概要

Electronic Arts(EA)は10月21日、1995年創業の名門RPGスタジオBioWareを閉鎖し、開発中だった新作『Mass Effect』の開発を中止すると発表した。全社でおよそ400人(全従業員の約3%)が人員削減の対象となり、このうちBioWareからは約50人が含まれる。BioWareは声明で「30年以上にわたる共に歩んだ冒険の末、BioWareは幕を閉じます」とコメントし、スタジオそのものの終焉を告げた。2020年に発表され、1年前には開発継続が保証されていたはずの新作『Mass Effect』も、初期開発の段階で打ち切られることになった。

買収による債務負担が背景に

今回の閉鎖の背景には、サウジアラビア政府系ファンドPIF(Public Investment Fund)が主導し、ジャレッド・クシュナー氏のAffinity Partnersも関与した550億ドル規模のEA買収がある。この買収によりEAは180億ドルの債務を負い、年間18億ドルの金利負担を抱えることになった。EAは年間7億ドルのコスト削減を公約しており、そのうち1億7000万ドルは組織再編によるものとされる。EA経営陣は「過去数カ月、自社の事業を厳しく見直してきた」と説明しており、BioWareの閉鎖はこの一連のコスト削減策の一環と位置づけられる。同時にEAは『The Sims』関連の新規プロジェクト(コードネーム「Lotus」)も中止したと報じられている。

BioWareの歴史と近年の苦境

BioWareは1995年、医師のレイ・ムジカ氏とグレッグ・ゼシュク氏によって設立され、『Baldur’s Gate』『Neverwinter Nights』『Star Wars: Knights of the Old Republic』『Dragon Age』『Mass Effect』といった、RPGの歴史に残る名作シリーズを生み出してきた名門スタジオである。2007年にEAに買収されて以降、2019年のライブサービス型タイトル『Anthem』が商業的に失敗したほか、2024年にリリースされた『Dragon Age: The Veilguard』は批評面では好意的な評価を得たものの、EAが「期待に届かなかった」と位置づける売上に終わり、発売前後で度重なる人員削減に見舞われていた。

今後の展望

EAは今後、スポーツゲーム群や『Apex Legends』、Marvel・Star Wars関連タイトルといった既存の主力IPへの資源集中を進める方針を示している。一方でファンやコミュニティからは「本当に悲劇だ」といった落胆の声が広がっており、大型買収後に老舗スタジオが相次いで閉鎖される流れへの懸念も指摘されている。なお、Bloombergの記事は本稿作成時点でアクセス制限(403)により内容を確認できなかった。