概要
経済産業省は、TSMC(台湾積体電路製造)傘下のJASM(日本先端半導体製造)が運営する熊本第2工場について、生産計画の変更を認定した。当初は6nm・12nm・40nm世代のロジック半導体を月産4万8,000枚(工場全体では月産6万3,000枚)規模で製造する計画だったが、日本国内では初となる3nm世代の最先端半導体生産へと大きく舵を切る。月産規模は6,000枚(12インチ/300mmウェハ換算)に縮小されるものの、世代としては大幅な微細化となる。量産は2027年12月に始動し、2028年12月には本格稼働へ移行する見通しだ。
投資額・助成金の見直し
生産品目の高度化に伴い、総投資額も積み増された。報道によれば当初122億ドル(約1.93兆円)とされていた投資額は157億ドル超(約2.5兆円)に増加するとされ、一部報道では230億ドル(約3.6兆円)超に達するとの数字も示されている。一方で、経産省による助成額は圧縮され、熊本第2工場単体では当初の7,320億円から6,451億5,000万円程度に減額された。第1工場分も含めた両工場合計の最大助成額は、従来比約13%減となる1兆546億5,000万円となる見通しで、経産省は2027年度の概算要求に関連予算を追加計上する方針だ。
背景にあるAI半導体需要
今回の方針転換の背景には、生成AIをはじめとするAI関連需要の急速な拡大がある。TSMC側は「AIの急速な進化に対応する」ため3nmロジック半導体の供給を最優先する方針を明確にしており、経産省も「AIの急速な進展に伴う市場環境の変化を踏まえた」判断だと説明している。最先端半導体の国内供給能力を確保することは、半導体サプライチェーンの強靱化や経済安全保障の強化に直結するとの位置づけだ。
第1工場への影響と今後の展望
今回は熊本第2工場と合わせて、既に稼働中の第1工場についても計画変更が承認された。対象世代の見直し内容については報道によって差異があり、22nm・28nm世代の量産に集約し月産4万5,000枚規模とするとの報道がある一方、当初計画が12nm・16nmおよび22nm・28nm世代を主要製品としていたのに対し、変更後の計画では12nm・16nm世代の記載がなくなり22nm・28nm世代を主要製品とし、国内需要を踏まえて40nm世代にも対応すると追記されたとの報道もあるなど、詳細は今後の公式発表で確認する必要がある。いずれにせよ、第1・第2工場を合わせた生産体制の見直しは、AI向け先端半導体の国内生産能力拡充という国家的な政策目標に沿ったものであり、2028年の本格量産開始に向けて設備投資や人材確保などの準備が本格化していくとみられる。