概要
Microsoftは10月21日、Visual Studio Codeのバージョン1.143(October 2026 Release、実際の配布バージョンは1.143.1)を公開した。今回の目玉は、Copilotの実行基盤である「ハーネス」の刷新だ。新規セッションでは、Copilot SDKに基づいた最新のハーネスがデフォルトとなり、エディタウィンドウとAgentsウィンドウの両方でセッションを実行できるようになった。この統一基盤はAgent Hostを通じて動作し、Copilot製品全体で動作・機能・改善を共有する狙いがある。これまでハーネスごとに個別実装されていた挙動が、今後はこの共有基盤上に統合されていく見通しだ。
複数AIモデルの比較機能
プレビュー機能として追加された「モデル比較」は、同一タスクをCopilot、Claude、Codexといった複数のハーネス・モデルの組み合わせで並行実行し、結果を比較できるようにするものだ。各試行は独立したセッションとして進行状況を個別に監視でき、完了後はジャッジ役のモデルがスコアカード、検証証拠、トークン使用量を提示して優劣を評価する。さらに「Synthesize」機能により、推奨されたソリューションをベースに他の候補案の良い部分を取り込み、1つの解へ統合することも可能になっている。複数モデルの出力を人手で比較検証する手間を減らす狙いがあり、エージェント活用が進む中での実務的なニーズに応えた機能といえる。
ワークツリー管理とローカルモデル実行
実験的機能として、「Chat: Open Worktree Cleanup」コマンドが追加され、非アクティブなGitワークツリーのサイズを一覧表示し、不要なものを削除してディスク容量を回収できるようになった。マージ済みPRに対応するワークツリーを自動でクリーンアップする設定も用意されており、アクティブなセッションやピン留めされたセッションは保護対象として除外される。エージェントによる並行開発でワークツリーが乱立しがちな状況に対応した機能だ。
また、ローカル環境でモデルを実行する実験的機能も追加された。「On This Device」タブからMAI Code 1.1 Flashをダウンロードし、デバイス上で推論を実行できる。ただしNVIDIA GPUで96GB以上のメモリが必要となっており、利用できる環境は限られるが、デバイス上で処理が完結するためAIクレジットを消費しない点がメリットとなる。
その他の改善点
このほか、ファイル単位で変更を確認・確定できる「Keep」機能によるワークセット管理の簡素化、大規模なチャット履歴の復元時間を35.6秒から9.0秒へ大幅短縮した高速化、診断ハイライトの表示上限を500件から5,000件へ拡張、変更ファイル間を一覧からナビゲートできるマルチファイルDiff機能、デタッチされたバックグラウンドシェルの出力をリアルタイムに表示する機能などが盛り込まれている。全体として、AIエージェントを用いた開発ワークフローの実用性と可視性を高める方向の改善が中心となっている。