OpenStack 2026.1「Gazpacho」リリース — VMware移行支援と並列ライブマイグレーションで大規模クラウド運用を強化
概要 OpenInfra Foundationは2026年4月1日、OpenStackの第33弾リリースとなる 2026.1(コードネーム:Gazpacho) を正式発表した。15年にわたるプロダクションクラウドインフラの実績を持つOpenStackが、今回もコミュニティ主導で大幅な機能強化を達成した。100以上の組織から約500名のコントリビューターが参加し、6ヶ月間で9,000件ものコード変更が取り込まれた。貢献の40%はヨーロッパのコントリビューターによるもので、デジタル主権への関心の高まりを背景に、欧州でのオープンソースクラウド基盤への投資が活発化していることを示している。 本リリースは SLURP(Skip Level Upgrade Release Process) リリースに該当する。これにより、オペレーターは半年ごとにアップグレードする必要がなく、一つ前のSLURPリリースである2025.1(Epoxy)から直接アップグレードできる。次のリリースとなる 2026.2(Hibiscus) は2026年9月を予定している。 コンピュート機能の強化(Nova) 今回のリリースの目玉の一つが、Novaコンポーネントへの 並列ライブマイグレーション の導入だ。従来のシングルスレッドによるメモリ転送に代わり、複数のメモリ転送接続が同時実行され、ネットワーク転送が並列スレッドに分散されることで、大規模なワークロード移動をより高速に完了できる。これはVMware環境から移行を検討している組織が長らく求めていた機能であり、OpenStackのVMware代替としての競争力を大きく引き上げる改善となった。 また、仮想TPM(vTPM)インスタンスのライブマイグレーション にも対応した。Barbicanキー管理サービスにシークレットを永続化することで実現しており、セキュリティ要件の厳しいワークロードの移行も可能になった。 ベアメタルとネットワークの改善(Ironic・Neutron) ベアメタル管理コンポーネントの Ironic では、デプロイインターフェースの 自動検出 機能が追加され、オペレーターの手動設定の手間を大幅に削減した。トレイトベースのポートスケジューリングが物理ネットワーク属性を組み込むことで、デュアル冗長10Gbリンクなどの接続要件をポリシーとして指定でき、スケジューラーが条件に合うノードを自動的に割り当てる仕組みとなった。 ネットワーク管理の Neutron では、OVNドライバーが大規模デプロイメント向けの BGP操作 をサポートし、SR-IOVおよびPCIパススルーポートのサウス・ノースルーティングも追加された。これにより、トラフィック処理における不要なCPU関与を排除し、高スループット環境でのパフォーマンスが向上する。 AIインフラ対応とその他の更新 AIワークロードの需要増大に対応して、アクセラレーター管理プロジェクトの Cyborg が再投資を受けた。GPU、FPGA、NPU、その他ハードウェアをカバーする更新されたドライバー設定ガイドが提供され、AI基盤としてのOpenStackの活用をサポートする。 Watcher ではクロスゾーンマイグレーション戦略が追加され、ワークロード再分散の信頼性が向上。Manila(共有ファイルシステム)には新しいQoSタイプとパフォーマンスポリシー適用が導入された。VMwareからの移行需要が高まる中、運用の自動化・簡素化に注力したGazpachoは、オープンソースクラウド基盤の現実的な選択肢としてのOpenStackの地位をさらに強固なものにするリリースとなった。