OVH Cloud、AI需要による部品高騰「RAMpocalypse」でサーバー料金を最大87%値上げへ

概要 仏クラウド大手OVH CloudのCEO、Octave Klaba氏は、AI需要による部品価格の急騰(同氏は「RAMpocalypse」と呼ぶ)を理由に、2026年9月から新規サーバーレンタル料金を引き上げると警告した。値上げ幅は最大で2026年版ゲーミングサーバーの87%に達し、その他の新型サーバーでも40〜59%の値上げとなる。既存契約の更新時はこれより低く、3〜6倍緩やかな引き上げ率にとどまるという。AIブームによるハードウェアコストの高騰が、クラウド事業者の収益構造や料金体系にまで波及している実態を示す事例だ。 値上げの背景「RAMpocalypse」 Klaba氏によれば、メモリの調達価格は2026年6月までの1年間で6倍に達しており、2026年9月には9倍、2027年には12倍まで上昇する見通しだという。NVMeドライブは7倍、HDDは3.5倍に高騰し、CPU・マザーボード・ネットワークカードといった部材も15〜20%値上がりしている。同氏はこの背景として、AIブームに伴うハイパースケーラー各社の部品買い占めを挙げ、「グローバルな市況が、新規受注を継続する上で厳格な規律を強いている」と説明した。2027年時点のRAMやドライブの価格水準は不透明としながらも、「さらなる上昇の確率は非常に高い」と警告している。 具体的な値上げ内容 値上げは2026年9月から新規契約に適用され、対象サーバーの種類によって上げ幅が異なる。最も大きな影響を受けるのは2026年版ゲーミングサーバーで、料金は87%上昇する。その他の新型サーバーは40〜59%の値上げとなる一方、既存契約者が更新する場合の上げ幅はこれよりも大幅に低く抑えられる。また、2026年10月1日からはGen3インスタンスにおいてストレージ(1GB・1時間あたり0.000146ユーロ)とIP(1時間あたり0.0027ユーロ)を分離課金とするほか、契約プランについても1カ月・6カ月・24カ月プランを廃止し、12カ月・36カ月プランのみに絞り込む方針だ。 今後の見通し Klaba氏はこの部品価格高騰が2028年まで続くとの見方を示し、正常化は早くても2029年になるとの見通しを語った。業界関係者からは、AzureやAWSといった大手ハイパースケーラーも同様の値上げ発表を近く行うのではないかとの観測も出ている。AI需要を背景にしたメモリやストレージの供給逼迫は、OVH Cloud一社にとどまらず、クラウド業界全体のコスト構造に影響を与える可能性がある。

August 15, 2026

EC2に「アプリケーションステータスチェック」登場、Webサーバー障害もAuto Scalingで自動検知・復旧へ

概要 AWSは2026年8月10日、Amazon EC2に新しい「アプリケーションステータスチェック(application status checks)」機能を追加したと発表した。従来のEC2ステータスチェックはインスタンス本体や基盤システムへの到達可能性しか検出できず、Webサーバーがリクエストを受け付けなくなった、Dockerデーモンが停止した、ネットワーク設定を誤ってトラフィックが通らないといったアプリケーション層の異常を検知するには、利用者が独自の監視の仕組みを構築する必要があった。今回の機能追加により、同じEC2ステータスチェックの枠組みの中でアプリケーションの健全性まで監視できるようになり、異常が検出された場合はAuto Scalingと連携して不健全なインスタンスを自動的に置き換えることが可能になった。すべてのAWSコマーシャルリージョンおよびAWS GovCloud(US)リージョンで利用できる。 技術的な詳細 利用者はCreateApplicationStatusCheck APIを通じて、監視対象のプロトコル・ポート・パスと、正常とみなすレスポンスコード(例: “200,202,300-399"のような範囲指定も可能)を指定してチェックを作成し、インスタンスIDまたはタグでチェックを対象インスタンスに関連付ける。ヘルスチェックはAWSが利用者のVPC内に作成する管理用ENIから対象インスタンスへHTTP/HTTPSリクエストを送信する方式で、60秒間隔で実行され、タイムアウトは1〜30秒の範囲で設定できる。1台のインスタンスに複数のチェックを設定して、異なるポートで動く複数のサービスを個別に監視することも可能だ。一方で、TCPやgRPCといったHTTP/HTTPS以外のプロトコルには対応しておらず、レスポンスボディの中身を検証したりリダイレクトを追跡したりする機能はなく、HTTPS利用時も証明書検証は行われない。またチェック対象はVPC内からのアクセスに限られ、インターネット経由でのチェックはできない。 Auto Scalingとの連携 Auto Scalingグループ側では特別な設定変更をしなくても、アプリケーションステータスチェックの結果を利用した自動復旧が働く。実際に検証した記事では、インスタンス上のnginxを停止させたところチェックが異常を検知し、Auto Scalingが該当インスタンスを自動的に終了・置換する様子が確認されている。デフォルトでは300秒の初期化猶予期間(グレースピリオド)が設けられており、起動直後のインスタンスが安定するまでの間は誤検知による置換を防ぐ仕組みになっている。ロードバランサーを配置していないバッチサーバーや内部処理用インスタンスなど、これまでALBのヘルスチェックの恩恵を受けられなかった構成でも、アプリケーション層の異常検知と自動復旧を組み込めるようになった点が実務上のメリットとして挙げられている。 料金と注意点 本機能の利用には、ヘルスチェック用の管理ENIに対して1AZあたり1時間0.01ドルの料金が発生し、単一AZでの利用でも月額換算で約7.2ドル程度のコストがかかる。これに加えて、チェック結果をモニタリングする際の標準的なCloudWatchの料金も別途発生する。エージェントのインストールが禁止されている環境や、既存の監視エージェントを追加導入しにくい環境でも、EC2の標準機能としてアプリケーション層の監視を組み込める点は導入のハードルを下げる要素といえる。具体的な設定手順や詳細な仕様については、Amazon EC2ユーザーガイドを参照することが推奨されている。

August 15, 2026

Amazon EKS、コントロールプレーンの詳細設定に対応 スケジューラやHPAの挙動を調整可能に

概要 Amazon EKSは8月12日、Kubernetesコントロールプレーンを構成する各コンポーネントの設定パラメータを、これまでのデフォルト値を超えて細かく調整できる新機能を発表した。対象となるのはスケジューラ、コントローラマネージャー、APIサーバーの3コンポーネントで、それぞれノードへのポッド配置戦略、Horizontal Pod Autoscaling(HPA)の応答速度、イベントなどリソースのライフサイクル管理に関わるパラメータを制御できるようになる。管理型サービスであるEKSはこれまでコントロールプレーンの内部動作をブラックボックスとして提供してきたが、今回の変更によりユーザーはワークロードの特性に合わせてクラスタの挙動をチューニングできる余地が広がった。この機能はEKSが利用可能な全AWSリージョンで提供される。 技術的な詳細 代表的な利用例として紹介されているのが、スケジューラのノードリソース適合戦略(node resource fit strategy)を「MostAllocated」に設定するケースだ。デフォルトの「LeastAllocated」戦略は、ポッドをできるだけ多くのノードに分散させ、各ノードに余裕(ヘッドルーム)を残す挙動をとる。一方「MostAllocated」に切り替えると、スケジューラは既に十分利用されているノードへポッドを優先的に詰め込むようになり、同じワークロードをより少ないノード数で稼働させられる。ノード間の余裕確保が重要でないバッチ処理系のワークロードなどでは、この設定によりノードコストの削減が期待できる。このほか、コントローラマネージャー側ではHPAがメトリクスの変化に対してどれだけ迅速にスケールイン・スケールアウトを行うかという応答速度を、APIサーバー側ではイベントなどのリソースをどれだけの期間保持するかといったライフサイクルパラメータを、それぞれ調整可能になる。 背景と今後の展望 EKSのようなマネージドKubernetesサービスは運用負荷を下げる一方で、コントロールプレーンの内部パラメータが固定されているため、大規模クラスタや特殊なワークロード要件を持つユーザーにとってはチューニングの自由度が制約になる場合があった。今回のアップデートは、マネージドサービスの運用のしやすさを維持しつつ、セルフマネージドクラスタに近い柔軟性を一部取り戻す方向性を示すものといえる。設定可能なパラメータの詳細な一覧は公式ドキュメントで案内されており、コスト最適化やオートスケーリングの応答性向上を目的にクラスタ構成を見直したいユーザーは、自身のワークロード特性に応じて設定変更を検討する価値がある。

August 15, 2026

QuantinuumとOracleが提携、量子コンピュータ「Helios」をOCI上でクラウドサービス化へ

概要 QuantinuumとOracleは2026年8月11日、複数年にわたる戦略的パートナーシップを発表した。Quantinuumの最先端量子コンピュータ「Helios」を米国のOracle Cloud Infrastructure(OCI)データセンター内に設置し、既存のOCIコンピュート、ネットワーク、ストレージ、ID、データサービスと同じガバナンス・アクセス制御のもとでマネージドサービスとして提供する計画だ。企業顧客は専用の量子ハードウェアを自ら調達・設置・運用することなく、クラウド経由でHeliosにアクセスできるようになる。OCI量子サービスのプレビューは数ヶ月以内に予定されている。 Heliosの仕様と技術的特徴 Heliosは2025年11月に商用化されたQuantinuumの第3世代量子コンピュータで、トラップイオン方式を採用している。98個の物理量子ビットを備え、48個の論理量子ビットを用いたデモンストレーション実績を持つ。2量子ビットゲート忠実度は99.921%と「3ナイン」の閾値を超えており、エラー訂正の観点でも高い水準にある。電力消費は約60kWと、大手スーパーコンピュータの報告値の1%未満に抑えられており、従来型HPC環境との統合に適した設計となっている点も特徴だ。 OCIとの統合とターゲット領域 Heliosは既存のOCIのGPUおよびHPCリソースと並行してアクセス可能な形で統合され、企業は開発スタックやオープンソースのハイブリッドプログラミングフレームワークを通じて量子・AI・古典計算を組み合わせたワークロードを構築できる。想定される応用分野は、創薬、材料科学、金融モデリング、大規模最適化など多岐にわたる。Quantinuumの経営陣は「量子、AI、高性能コンピューティングの統合が次段階のエンタープライズコンピューティングの鍵になる」と述べ、Oracle側も「量子はAIが実現可能にしたことをさらに拡張できる」とコメントしている。 市場での位置づけと今後の展望 Forresterのアナリストは、今回の統合が既存のクラウドガバナンスやセキュリティワークフローの中に量子アクセスを組み込むことで採用の障壁を下げると評価する一方、「ほとんどの企業組織は依然として概念実証(PoC)段階にあり、本番環境での明確な量子優位性はまだ限定的」とも指摘する。同アナリストによれば、企業の量子コンピューティング活用は投資収益の即時実現よりも、アルゴリズム開発や人材育成、特定分野での研究といった「能力構築」に重点が置かれており、採用タイムラインに大きな変化はないと見込まれている。それでも、AWSやMicrosoft Azureなど主要クラウド事業者が量子アクセスをサービス化する流れの中で、Oracleの参入はハイブリッド量子・AI活用の裾野を広げる一歩となりそうだ。

August 15, 2026

AIデータセンターの急変動する電力需要がタービンやバッテリーを損傷、稼働率は想定を大きく下回る80%程度に

概要 AIワークロードが生み出す急激な電力需要変動が、データセンター自身の設備を物理的に損傷させる事態が広がっている。GPUクラスタは学習・推論の負荷に応じて数秒単位で電力消費が大きく上下し、テスラの元幹部によれば1ギガワット規模の施設が一瞬で1.5ギガワットもの電力を消費することもあるという。この急変動に晒され続けた結果、テネシー州メンフィスにあるxAIのColossus施設や英国の小規模データセンターでガス駆動タービンにひび割れが発生するなど、複数の拠点で設備故障が確認されている。想定では年間を通じて99%超の稼働率を見込んでいたが、実際には80%程度まで低下している施設もあり、AI需要拡大を支えるクラウド基盤の信頼性に疑問符が付き始めている。 具体的な損傷事例と原因 負荷変動の影響はタービンだけにとどまらない。電力を安定化させる目的で設置されたバッテリーも、想定より大幅に早い数週間から数ヶ月というサイクルで交換が必要になるほど劣化が加速しているほか、ガス発電エンジンのクランクシャフトが破損する事例も報告されている。さらに損傷した機器から発生する電気アークがAIチップ自体を損傷させる懸念もある。データセンターの運用を専門とするUptime Instituteの担当者は、この状況を「一定速度で走らせるのではなく、エンジンを絶えず高回転させ続けているようなもの」と表現し、設備の急速な摩耗リスクを指摘している。 経済的影響とグリッドへの波及 稼働率低下はダウンタイムによる収益損失として直接的な打撃を与えており、その規模は1分あたり数千ドルから数十万ドルに上るとされ、投資家の間でも懸念が広がっている。実際、Microsoft向けとされるテキサス州の施設では、信頼性確保を優先した結果、完成時期が2027年から2028年へと延期された。問題は個別施設にとどまらず、電力網全体の安定性にも及ぶ。北米電力信頼性機関(NERC)は評価対象とした33ギガワット分のデータセンター負荷のうち、約4分の3にあたる負荷モデルが実態を十分に反映していないと判定し、レベル3の警告を発令している。 今後の展望 こうした事態を受け、業界と規制当局の双方で対応が始まっている。Nvidiaは最新のBlackwell世代GPUの開発において電力専門家との協業を強化し、負荷変動を織り込んだ設計に取り組んでいる。米エネルギー省もコロラド州でAIの電力需要を安全に電力網へ統合する実証施設を立ち上げており、担当者は「今が対応を正しく整える機会だ」と述べている。AI需要の急拡大がインフラの物理的な限界を試す局面に入りつつあり、今後12〜24ヶ月の間に投資家や電力事業者への影響がさらに顕在化する可能性がある。

August 14, 2026

Cloudflare、FedRAMP High認証を取得 米政府機関の機密ワークロードに対応へ

概要 Cloudflareは8月10日、政府向けサービス「Cloudflare for Government」がFedRAMP High認証と、州・地方自治体向けの「GovRAMP Moderate」認可を取得したと発表した。FedRAMP Highは国防・重要インフラ関連のHigh Impactデータを扱うための連邦政府クラウドセキュリティ基準で、これにより同社は専用の政府向けネットワークを別途構築することなく、国家安全保障、重要インフラ、金融システムに関わる機密性の高いワークロードにも対応できるようになった。米国公共部門担当バイスプレジデントのDavid Mihalchik氏は、FedRAMP HighやGovRAMP Moderate、そして追求中のDoD IL4認可により、連邦・州・地方・防衛の各チームがレガシー技術から脱却し、「より安全で効率的、かつ革新的な未来」へ移行できると述べている。 技術的な詳細 Cloudflare for Governmentの基盤は、335以上の都市・125カ国以上に展開する同社のグローバルネットワークと同一のソフトウェアで構成されており、ゼロトラストセキュリティと耐量子暗号(post-quantum cryptography)を組み込んでいる点が特徴だ。処理は15の米国内都市圏に限定されることで、機密データを国内に留めたまま同社の分散ネットワークによる高速な配信・保護を両立させている。これにより、統合されたセキュリティ、パフォーマンス、AI、開発者向けサービスを政府機関にもそのまま提供できる構成となっている。 認証取得の経緯と今後の展望 Nextgovの報道によれば、CloudflareはFedRAMP High認証を8月7日に取得し、GovRAMP Moderate認可はその前の4月に取得済みだった。同社の技術は既にエネルギー省、保健福祉省、商務省、国土安全保障省、内務省、司法省、国務省など複数の連邦機関を含む100以上の米国政府機関で採用されている。Cloudflareは今後、統制対象非機密情報(CUI)を扱う国防総省のワークロードに対応するため、DoD Impact Level 4(IL4)認可の取得も目指すとしている。なお今回の認証取得は、FedRAMP責任者が脆弱性パッチ対応の遅い企業に対し政府への製品販売を控えるよう警告した直後というタイミングでもあり、政府調達におけるセキュリティコンプライアンスの重要性が改めて浮き彫りになっている。

August 14, 2026

Vantage Data Centers、評価額1000億ドルでのIPOまたは売却を検討 データセンター業界で過去最大規模に

概要 事情に詳しい関係者の話として、ハイパースケールデータセンター事業者のVantage Data Centersが、評価額約1000億ドルでの新規株式公開(IPO)または売却を検討していることが明らかになった。IPOが実現すれば、調達額は約100億ドル規模になる見通しで、データセンター企業として過去最大級のIPOとなる可能性がある。関係者によれば、検討はまだ初期段階にあり、計画は今後変更される可能性もあるという。Silver Lakeはコメントを控え、DigitalBridgeとVantageからは直ちに回答が得られていない状況だ。 背景と出資構造 Vantageは投資会社Silver LakeとデジタルインフラプラットフォームのDigitalBridge Groupの支援を受けて成長してきた企業で、2023年末以降だけでも約110億ドルを調達している。最近ではOracleおよびOpenAIと提携し、米ウィスコンシン州でデータセンター施設の開発を進めるなど、AI関連の大型案件への関与を強めていた。こうした実績が、今回の大型評価額での上場・売却検討の土台になっているとみられる。 業界の動向 生成AIの需要急増を背景に、データセンター事業者には投資家から数十億ドル規模の資金が流入しており、上場を模索する動きが業界全体に広がっている。SwitchやCyrusOne、DayOneといった同業他社も、記録的な評価額でのIPOを計画しているとされ、Vantageの動きは業界全体で進む資本市場アクセスの活発化を象徴する事例と言える。AIインフラ投資の拡大により、データセンター企業の資金調達環境がこれまでになく好転していることがうかがえる。 今後の見通し 現時点では正式なIPOプロセスは開始されておらず、実際の取引が実現するのは2027年以降になる可能性がある。今後、Vantageが上場と売却のどちらを選択するか、また評価額が最終的にどう決着するかが焦点となる。AI需要を背景としたデータセンター投資ブームが今後も続くかどうかも、この案件の行方を左右する重要な要素になりそうだ。

August 14, 2026

VMware vCenterの重大脆弱性CVE-2026-59310、パッチ公開わずか5日で悪用拡大 47か国361システムが侵害

概要 BroadcomのVMware vCenterに存在する重大なディレクトリトラバーサル脆弱性「CVE-2026-59310」(CVSSスコア9.8)が、パッチ公開からわずか5日後には実際の攻撃キャンペーンで悪用され始めていたことが、ドイツのデジタルフォレンジック企業QUIRSOの調査で明らかになった。Broadcomは2026年7月29日に脆弱性を公開し修正パッチをリリースしたが、攻撃者は8月3日には侵害を開始しており、8月3日から5日にかけて被害の約95%が集中して発生した。QUIRSOはこれまでに47か国361件の被害者IPアドレスを確認しており、特にドイツ、米国、トルコ、イラン、フランスの5か国だけで185件と過半数を占めている。8月4日単日だけで151件もの新規被害が確認されるなど、キャンペーンは急速に拡大した。QUIRSOのCOOであるDenis Szadkowski氏は「われわれが調査した活動は単なる悪用の試みではなく、実際に侵害が成功したことを示すものであり、フォレンジック証拠はCVE-2026-59310が初期侵入経路であることを強く裏付けている」と述べている。 技術的な詳細 CVE-2026-59310はvCenterのSyslogサーバーに存在するディレクトリトラバーサルの欠陥で、ネットワークアクセスさえあれば認証なしで任意のコードを実行できてしまう。攻撃者はまずこの脆弱性を突いてパストラバーサルを行い、悪意あるcronジョブを仕込んで永続化を図った上で、オープンソースのSSHトンネリングツール「reverse_ssh」を導入して攻撃者インフラへのリバースSSH接続を確立していた。reverse_sshはアウトバウンド方向の接続を利用するため、多くの環境で設定されている受信トラフィックのアクセス制御を回避できる点が悪用の狙いとみられる。VMware vCenterは仮想マシンやESXiサーバー、組織全体のアクセス権限を一元管理する中枢インフラであるため、侵害された場合の影響範囲は極めて大きい。QUIRSOは高度な持続的脅威(APT)アクターの関与を疑っているが、法執行機関との調整のため、現時点で具体的な痕跡情報(IOC)の公開は控えているという。 対応策と今後の展望 Broadcomは本脆弱性に対する回避策(ワークアラウンド)を提供しておらず、緊急パッチの適用が唯一の対策となる。修正済みバージョンはvCenter 9.1系が9.1.0.0300、9.0系が9.0.2.0100、8.0系がU3kまたはU2f(ブランチにより異なる)である。セキュリティ企業SectigoのシニアフェローJason Soroko氏は「パッチを適用するだけでは問題は解決しない。脆弱性そのものを塞ぐタイムラインと、すでに侵入した攻撃者を排除するタイムラインという、2つの時計を並行して管理する必要がある」と警鐘を鳴らしている。管理者は単にパッチを適用するだけでなく、脆弱なvCenterアプライアンス上でreverse_sshのような不審なツールのインストールや、想定外のアウトバウンド通信がないかを速やかに確認し、侵害の痕跡調査を行うことが強く推奨される。

August 14, 2026

CoreWeave、第2四半期売上高が前年比112%増の25.8億ドル 受注残高1040億ドルで通期見通しも上方修正

概要 AIクラウドインフラ企業のCoreWeave(CRWV)は8月11日、2026年第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期の12.1億ドルから倍増以上となる25.8億ドルに達し、ウォール街予想の25.6億ドルをわずかに上回った。1株当たり損失は1.14ドルとなり、アナリスト予想の1.41ドルの損失より小幅にとどまった。決算発表を受けて株価は時間外・プレマーケット取引で一時20%近く急伸するなど、市場は好感を示した。CEOのMichael Intrator氏は「事業規模の拡大が営業レバレッジの拡大につながる、重要な転換点を迎えた」とコメントし、利益率改善への自信を示している。 業績の内訳 売上高が大きく伸びる一方、純損失は6.26億ドルとなり、前年同期の2.90億ドルから倍以上に拡大した。主因は金利費用の急増で、純金利費用は前年の2.67億ドルから6.40億ドルへとほぼ倍増した。同社は第2四半期中に無担保債・転換社債で100億ドル以上、シニアローンで31億ドル、さらに Jane Street からの戦略的投資として10億ドルを調達しており、急拡大するデータセンター投資を賄うための資金調達コストが損益を圧迫した形だ。技術・インフラ関連費用も6.70億ドルから15.1億ドルへと大きく増加している。 一方で収益性を示す指標は改善している。調整後EBITDAは15.1億ドル(利益率59%、前年は62%)、調整後営業利益は1.28億ドルとなり、アナリスト予想の6,600万ドルを大きく上回った。発電容量はこの四半期でおよそ500メガワット拡大し、合計1.5ギガワットに達している。 受注残高と通期見通し 6月30日時点の収益バックログ(受注残高)は1040億ドルに達し、前年同期比246%増という急拡大を見せた。第3四半期に入ってからも新規顧客からの契約獲得は続いており、250億ドル以上の新規コミットメントをすでに獲得している。これを受けて同社は2026年通期の売上高見通しを124億〜132億ドルに引き上げ、調整後営業利益についても9.6億〜11.5億ドルとするガイダンスを示した。第3四半期の売上高見通しは34.5億〜36億ドルとしている。 今後の展望 CoreWeaveの決算は、AI需要を背景にした急成長と、それを支えるための巨額の先行投資・借入負担という、AIインフラ企業に共通する構図を改めて浮き彫りにした。受注残高の急拡大と通期見通しの上方修正は投資家に成長の持続性への期待を抱かせた一方、金利費用の増加による純損失の拡大は、同社が積み上げる負債規模の大きさを物語っている。Intrator CEOが強調する「利益率改善」がデータセンター投資の回収と両立できるかどうかは、今後の四半期決算でも焦点となりそうだ。

August 14, 2026

IREN、MicrosoftへAIデータセンター「Horizon 1」を引き渡しNVIDIA最高評価を取得

概要 データセンター企業IRENは8月13日、米テキサス州チルドレスのキャンパスに建設したAIクラウド施設「Horizon 1」をMicrosoftに引き渡し、顧客側での受け入れが完了したと発表した。同時に、NVIDIAによるGB300 NVL72導入のテスト結果を受けて、最高評価となる「Exemplar Cloud」認定を取得したことも明らかにした。この認定は、高負荷なAIワークロードを性能・信頼性・スケールの面で支えられる能力を持つ事業者であることを示すものだ。 Horizon 1は、2025年11月に発表されたMicrosoftとの97億ドル規模・5年間のクラウドサービス契約に基づき、チルドレスキャンパスに順次構築される4棟の直接液冷式AIクラウド施設のうち最初の1棟にあたる。各施設はIT負荷ベースで50MWの規模を持ち、2026年中にすべてMicrosoftへ引き渡される計画となっている。 技術的な詳細 Horizon 1はチップへの直接液冷方式を採用した50MW(IT負荷)規模のAIクラウド施設で、NVIDIAのGB300 NVL72を導入している。NVIDIAはこの導入環境を検証した上で、IRENに「Exemplar Cloud」のステータスを付与した。これは大規模GPUクラスタを安定的かつ高性能に運用できる事業者に対してNVIDIAが与える評価であり、IRENの垂直統合型の運営モデルの実効性を裏付ける形となった。IREN共同創業者・共同CEOのDaniel Roberts氏は、「Horizon 1の引き渡しは、当社の垂直統合モデルの強みを証明するものだ」と述べ、3,000人を超える現地サイトチームの貢献を称えた。 背景と今後の展望 IRENとMicrosoftの契約は2025年11月に発表され、チルドレスキャンパスにおいて2026年中に4棟の50MW施設(Horizon 1〜4)を段階的に引き渡す計画となっている。今回のHorizon 1の完了はその第一弾であり、IRENは残るHorizon 2〜4についても2026年内の引き渡しを目指すとしている。同社は2026年中にAIクラウドの総容量(グロス)を480MWまで、2027年には1.2GWまで拡大する目標を掲げており、Horizon 1の完成とNVIDIAからの高評価は、この拡大戦略を後押しする材料となりそうだ。

August 14, 2026