2025年Q4クラウドインフラ支出が1,109億ドル突破——ハイパースケーラーのAI投資が牽引し6四半期連続20%超成長
概要 調査会社Omdiaは2026年3月、2025年第4四半期(10〜12月)のグローバルクラウドインフラ支出に関するレポートを発表した。支出総額は前年同期比29%増の1,109億ドルに達し、2024年Q3から数えて6四半期連続で20%超の成長率を維持している。2026年通年でも27%の成長が予測されており、クラウド市場の拡大基調は当面続く見通しだ。この成長を主導しているのは、AWS・Microsoft Azure・Google Cloudのいわゆる「ハイパースケーラー3社」によるAIインフラへの積極的な設備投資である。 各社の業績と市場シェア Q4 2025時点での市場シェアは、AWSが32%でトップを維持し前年比24%成長、Microsoft Azureが22%で同39%成長、Google Cloudが12%で同50%成長となった。特にGoogle Cloudの成長率は3社の中で最も高く、バックログ(受注残)も前四半期比で大幅に積み上がり2,400億ドルに達している。AWSのバックログも2,440億ドルと高水準で推移しており、いずれも今後の安定的な収益基盤を示している。 AI関連サービスでも各社の拡大が際立つ。AWSではAmazon Bedrockが数十億ドルの年換算実行率に達し、前四半期比60%増という急成長を遂げた。MicrosoftはMistral Large 3やGPT-5.2、Claude Opus 4.6など多数のモデルをプラットフォームに統合し、AI活用の幅を広げている。GoogleはAppleとの提携により次世代基盤モデルの開発を進めるなど、3社それぞれが独自のAI戦略を加速させている。 AI需要が変える設備投資の規模感 各社が公表している2026年の設備投資(CapEx)計画は、いずれも過去最大規模となっている。AWSは2025年の1,320億ドルから50%以上増加となる2,000億ドルを予定しており、Microsoftは四半期CapExが375億ドルに達した(前年同期比150億ドル増)。Googleは年間1,750〜1,850億ドルを計画しており、前年比でほぼ2倍の規模となる。 注目すべきは、この投資がGPUに偏っていた従来とは異なり、CPU・ストレージ・ネットワーク機器を含むフルスタックのインフラ全体へと波及している点だ。AIワークロードの多様化・本格化に伴い、特定のアクセラレータだけでなくデータセンター全体の刷新が求められるようになっている。 今後の展望と課題 Omdiaのシニアディレクター、Rachel Brindley氏は「ベンダーの課題は単なる容量スケーリングにとどまらず、投資ペースとリソース配分における規律あるアプローチが求められる」と指摘する。同社シニアアナリストのYi Zhang氏も「AIをスケールで実用的に統合できるかどうかが重要であり、ツールのガバナンスとワークフロー編成への投資強化が不可欠だ」と述べ、エンタープライズAIが実験フェーズから本番運用フェーズへと移行しつつある現状を強調している。 競争の差別化軸は「インフラスケール」「資本効率」「AIエージェント機能」へとシフトしており、特にエージェント開発とワークフロー統合が今後の主要な競争領域となる見通しだ。Microsoftはサウジアラビア東部に新たなデータセンターを2026年Q4に開設予定であるなど、地理的な拡張も加速している。