概要
Canvaは10月22日、自社開発の初の画像生成基盤モデル「Canva Craft」を発表した。最大の特徴は学習データにある。多くの画像生成モデルが写真を中心に学習するのに対し、Craftはポスター、ソーシャルメディア投稿、プレゼンテーション、インフォグラフィック、メニューといった、Canvaのライブラリに蓄積された人間がデザインしたテンプレート群を学習データとした。Canvaは自社を「画像生成分野で世界第2位のAIラボ」と位置づけ、画像生成モデルの評価基準であるDesign ArenaのグローバルリーダーボードでOpenAIに次ぐ2位にランクインしたことをアピールしている。Craftは全ユーザーが利用可能で、Canvaプラットフォーム内のDream Labタブからアクセスできる。
技術的な仕組み
Craftは2段階のプロセスで画像を生成する点が特徴的だ。第1段階では、ユーザーのプロンプトを解釈し、要素同士の空間的な配置関係、相対的なスケール、視覚的な階層、テキストの位置といったレイアウトの計画を立てる。第2段階では、その計画に基づいて最大2K解像度、30種類のアスペクト比で実際の画像を生成する。この「計画を先に立ててから生成する」アプローチにより、要素の配置精度や文字の可読性を高め、生成後の手直しを減らすことを狙っている。生成された画像は「Magic Layers」技術によってレイヤー分割された編集可能なデザインに変換できる点も、写真生成を主目的とする一般的な画像生成AIとは異なる、デザイン実務に即した特徴となっている。
背景と今後の展望
Canvaは2024年に画像生成AIスタートアップのLeonardo.aiを買収しており、同社の研究者がCraftの開発に貢献したとされる。デザインテンプレートに特化した学習データの採用も、この買収によって得た技術的知見が反映されたものとみられる。今後はコスト効率を高めた軽量版「Craftfast」「Craft-ultrafast」のリリースが予定されているほか、API経由での開発者向け提供や、ChatGPTやGeminiといったサードパーティのAIアシスタントからCanvaのMCP(Model Context Protocol)を通じてCraftを呼び出せるようにする統合も進められている。写実性を競う既存の画像生成AI競争とは異なる軸で、実務のデザイン作業に組み込まれることを前提としたモデルとして、Craftが画像生成市場でどのような位置を確立していくか注目される。