ソニーとTSMCが熊本に合弁新工場、次世代イメージセンサーに約1兆円投資

概要 ソニーグループと台湾積体電路製造(TSMC)は8月10日、熊本県のソニー既存イメージセンサー拠点内に次世代画像センサー向けの新工場を共同で設立すると発表した。投資額は約1兆円(約63億ドル)で、出資比率はソニーが60%、TSMCが40%。両社は2026年5月に予備合意を結んでおり、今回はそれを正式な合弁計画として確定させた形となる。工場は熊本県合志市に新設され、2029年にも量産を開始する予定だ。 背景と狙い ソニーは長年、イメージセンサーの設計から製造まで一貫して自社で手がけてきたが、今回の提携はその方針からの構造的な転換を意味する。ソニーグループの十時裕樹CEOは、この提携を自社が「ファブライト」化に向けた「第一歩」と位置づけているという。TSMCにとっても、ソニーとの本格的な提携は異例の一手であり、サムスンや中国勢など競合の追い上げが強まる中での戦略的な布石とみられている。生産される次世代センサーは、Appleのカメラ需要に応えるスマートフォン向け供給に加え、自動運転車や産業用ロボットなど、AIが物理世界を認識・操作する「フィジカルAI」分野での長期的な活用も見据えている。 今後の見通し 新工場での量産開始は早ければ2029年とされており、実現に向けた具体的な技術仕様や人員計画など詳細は今後明らかになる見通しだ。ソニーにとっては自社製造中心の体制を維持しつつ最先端の微細化技術をTSMCから取り込む機会となる一方、TSMCにとっては半導体ロジック製造で培った技術をイメージセンサー分野に展開する足がかりとなる。スマートフォン市場でのカメラ性能競争の激化や、自動運転・ロボティクス分野での高性能センサー需要の拡大を背景に、両社の提携が今後の画像センサー業界の勢力図にどう影響するか注目される。

August 11, 2026

サムスン、Galaxy Z Fold8シリーズとZ Flip8を発表 軽量化と4:3ディスプレイで折りたたみ機の完成度向上

概要 サムスンは8月6日、Galaxy Z Fold8 Ultra・Galaxy Z Fold8・Galaxy Z Flip8・Galaxy Watch Ultra2・Galaxy Watch9の5機種を発表し、翌7日から世界106市場で順次発売を開始した。同社によれば予約数は前世代モデルと比べて30%以上増加しており、色ではグラファイトが最も人気だという。折りたたみスマートフォンが登場から数世代を経て、軽量化や耐久性の向上によりようやく「日常使いできる完成度」に到達しつつあることを裏付けるラインナップとなった。 モデルごとの特徴 上位モデルのGalaxy Z Fold8 Ultraは8インチのメインディスプレイと200MPのHDRカメラを搭載し、5,000mAhバッテリーと45W急速充電に対応しながら本体重量215g・開いた状態での厚さ4.1mmを実現した。望遠レンズやマルチポジションヒンジを備え、クリエイティブな作業に最適化されたフラッグシップと位置付けられている。 一方の無印Galaxy Z Fold8は、新開発の「Flex Titanium」技術によって折り目の目立ちを抑えつつ本体重量を201gまで軽量化し、日常使いに振り切った設計とした。Galaxy Z Flip8は刷新された「FlexWindow」カバーディスプレイと50MPカメラ、ProVisual Engineによる撮影体験の向上を特徴とするコンパクトモデルだ。両ウォッチもSnapdragon Wear Eliteを搭載し、Watch Ultra2は47mm・800mAhバッテリー・5,000nits表示、Watch9は40/44mmサイズで3,000nits表示に対応する。購入者にはGoogle AI Proの6カ月無料トライアル(5TBクラウドストレージ付き)が付与される。 ディスプレイ形状とゲーム性能 興味深いのは、Fold8とFold8 Ultraでディスプレイのアスペクト比の方向性が分かれた点だ。Fold8は閉時5.5インチ・開時7.6インチの4:3に近い比率を採用し、サムスン自身が「コンテンツ視聴に最適」とうたう横広の画面形状とした。対してFold8 Ultraは閉時6.5インチ・開時8インチと従来通りの縦長レイアウトを維持している。4Gamerの実機テストでは、前世代のGalaxy S24 Ultra比で3DMark各テストが29〜45%、Geekbench 6のVulkan GPUテストで80%以上、CPUはシングル・マルチコアともに50%以上のスコア向上を記録した。PUBG MobileやNIKKEなど主要タイトルは概ね問題なく動作したが、一部タイトルでは横方向の視野が狭くなる傾向も見られたという。動画視聴では、余白を最小化できるFold8に対し、Fold8 Ultraは上下の余白が大きく残る点が指摘されている。 レビューでの評価 The Gadgeteerによる実機レビューでは、Galaxy Z Fold8を「これさえあれば他のスマートフォンはいらない」と高く評価し、2026年を代表するフォルダブルの一台に挙げている。201gという軽さと、従来より横に広く縦に短い比率によって閉じた状態での握り心地が改善され、手の疲労軽減やポケット内での収まりの良さにつながったという。カバーディスプレイでの自然なタイピングや、ランドスケープ表示時の2アプリ並列利用の実用性も好意的に紹介された一方、Qi2ワイヤレス充電用マグネットを内蔵していない点や、光の当たり方によっては折り目が依然として視認できる点、望遠レンズ・スタイラス・マルチポジションヒンジ非搭載である点は弱点として挙げられている。バッテリーは4,800mAhのシリコンカーボン電池で45W有線充電に対応し、軽さとバランスを重視するユーザーにはFold8を、光学ズームやスタイラス、多段階ヒンジを求めるユーザーにはFold8 Ultraを推奨するという棲み分けが示された。

August 11, 2026

Intelが150億ドルの株式公募を発表、AI需要への投資拡大を狙うも株価は下落

概要 Intelは8月10日、150億ドル規模の普通株式の公募増資を実施すると発表した。引受会社には30日間の追加購入オプションとして22.5億ドル分の株式が付与されており、これが行使された場合には調達額は最大172.5億ドルまで膨らむ可能性がある。同社は調達資金の使途について「設備投資や運転資金を含む一般的な事業目的」に充てるとしており、AIコンピューティングに対する顧客需要の高まりや、フィジカルAI、専用シリコン、先端パッケージング、外部向けウェハー製造といった成長機会への投資を強化する狙いがあると説明している。発表を受けてIntel株は当日の取引で最大5%下落し、一時100ドルの節目を下回る場面もあった。既存株主の持ち分が希薄化するとの懸念が売りを誘った形だが、NVIDIAやAMD、半導体指数(SOXX)などは横ばいで推移しており、市場は今回の下落をIntel固有の資本政策に伴う一時的な動きと受け止めているとみられる。 公募の詳細 公募の主幹事にはJ.P. Morgan Securities、Goldman Sachs、Morgan Stanley、Citigroup Global Marketsの4社が名を連ねる。手続きは米証券取引委員会(SEC)に提出済みのS-3登録届出書に基づいて進められており、詳細な条件は各引受会社またはSECのウェブサイトを通じて確認できる。Intelは「健全なバランスシートと投資適格格付けの維持へのコミットメント」を強調しつつ、規律ある資本配分を続けながら成長機会を追求する方針を示した。今回の増資は借入によらず自己資本を積み増す選択であり、2026年に入ってから株価がほぼ3倍に上昇していたことが、負債を増やさずに大型調達を行う好機になったとの見方もある。 市場の反応と背景 株価下落の直接的な要因は、希薄化という定量化しやすいマイナス要素が、新設する製造能力がもたらす将来的な収益貢献という不確実な要素よりも即座に株価へ織り込まれたことにある。半導体業界ではAI関連の設備投資需要が急拡大しており、TSMCをはじめとする競合他社との製造能力争いが激化する中、Intelとしても先端プロセスやパッケージング技術への投資を加速させる必要に迫られている。今回の増資は、こうした業界全体の投資競争にIntelが本格的に参戦する姿勢を示すものと位置づけられる。 今後の展望 Intelにとって今回の資金調達は、AI関連需要を取り込むための製造能力拡張を財務面から下支えする一手となる。一方で、調達した資金がどの程度の期間でファウンドリ事業や先端半導体製造の収益改善につながるかは不透明であり、投資家の間では中長期的な投資対効果を見極めようとする姿勢が続くとみられる。追加購入オプションの行使状況や、今後発表される具体的な設備投資計画の内容が、株価動向を左右する次の焦点になりそうだ。

August 11, 2026

TSMCの7月売上高が過去最高、前年比44.7%増でAI半導体需要の強さを裏付け

概要 世界最大の半導体受託製造企業TSMCは8月10日、7月の連結売上高が前年同月比44.7%増の467.58億台湾ドル(米ドル換算で約145億ドル)に達し、単月として過去最高を記録したと発表した。半導体株全般に広がる市場の変動にもかかわらず、AIチップへの旺盛な設備投資意欲が裏付けられた形となり、同社の株価も堅調に推移している。 業績の詳細 AIチップ需要を色濃く反映するハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)分野は、7月に先立つ第2四半期決算で売上全体の66%を占めており、NvidiaやGoogleをはじめとするビッグテック各社からの旺盛な需要が業績を押し上げる構図が続いている。年初来の売上高も前年同期比37%増と高水準を維持しており、7月単月の急伸が一過性のものではなく、通年を通じた需要拡大の一部であることを示している。 通期見通しと設備投資 好調な業績を受け、TSMCは2026年通期の売上高成長率見通しを「40%をやや上回る水準」に上方修正した。あわせて設備投資計画も引き上げ、2026年の資本的支出は過去最高となる600億〜640億ドルに達する見通しだ。同社は7月中旬に発表した第2四半期決算でも市場予想を上回る好業績を示しており、AI需要の「メガトレンド」を取り込むための積極投資姿勢を鮮明にしている。 市場の反応 8月10日の米株式市場では半導体セクター全体に神経質な値動きが見られる中、TSMCの米国預託証券(ADR)は寄り付き前取引で0.37%高の421.60ドルとなり、堅調な株価上昇基調を継続した。市場のボラティリティにもかかわらず、AI関連投資が実需に裏付けられていることを示す決算結果として、投資家からの注目を集めている。

August 10, 2026

光インターコネクトのLumilensが評価額55億ドルでステルス解除、9億ドル超を調達しAIデータセンターの接続ボトルネック解消へ

概要 2年前に設立された光学ネットワーキングのスタートアップLumilensが8月6日、ステルスモードを解除し、累計9億ドル超の資金調達を実施したと発表した。このうち最新のSeries Cラウンドは7億ドル超にのぼり、同社の評価額は55億1000万ドルに達している。ラウンドはAtreides Management、Bain Capital Ventures、Meritech、Seligman Ventures、Spark Capitalの5社が共同でリードし、Qualcomm VenturesやAddition、Alkeonを含む12社以上の投資家が参加した。CEO兼共同創業者のAnkur Singla氏は、AIインフラの制約が「GPUを何台購入できるか」から「何台を接続できるか」へとシフトしていると述べており、Lumilensはこの接続ボトルネックの解消を狙う。Singla氏は過去に2つのネットワーキング系スタートアップを合計6億7600万ドルで売却した実績を持つ。 技術的な詳細 Lumilensは、AIデータセンター内でGPU間を結ぶ銅配線を、より高速な光ファイバー接続に置き換えるチップを開発している。製品群は「LumiCore」と呼ばれる共通の基盤技術から構成され、フォトニック部品、混合信号集積回路、インターポーザーを共通コンポーネントとして再利用することで、チップ開発期間を「数年から数ヶ月」に短縮できるとしている。製造工程にはロボットとAIソフトウェアを組み込んだカスタムワークフローを採用している。 製品ラインナップは大きく2種類に分かれる。GPUを密結合する「スケールアップ」ネットワーク向けには、数千基のGPUを接続できるCo-packaged optics(CPO)チップと、マザーボード上に搭載するNear-packaged optics(NPO)チップを用意。ラック間・クラスター間を結ぶ「スケールアウト」ネットワーク向けには、800ギガビット/秒および1.6テラビット/秒以上の帯域幅に対応するプラグイン可能なトランシーバー用チップを提供する。 背景・市場動向 生成AIブームに伴いGPUクラスターの規模は急速に拡大しており、例えば40万GPU規模のデータセンターを構築するには240万個以上の光学トランシーバーが必要になるという。従来の銅配線では伝送距離や帯域幅の制約から大規模GPUクラスターの接続がボトルネックとなりつつあり、光インターコネクトへの需要が高まっている。Lumilensはすでに大手ハイパースケーラー顧客との間で数十億ドル規模の受注を獲得し、生産出荷を開始済みとしている。一方でCPO技術の大規模な商用展開については、本格化まで2~3年程度を要する見通しが示されており、それまではNPOが橋渡し的な解決策として位置づけられている。 今後の展望 今回調達した資金は、チップの開発と量産体制の加速に充てられる方針だ。ハイパースケーラー各社がAIインフラへの投資を積み増す中、GPUの計算能力を最大限に引き出すための接続基盤として、光インターコネクト技術を手がける企業への注目と資金流入は今後も続くとみられる。

August 10, 2026

SK hynix、AI向けメモリ不足に対応し新工場2棟に54兆ウォン(約380億ドル)投資を承認

概要 韓国SK hynixは8月7日、取締役会で龍仁(ヨンイン)のDRAM新工場「Y2」と清州(チョンジュ)のNAND新工場「M17」の建設に総額54兆ウォン(約380億ドル)を投じる計画を承認したと発表した。世界第2位のメモリメーカーである同社は、AI関連需要の急増によって続く半導体メモリ不足の解消に向け、生産能力の倍増を急ぐ姿勢を鮮明にした。同社は今回の決定について「AIデータセンター需要の急増に対応するため」と説明しており、供給能力そのものが競争力を左右するAI時代の市場環境を踏まえた投資と位置付けている。 投資の内訳と建設計画 投資額の内訳は、龍仁Y2工場に35.2兆ウォン(約240億〜250億ドル)、清州M17工場に19.1兆ウォン(約130億〜140億ドル)となっている。Y2工場は敷地面積約113万平方メートルで、次世代DRAMおよびNvidiaなどAI半導体メーカー向けの高帯域幅メモリ(HBM)を製造する拠点となる予定で、2027年7月に着工し、2029年6月に最初のクリーンルームが稼働、2031年10月に投資完了となる見込みだ。一方、清州M17工場は敷地面積約68万1000平方メートルでNAND型フラッシュメモリを生産し、2027年2月着工、2028年12月に最初のクリーンルームが稼働、2031年4月に投資完了する計画となっている。 今回の投資は、SK hynixが6月に発表した長期計画の一部でもある。同社は龍仁クラスタ全体に600兆ウォン、清州には100兆ウォンを投じる方針を示しており、当初2045年としていた龍仁クラスタの4工場すべての完成時期を、今回2033年へと12年前倒しする目標を掲げた。 AI需要とメモリ価格への影響 背景にあるのは、AIインフラ向けデータセンターの構築ラッシュとNvidiaなどのAI半導体メーカーによるHBM需要の急拡大だ。SK hynixはHBM市場で売上高シェア58%を握る首位メーカーであり、AI向け高性能メモリの供給逼迫が続く中で顧客からの引き合いが強まっている。この需要急増はメモリ価格の高騰にもつながっており、Counterpoint Researchのアナリスト、Neil Shah氏は「需要の伸びが計画中の生産能力拡大を上回っており、メモリ価格が2028年末より前に軟化する可能性は低い」と指摘する。新工場の稼働開始までには数年を要するため、当面は価格上昇圧力が続くとみられ、SamsungなどのメーカーもAIデータセンター向けにチップの大半を割り当てていることから、コンシューマー向けメモリの供給不足も引き続き懸念される状況にある。

August 10, 2026

AI需要でDRAM・HBM生産能力2027年分が完売、PC・スマホ向けメモリはさらなる高騰へ

概要 台湾メディアDigiTimesの報道を発端に、サムスン電子・SKハイニックス・マイクロンの世界大手メモリ3社が、2027年分のDRAMおよびHBM(広帯域幅メモリ)の生産能力をすでに完売したと複数の海外メディアが報じた。世界のDRAM・HBM供給の大半を占めるこの3社の受注枠が予定より数カ月早く埋まったことで、新規需要に応える余力がほぼ失われた状態だという。背景にあるのは生成AIサーバー向けの旺盛な需要で、AIサーバーとHBMだけでDRAM出荷全体の約7割を占めるとの分析もあり、PCやスマートフォンなど民生向け製品にしわ寄せが及ぶ構図が鮮明になっている。 AI需要が生産枠を奪う構造 大手クラウド事業者やAI企業は、HBMをはじめとするメモリを長期契約で大量に確保する動きを強めており、これが3年から5年単位の供給契約という形で生産能力を先食いしている。AI向け需要は民生向けよりも高い価格を許容するため、新たに生まれる生産余力があってもAIサーバー向けHBMに優先配分される可能性が高く、一般消費者向けDDR5メモリへの供給拡大は期待しにくい状況にある。メモリモジュールメーカーのApacerも、2027年のDRAM供給が最大で7割落ち込む可能性があると警告しており、業界内でも供給不安が広がっていることがうかがえる。 PC・スマートフォンへの影響と価格動向 この供給逼迫のあおりを受け、PC・ノートPC・スマートフォン向けのDRAM割り当ては2026年と比べて2027年に大幅に縮小される見通しだ。Appleにとっても高価格なメモリ調達が2027年も続くことが事実上確定したと報じられており、完成品価格への転嫁が避けられない可能性がある。実際、Microsoftはゲーム機向けのストレージ・メモリ価格がすでに2.5倍以上に上昇したと説明しており、2027年秋までにさらに倍増する可能性があるとの見方を示している。 今後の見通し 今回の完売報道は、2024年頃から続く世界的なメモリ供給不足がさらに長期化・深刻化する可能性を示すものだ。新規供給が緩和されるのは早くても2028年以降とみられ、一部の分析では不足が2030年頃まで続くとの見方も示されている。AI投資が今後も拡大を続ける限り、DRAM・HBMを巡る争奪戦は当面続く見込みで、PCやスマートフォンの買い替えコストにも影響を及ぼす可能性がある。

August 10, 2026

データセンター大手Switch、最大800億ドル評価でIPOを非公開申請 AI需要が追い風に

概要 米ラスベガスに本社を置くデータセンター運営会社Switchが、米国での新規株式公開(IPO)に向けて非公開ベースでの申請を行ったと、関係者の話としてBloombergが8月7日に報じた。上場時期は早ければ2026年11月にも見込まれており、調達額は最大100億ドル規模、評価額(負債込み)は500億ドル台から最大800億ドルまで、報道によって幅がある。案件はまだ規模・時期・評価額とも流動的で、今後変更される可能性があるという。引受幹事にはバンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーが名を連ねる見通しだ。 会社の背景と株主構成 Switchは2000年にCEOのRob Roy氏が創業し、ネバダ州、ミシガン州、ジョージア州、テキサス州でデータセンターキャンパスを運営してきた。2022年にはDigitalBridge GroupとIFM Investorsが約110億ドル(負債込み)で同社を買収して非公開化し、2023年にはオーストラリアの年金基金Aware Superが少数株主として出資している。現在もDigitalBridgeが筆頭株主の地位を維持しており、Andreessen Horowitz共同創業者のBen Horowitz氏が取締役会に加わる予定とも伝えられている。同社はAIコンピューティングを支える電力供給・冷却・接続インフラを大規模に提供しており、主要顧客にはNvidia、Dell Technologies、FedExなどが名を連ねる。 AIインフラ需要とIPO市場の過熱 今回の申請は、AI関連インフラへの投資家の旺盛な関心を背景にしている。2026年に入って以降の米国IPO調達額は累計1555億ドルに達し、2021年以来の高水準となっている。データセンター関連では、5月に上場したBlackstone Digital Infrastructure Trustが20億ドルを、7月にはBrookfield Corp.傘下のCsquareが12億1000万ドルを、それぞれ調達しており、投資家がデータセンター事業に大口の資金を投じる姿勢を鮮明にしている。SpaceXやAnthropic、OpenAIといった大型テック企業の上場観測も相次いでおり、こうした流れの中でSwitchのIPOも位置づけられる。 今後の見通し Switchは非公開でIPO申請を行った段階であり、正式な上場スケジュールや最終的な評価額は今後の市場環境や規制当局とのやり取りを経て確定する見込みだ。AIブームによるデータセンター投資の拡大が続く中、同社がどの程度の評価額で市場デビューを果たすかは、データセンター・AIインフラ関連企業の株式市場での評価を占う試金石として注目されそうだ。

August 9, 2026

SpaceX、IPO後初決算は売上78億ドルも158億ドルのAI投資で株価急落

概要 SpaceXは8月4日、IPO後初となる第2四半期決算を発表した。売上高は78億ドルと前四半期の47億ドルから大きく伸び、市場予想を上回る結果となった。しかし投資家の関心はむしろ設備投資の急拡大に集中した。第2四半期の設備投資は184億ドルに達し、前四半期の101億ドルから急増、このうち158億ドルがAIインフラ向けだったことが明らかになった。好調な売上にもかかわらず、AI関連支出の膨張が嫌気され、決算発表後に株価は時間外取引で一時約10%下落し110.95ドルまで下げた。これはIPO価格の135ドルはもちろん、最高値225.64ドルの半分以下の水準である。 セグメント別の内訳 売上の内訳を見ると、Starlinkを中心とする通信(コネクティビティ)事業が43億ドルで前四半期の33億ドルから伸長し、引き続き唯一の黒字事業となっている。一方でAI事業の売上も8億1800万ドルから26億ドルへと急拡大したものの、AI事業単体では第2四半期に13億ドルの損失を計上した。この赤字幅は第1四半期の25億ドルの損失からは縮小しており、投資は先行しつつも収益化が進みつつあることをうかがわせる。 AI投資の規模と市場の反応 今回の決算で最も注目されたのは、184億ドルという設備投資額のうち158億ドルという大部分がAIインフラに投じられていた点だ。前年同期比で557%という設備投資の急増ペースは、通信衛星事業を主軸としてきたSpaceXが急速にAIインフラ企業としての性格を強めていることを示している。市場はこの支出ペースの持続可能性に懐疑的な見方を示し、売上が予想を上回ったにもかかわらず株価は下落する結果となった。 経営陣のコメントと今後の展望 CEOのイーロン・マスク氏は「Starlinkが将来的に、少なくとも事業展開が認められている国々においては、世界のインターネットトラフィックの過半を担うようになる可能性も否定できない」と強気の見通しを語った。一方でCOOのグウィン・ショットウェル氏はより慎重な表現を用い、Starlinkが「インターネットトラフィックのかなりの部分を占めるようになる」との見方を示すにとどめた。両者のニュアンスの違いは、AI関連投資が拡大を続ける中で経営陣内でも成長期待の温度差があることを示唆している。投資家にとっては、今後もAIインフラへの巨額投資が続く中で、いつ収益性の改善が明確になるかが焦点となりそうだ。

August 9, 2026

UberとWayve、ロンドンで英国初の有人監督付きロボタクシー営業許可を取得

概要 ロンドン交通局(TfL)は8月5日、英国のAIスタートアップWayveが改造した車両を旅客輸送(PHV: Private Hire Vehicle)として正式にライセンス認可した。これにより、UberとWayveが連携する有人監督付き自動運転タクシーサービスが英国で初めて実現することになった。認可されたのは最大15台の車両で、1年間の試験運用という位置づけ。今年の夏には一般利用者向けのサービスが始まる見込みで、Uberが6月に開設した利用希望者リストにはすでに10万人以上のロンドン市民が登録しているという。 サービスの仕組みと技術詳細 今回認可されたのは電気自動車のFord Mustang Mach-Eをベースに、カメラやレーダーセンサー、自動運転ソフトウェアを搭載した改造車両。独立機関による評価の結果、これらの改造は1998年制定の私有旅客輸送車両(ロンドン)法の要件を満たすと確認された。運行にあたっては有資格の私有旅客輸送車両ドライバーが必ず同乗し、通常走行時はハンドルから手を離しているものの、車両全体の管理責任を負う「セーフティスーパーバイザー」として乗車する。利用者はUberアプリ上の専用予約フローを通じてオプトインする形でサービスを利用する。 背景と今後の見通し Wayveは2018年からロンドンで自動運転技術の実証を重ね、これまでに世界500以上の都市で走行テストを実施してきた実績を持つ。今年のMOVE 2026では、Wayve・Uber・ステランティスの3社がレベル4自動運転車両に関するグローバルパートナーシップを発表しており、今回のTfL認可はその一環と位置づけられる。将来的には無人運転のNissan車両の投入も計画されているが、これには英国運輸省の車両基準庁(DVSA)が発行する自動旅客輸送(APS)許可という、さらに別の規制承認が必要となる。TfLはコメントの中で「安全性が最優先事項であり、ロンドンの道路で旅客を運ぶ新たな車両は、2041年までに交通事故による死亡・重傷者をゼロにするというVision Zero目標に沿ったものでなければならない」と強調している。 ロンドンの自動運転タクシー市場では競争も激化している。Waymoは今年中の完全無人運転サービス開始を計画しており、BaiduのApollo Goも先週テストを開始し2027年の一般提供開始を目指している。Uber側は年内に世界10都市以上で自動運転配車サービスを展開する方針で、Wayveに加えてNuroともパートナーシップを結んでいる一方、既存のUber・Waymo提携は2028年に終了する予定となっている。

August 9, 2026