IonQ、米独立系半導体ファウンドリSkyWaterの買収完了 垂直統合型量子プラットフォーム企業へ

概要 量子コンピューティング企業IonQは2026年7月31日、米国最大の独立系半導体ファウンドリであるSkyWater Technologyの買収を完了したと発表した。買収総額は明らかにされていないが、条件面ではSkyWaterの株主が1株あたり現金15ドルとIonQ普通株0.4883株を受け取る形で、規制当局の承認を経て取引が成立した。IonQはこの買収により、量子チップの製造から先端パッケージング、商用化までを自社グループ内で完結させる「完全垂直統合フルスタック量子プラットフォーム企業」になったとしている。 買収の狙いと技術的背景 IonQのCEO兼会長を務めるNiccolo de Masi氏は、今回の買収を通じて「量子産業全体にわたって技術リーダー、マーチャント供給者、エコシステム推進者として機能する」というビジョンを掲げている。背景には、量子デバイスの製造・サプライチェーンを国内で完結させたいという狙いがある。SkyWaterはミネソタ、フロリダ、テキサスに最先端施設を持ち、基本ノードの半導体製造や先端パッケージング、さらに原子時計や量子インターコネクトの技術も有しており、これらはIonQの量子コンピュータ開発に直接活用できる。IonQは2025年に2量子ビットゲート忠実度99.99%という世界記録を達成しており、今回の買収は自社のハードウェア開発をさらに加速させる狙いがあるとみられる。SkyWater側のCEOであるThomas Sonderman氏も、この統合が「次世代量子チップの複数の開発経路を加速」できると評価している。 今後の体制と見通し SkyWaterは買収後もIonQの子会社として独立して運営を継続し、Sonderman氏が引き続きCEOを務めるほか、既存顧客への対応も従来通り維持する方針だ。IonQは2026年8月5日に第2四半期の決算説明会を、同年9月8日にはインベスターデーを開催する予定で、統合後の事業戦略や量子チップ製造ロードマップの詳細がそこで明らかになる見込みである。今回の買収は、量子コンピューティング産業と半導体製造産業の統合が進む象徴的な取引として注目されており、他の量子企業が製造能力の内製化やサプライチェーン強化に動くかどうかにも影響を与える可能性がある。

August 2, 2026

Qualcomm、AI基盤ソフト企業Modularの買収完了 創業者ラットナー氏はEVPに就任

概要 Qualcommは7月29日、AIネイティブなソフトウェア基盤を手がけるModular Inc.の買収を完了したと発表した。今年6月に合意していた全株式取引で、評価額は約39.2億ドル(Modularの株主に対し最大1,920万株のQualcomm普通株式を発行)。Qualcomm CEOのCristiano Amon氏は「ModularのAIネイティブなソフトウェアプラットフォームとQualcomm Technologiesの主力ソリューションを組み合わせることで、高性能かつ電力効率に優れたAIソリューションを提供する能力が加速する」と述べ、開発者や顧客に真の選択肢を与え、業界の競争を促進するものだと強調した。Modular共同創業者兼CEOのChris Lattner氏は「Qualcommに加わることで、Modularのソフトウェアの革新をより幅広いAI・コンピューティングプラットフォームに届けるスケールを得られる」とコメントしている。 技術的な詳細 Modularは、CPU・GPU・NPUやカスタムシリコンなど多様なハードウェアアーキテクチャ上で生成AI・エージェントAIワークロードを統一的に最適化・デプロイできるソフトウェアスタックを提供してきた企業で、開発者がハードウェアごとにコードを書き直す必要をなくすことを目指している。今回の統合により、Qualcommの高性能・低消費電力なコンピューティング技術とModularのソフトウェア最適化技術が組み合わさり、データセンターからエッジ、パーソナルデバイス、産業用AIアプリケーションまで幅広い領域での展開が可能になる。主力製品であるMojo、MAX、Modular Cloudは、それぞれ独立したブランド・製品として継続され、Qualcommによる投資拡大を受けて発展していく方針が示された。 今後の体制と狙い 買収完了に伴い、Lattner氏はQualcommの上級副社長(Executive Vice President)としてAdvanced AI Software and Platforms部門を率いる立場に就任した。両社は、CPU・GPU・NPU・カスタムシリコンを横断するヘテロジニアスコンピューティングを見据え、オープンソースを軸としたアプローチを重視する姿勢を示している。今回の統合は、Qualcommのモバイル半導体分野での強固な地位と、Modularが持つ評価の高いAIインフラソフトウェア技術を組み合わせるものであり、Qualcommはデータセンター向けAIチップ市場やエッジAI分野での存在感を一段と高める狙いがあるとみられる。

August 2, 2026

ソニー、タムロンに買収提案 完全子会社化目指すも法的拘束力なし

概要 カメラ用交換レンズ大手のタムロンは7月30日、ソニーグループから完全子会社化に向けた買収提案を受けたことを公表した。提案は現時点で法的拘束力のないものとされており、タムロンは企業価値向上に向けた選択肢を検討するため特別委員会を設置した。同社は「開示すべき事項が発生した場合は速やかに公表する」との方針を示しており、現時点でこれ以上公表すべき事項はないとしている。この発表を受け、東京証券取引所は同日午前8時20分からタムロン株の売買を一時停止し、午前8時46分に再開した。 両社の関係と株主構成 ソニーグループはタムロンの主要株主であり、2025年12月末時点で発行済株式の15.35%を保有している。一方で、シンガポールを拠点とする投資会社エフィッシモ・キャピタル・マネージメントは17.38%を保有しており、株式保有比率ではソニーを上回っている。タムロンはソニーEマウントをはじめ、ニコンZマウントなど各社のカメラシステムに対応した交換レンズを製造しており、監視カメラや工場設備向けレンズ事業も手がける、1950年創業の老舗レンズメーカーである。両社は長年にわたりレンズ供給などを通じて密接な取引関係を築いてきた。 今後の見通し 今回の提案はあくまで法的拘束力のない段階にとどまっており、正式な買収の実現には特別委員会での検討やエフィッシモをはじめとする他の大株主の動向、さらには取締役会や株主の判断など、複数のプロセスを経る必要があるとみられる。タムロンが今後どのような結論を出すか、また株式保有比率でソニーを上回るエフィッシモがどう対応するかによって、交渉の行方は大きく左右されそうだ。続報が公表され次第、詳細が明らかになる見通しである。

August 2, 2026

Apple株価が決算後に急落、時価総額でNvidiaに世界最大企業の座を再び譲る

概要 Appleは7月31日、2026年度第3四半期決算を発表した。売上高は1,094億ドル(前年比16%増)、純利益は298億ドル(同27%増)と増収増益を記録したにもかかわらず、株価は取引開始直後に約8.6%下落し、その後下げ幅を拡大して一時約10%安となった。これは2024年8月以来最大の寄り付き下落幅であり、時価総額にして約4,300億ドルが吹き飛んだ計算になる。好調な決算内容とは裏腹に株価が急落した背景には、サービス部門の成長鈍化と、次期四半期に向けた供給懸念という2つの懸念材料があった。 株価急落の背景 株価下落の直接的な要因は、サービス部門の成長鈍化だ。モバイルゲーム市場の弱含みに加え、複数の地域でアプリストアの事業モデル変更を余儀なくされたことが響いたとみられる。さらに市場が強く反応したのは、iPhone・Macの需要が想定を上回ったことに伴う先端半導体(SoC向け先端プロセスノード)の供給逼迫を理由に、CFOが9月四半期にiPhone・iPad・Macの供給可用性が「著しく悪化する」との見通しを示したことだ。この結果、第4四半期の業績見通しは市場予想を下回る水準にとどまり、投資家の失望売りを誘った。 時価総額でNvidiaに再逆転 今回の決算はティム・クックCEOにとって最後の決算発表となり、次期CEOのジョン・ターナス氏への移行が進む中での発表となった点でも注目された。皮肉なことに、Appleはこの急落のわずか数日前の7月28日、時価総額で初めて5兆ドルを突破し、Nvidiaを抜いて世界最大の企業となったばかりだった。当時の終値はApple が4兆9,500億ドル、Nvidiaが4兆7,600億ドルで、3位のAlphabetは約4兆ドルだった。しかし決算後の急落により、Appleは再びこの首位の座をNvidiaに明け渡す結果となった。 市場ではAppleとNvidiaの評価の違いも際立っている。Appleは成長率17%に対して株価収益率(PER)41倍という、新型コロナウイルス流行初期以来の高水準で取引されており、投資家がAI関連支出の波乱を避ける「避難先」としてApple株を選好してきた面がある。一方のNvidiaは、今年の残り期間で82%、2027年には43%の成長が見込まれるにもかかわらず、PERは相対的に低く「割安」とみられている。市場アナリストの一部は、AIインフラ投資への過熱感が薄れるにつれて、Nvidiaが1年以内に時価総額でAppleを1兆ドル以上上回る可能性があると指摘している。

August 1, 2026

AI半導体懸念から一転、SK HynixとSamsung株が過去最大の上げ幅で急反発 韓国KOSPIも記録的18%高

概要 韓国のKOSPI指数は7月31日、前日比17.91%高の6595.45で取引を終え、統計開始以来最大となる1日の上昇率を記録した。半導体大手のSK HynixとSamsung Electronicsも急伸し、SK Hynixはストップ高となる29.95%高、Samsungも26.81%高と、いずれも過去最大の上げ幅で取引を終えている。この急騰は、前週にAIバブルへの懸念や中国半導体産業の台頭を背景に記録的な急落に見舞われた韓国市場が、一転して息を吹き返した格好となった。 急落からの経緯 今回の反発に先立ち、韓国市場は深刻な調整局面にあった。7月28日には中国の半導体産業振興策を引き金にKOSPIが10.84%下落し、翌29日にはパニック売りが広がり、KOSPIとして初めてとなる2営業日連続でのサーキットブレーカー発動という異例の事態となった。この急落の背景には、レバレッジ型ETFを軸とした「三重のレバレッジ構造」——取引所外の信用取引、証券会社の追証取引、そして2〜3倍のレバレッジをかけたETF——が存在していたとされる。5月にわずか5兆ウォン規模で始まったレバレッジETF16銘柄は6月には16兆ウォンにまで急拡大しており、7月13日の急落時にはこれらのETFがSK Hynix株を約50億ドル規模で投げ売りしたと分析されている。 反発の背景 市場心理を好転させたのは、米国の大手テック企業による好決算だった。MicrosoftとAmazonが市場予想を上回る決算を発表し、米国株式市場のハイテク株が前日に大幅高となったことが韓国市場にも波及した。特にMicrosoftはAzureの売上高が43%増加した一方でAIインフラ投資を抑制的に進めていることを示し、AI投資の過熱に対する懸念を和らげた。韓国国内では海外投資家の買いが上昇の主な原動力となったほか、ショートカバーやレバレッジETFの機械的なリバランス取引が値動きをさらに増幅させたとみられる。 今後の見通し もっとも、今回の反発をもって市場が完全に立ち直ったとは言い切れない。KOSPIは急落前の7月27日終値である6700ウォン台を依然として下回っており、SK Hynix株も52週高値の298万7000ウォンから42%安い水準にとどまっている。アナリストの間では、今回の動きは「トレンドの反転ではなく回復局面」との見方が多く、持続的な回復には海外資金の継続的な流入と、レバレッジ依存からの構造的な脱却が必要だと指摘されている。韓国政府はすでに個別株レバレッジETFへの規制を強化し、1銘柄あたりの投資上限を20%に設定するなど対応に乗り出しており、今後は米国のAI投資に対する市場心理の持続性と、半導体各社の2026年第3四半期以降の収益見通しが相場の方向性を左右する焦点となる。

August 1, 2026

MicrosoftのAzure、年間売上高が初めて1000億ドル突破 AI投資拡大で自由キャッシュフローは圧迫

概要 Microsoftは7月29日、2026会計年度第4四半期(4〜6月期)決算を発表した。四半期売上高は前年比18%増の900億ドルとなり、市場予想の877億ドルを上回った。GAAP純利益は358億ドル(1株当たり4.81ドル)で前年同期比31%増、調整後EPSは4.74ドルとアナリスト予想の4.24ドルを上回る好決算となった。最大の焦点はクラウド事業「Azure」で、四半期の成長率は前四半期の40%から43%へ加速し、通期のAzure売上高は前年比41%増となって初めて1000億ドルの大台を突破した。 Azureとクラウド事業の成長 Azureおよびその他クラウドサービスの成長率43%は、2022年初頭以来の高水準となる。Microsoft 365 Copilotの有料シート数も3000万件に達するなど、AI関連製品の商用展開が業績を押し上げている形だ。Nadella CEOは決算説明の中で、企業がAI活用の評価基準を「書かれたコードの行数」ではなく「実際のビジネス成果」に転換すべき時期に来ていると強調し、生成AIが試作段階から企業の実運用へと本格的に移行しつつあるとの見方を示した。 AI投資とキャッシュフローへの影響 好調な事業成長の裏で、AIインフラへの投資拡大がキャッシュフローに与える影響も鮮明になっている。第4四半期の設備投資(ファイナンスリース含む)は前年比69%増の410億ドルに達した。CFOのAmy Hoodは、データセンターやAI関連インフラへの需要が供給能力を上回る状態が続いていると説明している。営業キャッシュフローは30%増と堅調だったものの、大規模投資の影響で自由キャッシュフローは23%減少し、Microsoft Cloudの粗利率も65%へと低下した。 今後の見通し Microsoftは2026暦年の設備投資見通しについて、オフィスおよびデータセンター資産の耐用年数の想定を15年から25年に延長したことを理由に、従来の約1900億ドルから約1750億ドルへ下方修正した。Hood氏は、旺盛なAI需要に対応するための投資は継続する一方、2027会計年度を通じてフリーキャッシュフローのプラスを維持できるとの見通しを示した。記録的なAI投資が利益率やキャッシュフローに与える圧力と、Azureをはじめとするクラウド事業の力強い成長という二つの側面が今後も注目されることになりそうだ。

August 1, 2026

Appleが表情解析AIのQ.aiを約20億ドルで買収、史上2番目の規模に

概要 Financial Timesの報道により、Appleがイスラエルの AI スタートアップ Q.ai を約16億〜20億ドルで買収していたことが明らかになった。買収は2026年1月に行われたとみられ、これまでAppleが公表してこなかった非公開の取引だった。金額規模で見ると、2014年のBeats買収(30億ドル)に次いでApple史上2番目に大きな買収となり、2019年のIntelスマートフォンモデム事業買収(10億ドル)以来最大規模の買収でもある。買収時点でQ.aiには売上も一般公開された製品もなく、非公開のスタートアップとしては異例の高額買収となった点が注目されている。 Q.aiの技術と狙い Q.aiは2022年にAviad Maizels氏が創業した企業で、顔の表情や動きを解析する機械学習技術と、音声を強化するオーディオ処理技術を開発してきた。表情解析技術を応用することで、声を出さずに意思を伝える「サイレントスピーチ」のような非言語的な対話手段の実現が見込まれており、将来的にはSiriなどAppleの音声アシスタントとの新しいインタラクション手法につながる可能性がある。Apple幹部のJohny Srouji氏はQ.aiについて「画像処理と機械学習において革新的な手法を切り拓いている企業」と評価し、今後の展開に期待を示すコメントを寄せている。 背景にあるAppleの買収戦略 今回の買収で特に注目されているのが、創業者Aviad Maizels氏の経歴だ。同氏は2013年にAppleが3億5000万ドルで買収したPrimeSenseの共同創業者でもあり、同社の深度センシング技術はその後Face IDの開発基盤となった実績を持つ。Appleは巨額のインフラ投資でAI競争を戦う大手他社とは異なり、自社に不可欠と判断した技術は内製し、他社の方が優れている領域は買収によって取り込むという方針を取ってきたとされる。この「人材(People)」「製品(Product)」「タイミング(Timing)」を重視する目利きの戦略により、AI領域で最も費用のかさむ部分を避けつつ、専門性の高い技術を確保してきたと分析されている。 投資家への示唆と今後の見通し Q.aiのシード投資家にとっては、今回の買収により当初投資額の30倍以上ものリターンが約3年で得られた可能性があると試算されている。一方で、多くの一般投資家がこの機会の存在を知ったのは買収成立後だった点も指摘されており、非公開スタートアップへの早期投資機会の重要性が改めて浮き彫りになった。Big Tech各社が全てのAI関連技術を自社開発することは現実的ではなく、今後も上場前の専門特化型スタートアップの買収が加速していくとの見方が示されている。Appleにとっても、Q.aiの技術がSiriや将来のデバイスにどう統合されていくのか、今後の製品展開が注目される。

July 31, 2026

中国製DUV露光装置の量産開始報道で世界の半導体株が歴史的急落

概要 2026年7月28日、上海を拠点とする国有系企業が国産の浸漬型深紫外線(DUV)露光装置の量産を開始したとの報道をきっかけに、世界の半導体関連株が歴史的な急落に見舞われた。韓国市場では、サムスン電子が13.4%下落し同社にとって約20年ぶりの下げ幅を記録したほか、SKハイニックスも14.7%下落し、KOSPI指数は10.84%安と記録的な下落幅を記録した。翌29日以降も下落は止まらず、SKハイニックスは月内で4度にわたり10%を超える下落を記録するなど、混乱は複数日にわたって続いた。影響は韓国国内にとどまらず、ASML、エヌビディア、AMD、マイクロン・テクノロジーといった欧米の半導体大手や、キオクシア、村田製作所などの日本企業の株価も軒並み下落し、フィラデルフィア半導体指数は4.5%超、ナスダック総合指数も下落するなど、世界規模での売りが波及した。 中国製DUV露光装置の技術的詳細 株価急落の直接的な引き金となったのは、上海の露光装置メーカーAishengna Electronic Technology Groupが国産の浸漬型DUV露光装置の量産に着手したとの報道だった。同社は2026年内に5台、2027年には約20台の生産・出荷を計画しており、納入先にはSMIC(中芯国際)、Hua Hong Semiconductor、CXMT(長鑫存儲技術)といった中国国内の主要な半導体メーカーが想定されている。DUV露光装置は、米国主導の輸出規制によって入手が困難となった最先端のEUV(極端紫外線)露光装置に代わる技術として位置づけられるが、性能・効率の両面で世界最先端のEUVシステムには依然として大きく後れを取っているとされる。一方で、JPモルガンやサムスン証券のアナリストからは、これらの国産装置の性能や信頼性はまだ実証されておらず、市場の反応は過度な悲観(オーバーリアクション)だとの見方も示されている。 SKハイニックスの決算と株価の逆行現象 株価下落のタイミングは、SKハイニックスが過去最高となる四半期決算を発表した直後と重なった点も市場の注目を集めた。同社の2026年第2四半期決算は、営業利益60.54兆ウォン(前年同期比557%増)、純利益93.92兆ウォン(同1,242%増)、売上高79.32兆ウォン(同257%増)と軒並み過去最高を更新し、営業利益率は76%に達した。しかし、市場予想の売上高83.94兆ウォンには届かず、決算発表後のカンファレンスコールでも新たな株主還元策や業績ガイダンスが示されなかったことが投資家の失望を招いた。好決算にもかかわらず株価が下落するという逆行現象の背景には、AI関連投資の減速がメモリチップの供給過剰につながるのではないかという「AIピーク」懸念があり、中国のDUV量産報道がその懸念に追い打ちをかける形となった。同社はコモディティメモリの価格上昇鈍化やHBM(広帯域幅メモリ)への高い依存を認めつつも、下半期は上半期を上回る出荷増加とHBM4生産の大幅拡大を見込んでおり、AI投資減速リスクは否定している。 今後の見通し 今回の急落は、中国の半導体製造技術の進展が投資家心理に与える影響の大きさを改めて示した形だ。中国製DUV装置の実際の性能や量産の歩留まりは未検証であり、アナリストの間では今回の売りが行き過ぎであるとの指摘もある一方、日本・韓国メーカーにとっては中国メーカーの競争力向上という中長期的な圧力材料が増したことは確かだ。SKハイニックスは長期契約(LTA)を約10社と締結し価格変動への耐性強化を図るなど対応を進めているが、AI投資サイクルの持続性と中国の技術的自立という二つの不確実性が重なる中、半導体株のボラティリティは当面高い水準が続くとみられる。

July 30, 2026

RAM価格6倍高騰でGoogle Pixel 11シリーズが値上げへ、8月12日発表予定

概要 Googleは、8月12日に発表予定のPixel 11シリーズを含む全Pixel端末の価格を引き上げることを確認した。背景にあるのは、AIデータセンター向け需要の急増によるメモリ市場の異常な逼迫だ。Morgan Stanleyのデータによれば、RAM価格は2025年の1GBあたり2.80ドルから今年は12ドルへと、実に約6倍にまで高騰している。Google副社長のShakil Barkat氏は「今世界が経験しているようなメモリ価格の上昇はこれまでになかった」と述べ、「これまで可能な限り供給変動から消費者を守ってきたが、経済状況が根本的に変化した」とコメントしている。 想定される価格・仕様の変更 報道によれば、Pixel 11とPixel 11 Proは100ドルの値上げが見込まれるものの、ストレージ容量が倍増して256GBになる可能性がある。一方、Pixel 11 Pro XLとPixel 11 Pro Foldは、仕様変更を伴わない単純な100ドルの値上げになると見られる。さらに、エントリーモデルのPixel 11 ProはRAM容量が16GBから12GBへ削減されるとの情報もあり、価格上昇に加えてスペック面でもコストダウンの影響が及んでいる可能性がある。 Googleの対応策と今後の見通し Googleは値上げの影響を緩和するため、プロモーションや下取りプログラムの提供、Google Oneサブスクリプションとのバンドル販売などを検討しているとしている。また、Android全体でRAM使用効率を最適化する「専任の取り組み」も進めているという。なお、Pixel 10aを含む既存の販売中モデルについても価格が引き上げられる可能性があるが、具体的な時期は明らかにされていない。今回の値上げは、AI需要がスマートフォン市場のコスト構造にまで波及していることを示す象徴的な事例といえ、他メーカーへの影響も注目される。

July 29, 2026

SpaceX、上場後初のStarship試験飛行を実施 次世代Starlink V3展開に成功もブースター着水は失敗

概要 SpaceXは2026年7月24日22時51分(UTC)、テキサス州Starbaseから「Starship」第13回試験飛行を実施した。今回の飛行は、SpaceXが6月に実施した過去最大規模となる新規株式公開(IPO、ティッカー:SPCX)後、上場企業として初めて行う大型試験飛行であり、投資家からの注目を集めた。7月16日に予定されていた打ち上げはエンジン点火不良により自動中断となり、その後天候不良も重なって延期が続いていたが、機体の一部エンジン交換などの対応を経て今回の実施に至った。ミッションの主目的である次世代Starlink衛星「V3」の初展開には成功した一方、機体の回収においてはブースターとStarship上段とで明暗が分かれる結果となった。 Starlink V3衛星と技術的意義 今回のミッションでは、次世代通信衛星「Starlink V3」を搭載した初めてのStarship飛行として、20基のV3衛星を軌道下(サブオービタル)に展開した。V3衛星はダウンリンク最大1Tbpsを実現し、従来のV2衛星の10倍の通信容量を持つほか、アップリンクも160Gbpsと従来比22倍に強化されている。今回展開された衛星は正式な運用軌道には投入されず、太陽電池パネルやアンテナ、既存のStarlinkコンステレーションとのレーザー通信リンクなど各種システムの検証を目的としたもので、展開からおよそ20分後に大気圏に再突入し燃え尽きる想定だった。また一部の衛星にはカメラが搭載され、Starship上段(Ship 40)の耐熱シールドの状態を宇宙空間から撮影・伝送する役割も担った。 ブースターとStarship上段の飛行結果 打ち上げから約2分後、1段目の大型ブースター「Super Heavy」は計画通り分離した。しかしその後の帰還シーケンスでは、着陸燃焼のためのエンジン再点火において、点火予定だった13基中10基程度しか正常に着火せず、メキシコ湾への着水は「ハード(硬着水)」な失敗という結果に終わった。一方、Starship上段(Ship 40)は軌道下弾道飛行の経路をたどった後、インド洋への軟着水に成功。着水後に船体が横転したものの機体は破損せず一体を保ち、これは同型機として初めての成果となった。耐熱シールドも展開衛星のカメラ越しに撮影された結果、健全な状態を保っていたことが確認されており、SpaceXは今回の飛行についてブースターの着水失敗はあったものの、主要目的は達成した「部分的成功」と位置づけている。 株式市場の反応と今後の展望 SpaceXは6月のIPOで新株引受人のオプション分を含め857億ドルを調達し、史上最大規模の上場として話題を呼んだが、その後の株価は軟調に推移している。今回の飛行が主要目標を達成したにもかかわらず、SPCX株の反応は限定的で、試験飛行後の株価は1株115ドル前後で推移し、IPO価格である135ドルを約15%下回る水準にとどまった。これは6月16日につけた上場来高値からおよそ43%の下落に相当し、過去最安値110.85ドルとの差もわずかだった。アナリストのTim Farrar氏は、SpaceXが機体全体の迅速な再使用達成にはまだ遠い状況にあると指摘しており、投資家の間では華々しい打ち上げの成果よりも、資金を大量に消費し続けるStarshipプログラムの持続可能性への懸念が根強いことがうかがえる。次回以降の試験飛行では、ブースターの着水成功とあわせて、機体の完全な再使用に向けた技術実証が焦点となる見込みだ。

July 27, 2026