概要

Amazonは、オランダ・アムステルダムを拠点とする分析データベースDuckDBの開発元DuckLabsを買収したと発表した。DuckDBはHannes MühleisenとMark Raasveldtの両氏が創設したDuckLabsが開発・保守してきたオープンソースの分析データベースで、1テラバイト未満のデータに対するクエリで高速な性能を発揮するよう設計されている。実世界の分析処理の多くはこの規模に収まるとされ、さらにAIエージェントによる探索的なクエリ用途にも適しているという特徴を持つ。買収の金額や契約条件は明らかにされていないが、報道によれば両社の合意は2026年8月に発表されたとされる。

オープンソースとしての今後

買収後もDuckDB本体やDuckLake、Quackといった関連プロジェクトはMITライセンスの下で無償提供され続け、非営利組織であるDuckDB Foundationによる監督体制も維持される。共同創業者らは「AWSに参画することで、この技術をより多くの開発者に届けるためのリソースと展開力が得られる」とコメントしており、コミュニティからは買収がDuckDBの独立性を損なうのではという懸念もありつつ、総じて慎重な歓迎の声が上がっている。AWS側も、創業者らのビジョンを自社に取り込むのではなく、その実現を後押しする立場であることを強調し、DuckDBの分析アプローチとAmazonのデータ戦略が方向性として一致している点を説明している。

Aurora PostgreSQLへの統合

買収後最初の具体的な成果として、Aurora PostgreSQLとDuckDBを組み合わせた統合が進められている。これにより、AuroraのトランザクションデータとS3上にApache IcebergやParquet形式で保管された履歴データを、単一のクエリでシームレスに結合して分析できるようになる。従来、トランザクションデータと分析用データを結びつけるには逆方向のETLパイプラインを構築する必要があったが、この統合によってその手間が不要になり、処理はAurora内で完結するためデータ移動やETLのオーバーヘッドも発生しない。分析処理をAWSのマネージドサービスの中でそのまま実行できるようになることで、開発者がデータ基盤を独自に構築・運用する負担を減らせる点が今回の統合の狙いといえる。

今後、DuckDBのエンジンがAWSの他のマネージドサービスにどこまで組み込まれていくかが注目される。オープンソースとしての独立性を保ちながら大手クラウドベンダーの基盤技術として採用される今回のケースは、分析データベース業界における買収・統合の一つの先行例となりそうだ。