両社取締役会が特別委員会を設置
イーロン・マスクはSpaceXの第3四半期決算発表の場で、TeslaとSpaceXの経営統合に向けて両社の取締役会がそれぞれ独立社外取締役からなる特別委員会を設置したことを明らかにした。マスクによれば、この動きは株主からの要請を受けたものだという。合併の是非について同氏は「確実視している人もいるが、それは誤りだ」と慎重な姿勢を示しつつも、「良い考えだと思う」と統合に前向きな考えを述べた。交渉はまだ初期段階にあり、合意に至る保証はないとされる。統合の狙いとしては、Super Intelligence向けソフトウェアやチップ設計、Terafab、ロボティクス、衛星コンステレーション「Starmind」による地球低軌道輸送、通信事業といった分野での連携強化が挙げられている。
AI事業がStarlinkを上回る好決算
合併観測の背景には、SpaceXの好調な業績がある。同社の第3四半期売上高は前年同期比161%増の146億ドルとなり、LSEGがまとめたアナリスト予想の127.2億ドルを大きく上回った。さらに上場企業として初めて四半期営業利益を計上したことも明らかになった。特に目立つのがAI関連事業「Super Intelligence」の急成長で、売上高は前年の8.13億ドルから830%増の75.6億ドルに達し、クラウドサービス契約の新規獲得やCursorの買収、法人・個人向けGrokの採用拡大が寄与したという。この結果、Super IntelligenceはStarlinkを含む通信事業の売上高(前年比69%増の52億ドル、うち個人向け31億ドル、法人・政府向け21億ドル)を初めて上回った。Starlinkの個人向け契約者数も6月末の1,200万人から1,360万人に増加しており、通信事業自体も堅調に拡大している。
株価反応と今後の見通し
好決算と合併観測を受け、SpaceXの株価は10%急騰した。市場ではSpaceXの企業価値を約2兆ドル、Teslaの市場価値を約1.5兆ドルとみる向きが多く、両社が統合した場合は合計で約3.5兆ドル規模の企業が生まれる可能性があるとされる。この株価上昇により、マスク氏の資産は再び1兆ドルを超える水準まで回復したと報じられている。今回の特別委員会設置は合併に向けた具体的な一歩ではあるものの、独立取締役による検討はあくまで初期段階であり、実際に統合が実現するかどうか、またどのような条件で行われるかは依然として不透明だ。