OpenAI、SpaceX傘下となったCursorへのモデル提供を11月12日で終了へ マスク氏との対立が再燃
概要 OpenAIは8月29日、AIコーディングツールCursorを開発するAnysphereがイーロン・マスク氏率いるSpaceXに約600億ドルで買収されたことを受け、Cursorへの自社モデルの提供契約を終了すると発表した。SpaceXの買収は6月に発表され8月に完了したばかりで、OpenAIはこれに伴う契約上の「支配権変更」条項を根拠に、Cursorの自社モデルへの直接アクセスを11月12日付で打ち切る方針を示した。約4年にわたり続いてきたOpenAIとCursorの協業関係が、マスク氏の企業再編を機に幕を下ろす形となる。 打ち切りの理由と両者の応酬 OpenAIは声明で「SpaceXが当社の利用規約を順守すると確信を持てないため、この選択をする」と説明し、その根拠としてマスク氏傘下企業による過去の契約違反を挙げた。具体的には、2022年にマスク氏が買収したTwitter(現X)がOpenAIとの利用規約に違反した経緯や、xAIによる規約違反をマスク氏自身が宣誓のうえで認めた経緯を指摘している。OpenAIはCursorに供給予定だった新モデル「Astra」についても、今回の契約下では提供しない方針という。これに対しマスク氏は「どうでもいい(I couldn’t care less)」と素っ気なく応じており、両者の応酬は今年前半にマスク氏がOpenAIとアルトマン氏を相手取って起こした1500億ドル規模の訴訟(陪審はマスク氏側に不利な評決)以来続く対立の延長線上にある。 開発者とCursorへの影響 Cursor共同創業者のマイケル・トゥルーエル氏によれば、OpenAIのモデルはCursorのユーザートラフィックのうち約5%を占めるにとどまるとされ、直接的な事業インパクトは限定的とみられる。ただし影響を受ける開発者に配慮し、11月12日までの移行期間を設け、代替手段への切り替え支援を行うとしている。一方Cursor側は、Anthropic製のClaudeモデルなど他の提供元への依存を一段と強める見通しで、Anthropicも同ツール向けにClaudeモデルを支える計算リソースの増強を表明し、OpenAI撤退後の受け皿としての立場を強めつつある。 今後の展望 今回の措置は、AIコーディングツール市場における主要モデル提供元の力学に変化をもたらす可能性がある。OpenAIは大口パートナーとの契約に個別の安全策を設ける方針を強調しており、企業買収などによる支配権の変化が今後もモデル提供契約の見直しにつながり得ることを示唆した形だ。マスク氏とアルトマン氏の対立が続く中、SpaceX傘下に入ったCursorがAnthropicなど他のAIモデル提供元との関係をどう強化していくか、今後の動向が注目される。