受託製造)や先端パッケージング技術の提供という形での協力が想定されるとみられる。 チップ供給リスクとコスト削減が主な動機 S-1書類の中でSpaceXは、半導体の供給制約とコスト上昇を投資家へのリスク要因として明示しており、これが今回の計画の直接的な動機となっている。AIブームに伴うGPU需要の急増により、Nvidiaの最新チップは長期にわたる入荷待ちが常態化しており、価格も高騰している。Tesla・xAIもStarship打ち上げ管制・FSD(完全自動運転)・Grokモデルの学習など大量のGPUを必要としており、三社が協調して内製化を目指すことで調達リスクの分散とスケールメリットの獲得を図る。 今後の展望 Terafabの具体的な稼働時期や投資規模は現時点で明らかにされていないが、SpaceXのIPO申請という形で計画が公式に示されたことは、その実現に向けた本格的なコミットメントを意味する。巨大テック企業によるAIチップの内製化はGoogleのTPU、AmazonのTrainium、MicrosoftのMaiaなど先行事例があるが、ロケット企業が複数の異業種パートナーと組んでGPUの垂直統合製造を目指す試みは異例だ。実現すれば半導体業界における競争構図に新たな変化をもたらす可能性がある。

April 26, 2026

AnthropicとAmazonが戦略的提携を大幅拡大、5GWコンピュート確保と双方向で1000億ドル超の投資契約

概要 Anthropicは2026年4月、Amazonとの戦略的提携を大幅に拡大する契約を発表した。AnthropicはAWS上で今後10年間(2036年まで)に1,000億ドル以上を支出することを約束し、見返りにAmazonは即時50億ドルを投資する。Amazonの商業目標達成に応じて最大200億ドルの追加出資も予定されており、今回の契約によるAmazonの潜在的な総投資額は最大250億ドルに達する。これまでのAmazonの累計投資額は80億ドルであったため、今回の発表でAmazonのAnthropicへの確定済み総出資額は130億ドルとなる。 コンピュート契約の詳細 今回の提携の核心は、最大5ギガワット(GW)相当のAmazon製AIチップの調達だ。Anthropicは現在すでに100万個以上のTrainium2チップをProject Rainierとして稼働させており、Claudeシリーズの学習・推論に使用している。今回の契約はTrainium2からTrainium4世代まで、さらにCPUのGravitonシリーズも対象とし、将来世代のチップの購入オプションも含む。導入スケジュールは2026年第2四半期にTrainium2の保有量を大規模増強、2026年後半にはTrainium3の大規模導入を予定しており、2026年末までにTrainium2とTrainium3で合計約1GWの容量確保を目指す。 提携拡大の背景 Anthropicのランレート収益は2025年末時点の約90億ドルから2026年には300億ドルを超える水準まで急拡大しており、エンタープライズ需要の急増とコンシューマー向け無料・Pro・Maxプランの成長がその要因だ。ピーク時のトラフィック急増によるインフラ逼迫が今回の拡大提携の直接の引き金となった。なお、Claudeは引き続きAWS・Google Cloud・Microsoft Azureの3大クラウドすべてで利用可能であり、特定プラットフォームへの囲い込みは行わない方針だ。今回の契約で、AWS Amazon Bedrock上ではClaudeの全機能が統一された課金・ガバナンス体制のもとで直接利用できるようになる。 業界の文脈と今後の展望 本発表は、Amazonが約2か月前にOpenAIの1,100億ドル規模の資金調達ラウンドへ500億ドルを拠出した件と軌を一にしており、Amazonが有力AIラボへの戦略的投資を積極化させていることを示している。VC・機関投資家からはAnthropicに対して8,000億ドル超の評価額での資金調達オファーが届いているとも報じられており、本発表は新たな資金調達ラウンドの前触れとなる可能性もある。インフラ面ではアジア・欧州での推論キャパシティ拡充も予定されており、グローバル展開の加速が期待される。

April 22, 2026

Bezosの物理AIラボ「Project Prometheus」が380億ドル評価額で100億ドル調達へ

概要 Jeff BezosとVikram「Vik」Bajajが共同CEOを務めるAI研究所「Project Prometheus」が、JPMorganとBlackRockを主要投資家とする100億ドルの資金調達ラウンドを完了間近と報じられた。今回の調達後、評価額は380億ドルに達する見込みだ。同社は2025年11月の設立時に62億ドルを調達しており、累計調達総額は160億ドルを超える。 物理AIというビジョン Project Prometheusが掲げるのは「物理AI(Physical AI)」の開発だ。テキストデータを主体とする従来の大規模言語モデルとは異なり、実世界の実験データ、ロボティクスとのインタラクション、エンジニアリングワークフローをもとにモデルを訓練する。応用分野として航空宇宙・自動車・先端製造業・創薬が挙げられており、産業分野へのAI実装を本格的に狙う姿勢が鮮明だ。 経営陣と採用 共同CEOのBajajはMITで物理化学の博士号を取得し、Google XではWingやWaymoの初期開発を主導。その後AlphabetのVerilyとAI創薬企業Xaira Therapeuticsを共同創業した経歴を持つ。同社はOpenAI・xAI・Meta・DeepMindから人材を積極採用しており、DeepMind出身のSherjil Ozairが共同創業したエージェント型AIスタートアップ「General Agents」を既に買収している。拠点はサンフランシスコ・ロンドン・チューリッヒの3都市に構えている。 産業データ戦略と今後の展開 Bezosは最大1000億ドルを投じて産業企業を傘下に収めるホールディングカンパニーを設立する構想を持つと報じられており、買収した企業の操業データをPrometheusのモデル強化に活用する戦略が描かれている。巨大資本と産業データを組み合わせることで、製造業・ロボティクス・航空宇宙分野のAI応用において独自の競争優位を確立しようとしている。

April 22, 2026

CerebrasがNasdaq上場を再申請——OpenAI大型契約を背景に時価総額230億ドル規模を目指す

概要 AIチップスタートアップのCerebras Systemsは2026年4月17日、米証券取引委員会(SEC)にS-1登録届出書を提出し、Nasdaq上場(ティッカー:CBRS)を正式に申請した。同社はCEOのAndrew Feldman氏のもと「AIのトレーニングと推論において最速のハードウェアを構築する」と自社を位置づけており、IPOは2026年5月中旬を予定している。最新のシリーズH調達時(2026年2月)の評価額は230億ドルに達しており、今回の上場でも同水準の時価総額を目指すとみられる。 財務状況 2025年の売上高は5億1,000万ドルで、GAAP基準の純利益は2億3,780万ドルを計上した。一方、非GAAPベースでは7,570万ドルの純損失となっており、調整後の収益性確保は引き続き課題となっている。資金調達面では2025年のシリーズGで11億ドル、2026年2月のシリーズHで10億ドルをそれぞれ調達し、上場前に十分な手元資金を確保した。 OpenAIとの関係とNvidiaへの対抗 Cerebrasの最大の成長要因として注目されているのが、OpenAIとの大型契約だ。同社はOpenAIの高速推論(ファストインファレンス)ビジネスをNvidiaから奪ったとFeldman氏は述べており、AI推論チップ市場における競争力の証左となっている。また、Amazon Web Services(AWS)ともCerebrasチップをデータセンターへ展開する契約を締結しており、クラウド経由での普及拡大も図っている。 上場申請の背景と過去の経緯 Cerebrasのナスダック上場申請は今回が初めてではない。2024年にも一度S-1を提出したが、アブダビを拠点とする投資会社G42による出資をめぐる米政府の審査が入り、申請を取り下げた経緯がある。今回の再申請はその障壁を乗り越えた形であり、AI関連株への市場の旺盛な需要を追い風に上場へ踏み切ったとみられる。 今後の見通し AIインフラ需要が急拡大するなか、Cerebrasは独自のウェハースケールエンジン(WSE)アーキテクチャを武器にNvidiaが支配するAIチップ市場への挑戦を続けている。上場によって調達した資金は研究開発および事業拡大に充てられる見込みで、AWS連携やOpenAIとの深化した協業が収益基盤を支えるかが今後の焦点となる。

April 22, 2026

NVIDIAがハノーバーメッセ2026でAI製造の最前線を披露——デジタルツイン・ロボティクス・エッジAIが現場を変える

概要 NVIDIAは2026年4月20〜24日にドイツ・ハノーバーで開催されたハノーバーメッセ2026において、製造業向けAIソリューションの最新事例を幅広く公開した。同社はSiemens・ABB・Microsoft・Deutsche Telekomなど世界的なパートナー企業と連携し、加速コンピューティング・AIフィジクス・自律エージェント・産業ロボティクスの4領域にわたる取り組みを展示。製造現場でのAI活用が「実証段階」から「量産段階」へと移行しつつあることを強くアピールした。 インフラ面では、Deutsche TelekomがNVIDIAの基盤上にヨーロッパ最大級のAIファクトリーをドイツ国内に構築したことが発表された。これはEU域内の産業AIとロボティクスを加速するための「安全で主権を持つ基盤」と位置づけられており、欧州における産業DXの核になることが期待されている。 デジタルツインと設計AIの進化 大手CAD・EDAソフトウェアベンダーであるCadence、Dassault Systèmes、Siemens、Synopsysは、NVIDIA CUDA-X・AIフィジクス・OmniverseライブラリおよびNemotronオープンモデルを自社製品に統合した。これにより、リアルタイムの物理シミュレーション、AIによる設計最適化、エージェント型ワークフローが実現する。 工場スケールのデジタルツインでは複数の事例が紹介された。ABBはOmniverseとMicrosoft Azureを統合して工場の運用インテリジェンスを強化。Siemensは「Digital Twin Composer」を発表し、エンジニアリングデータをシミュレーション用モデルに変換するパイプラインを確立した。Microsoftも自社のAzureツール群とOmniverseを組み合わせ、物理精度の高いリアルタイムシミュレーションをデモンストレーションした。 Vision AIエージェントと生産性向上 Vision AIの領域では、Invisible AIがNVIDIA Metropolis VSSブループリントとCosmos Reason 2・Nemotronモデルを活用した「Vision Execution System」を発表。生産サイクルをリアルタイムに解析し、問題が拡大する前にオペレーターへ実用的なインサイトを提供するシステムだ。建設・製造向けプラットフォームのTulip Interfacesは「Factory Playback」を公開し、テレメトリデータと映像を同期させることで、Terexなどの製造企業において「歩留まり3%向上・手直し工数10%削減」を達成する見込みだとしている。 産業用ロボティクスの実用展開 ロボティクス分野では、ヒューマノイドロボット「HMND 01」がSiemensのエアランゲン工場でJetson Thorを搭載し、初の概念実証(PoC)として自律的な物流タスクを完了したと報告された。Hexagon Roboticsのヒューマノイドロボット「AEON」が、BMWのライプツィヒ工場でドイツの生産環境における初期のヒューマノイドロボット導入事例の一つとして、組立作業への投入が発表された。SCHUNKの「GROW」オートメーションセルは標準化された展開可能な形でPhysical AIを生産環境に統合する仕組みを提供する。 技術スタックとしては、Isaac SimとIsaac Labによるシミュレーション環境、Jetson Thorによるロボット搭載コンピューティング、産業グレードのエッジ展開向けIGX Thor、さらには安全クリティカルシステム向けのQNX OS統合が紹介された。製造業全体でAIと物理ロボティクスの融合が急速に進んでいることを示す場となった。

April 22, 2026

AppleがCEO交代を発表——ジョン・テルナスが9月就任、ティム・クックは執行会長へ

概要 Appleは2026年4月20日、ティム・クックCEOが2026年9月1日付で執行会長(Executive Chairman)に移行し、現ハードウェアエンジニアリング担当上席副社長(SVP)のジョン・テルナスが新CEOに就任すると発表した。テルナスはApple取締役会にも参加する。また、非執行会長を務めてきたアーサー・レビンソンはリード独立取締役(Lead Independent Director)へと役割を変更する。クックは2026年夏まで現職のCEOとして留まり、テルナスへの引き継ぎ作業を行ったのち、執行会長として世界の政策立案者との関与を続ける予定だ。 ティム・クックの15年間の実績 クックは2011年のCEO就任以来、Appleを劇的な成長へと導いた。時価総額は約3,500億ドルから4兆ドルへと1,000%超の増加を達成し、年間売上も1,080億ドルから4,160億ドルへと約4倍に拡大した。Apple Watch、AirPods、Apple Vision Proといった新製品カテゴリーを創出し、サービス事業を年間1,000億ドル超の規模に育て上げた。グローバルでは200か国以上に事業を展開し、小売店舗を500店以上開設。アクティブデバイスの設置台数は25億台を超え、カーボンフットプリントを2015年比で60%削減するなど、環境面でも顕著な成果を残した。 次期CEOジョン・テルナスの経歴と手腕 テルナスは2001年にAppleの製品デザインチームに入社し、2013年にハードウェアエンジニアリング担当VPに昇格、2021年よりエグゼクティブチームのメンバーとなった。iPad、AirPods、iPhone、Mac、Apple Watchの開発を長年にわたって統括し、最近ではMacBook Neo、iPhone 17ラインナップ、最新世代AirPodsの製品化を率いた。ペンシルバニア大学で機械工学の学士号を取得しており、Appleへの入社前は機械エンジニアとして働いていた。ハードウェアの深い専門知識と製品リーダーシップの実績を兼ね備えた人物として、社内外から高い評価を得ている。 Johny Sroujiの昇格とハードウェア組織の再編 テルナスのCEO就任に伴い、ハードウェアテクノロジー担当SVPのJohny Sroujiが即日付けでチーフハードウェアオフィサー(Chief Hardware Officer)に就任した。Sroujiは2008年のApple入社以来、A4チップをはじめとするAppleカスタムシリコンの開発を牽引してきた人物で、Intel・IBM出身のプロセッサ開発の専門家でもある。新体制でSroujiはハードウェアエンジニアリングとハードウェアテクノロジーの両組織を統括し、カスタムシリコン・バッテリー・カメラ・センサー・ディスプレイ・セルラーモデムなどApple全製品ラインのハードウェア開発全体を担う。 Bloombergの報道によれば、Sroujiはハードウェア組織を5つの注力領域に再編した。ハードウェアエンジニアリング(Tom Marieb)、シリコン(Sri Santhanam)、先進技術(Zongjian Chen)、プラットフォームアーキテクチャ(Tim Millet)、プロジェクト管理(Donny Nordhues)の各部門を設け、いずれもAppleでの豊富な経験を持つベテランが担当する体制とした。Sroujiは社内メッセージで「これらのチームをまとめ、さらなる統合を進め、より大きな形でイノベーションを支援できることを楽しみにしている」と述べた。

April 21, 2026