概要

GlobalFoundriesは10月14日、米ニューヨーク州マルタに新たな半導体製造工場2棟を建設・運営する事業者として選定されたと発表した。この投資は日米両政府が2025年7月に合意した日本による対米5500億ドル投資イニシアチブの一環であり、日本が最大210億ドル(約3.3兆円)を投じる。東京エレクトロンやルネサスエレクトロニクスも協力する見通しで、AI需要の急拡大を背景に半導体供給網を強化する狙いがある。

投資規模と工場仕様

新設される2棟はいずれも300mmウェハーに対応する最先端施設で、GlobalFoundriesが既にマルタで運営する「Fab 8」に隣接する形になる。まず1棟目の建設に着手し、初期投資額は約100億ドル規模となる見込み。2026年に着工し、2029年の稼働開始を予定しており、稼働後は年間最大90万枚のウェハー生産能力を持つ。2棟目については2028年末までの関係者によるGo/No-Go判断を経て建設可否が決まる見込みで、具体的な着工時期は未定だが、両工場が揃った場合の生産能力は年間最大180万枚に達する。GlobalFoundriesはFDXやBCDなど、自動車・産業機器・AI関連の電力・アナログ半導体向けに強みを持つ特殊プロセス技術をこれらの工場に展開する方針だ。

協力体制と経済効果

日本側では東京エレクトロンが装置供給などで協力し、ルネサスエレクトロニクスも活用する企業として名を連ねる。日経クロステックによれば、これは日米政府が合意した対米投融資5500億ドル(約87兆円)の枠組みの中で実施される案件の一つで、日本政府主導の資金支援が米国内の半導体製造基盤強化に直接つながる事例となる。GlobalFoundries側の発表では、新工場群によって建設・関連産業で約2万7000人の雇用、生産稼働後は直接雇用1000人超の創出が見込まれるとしている。

背景と今後の見通し

AI需要の急拡大に伴い、先端ロジック半導体だけでなく、それを支える電力管理やアナログ・RF半導体など特殊プロセス品の需給も世界的に逼迫しており、米国はこうした裾野分野のサプライチェーンを自国内に確保する動きを強めている。今回の投資は、日本が資金面で米国の半導体製造能力拡大を後押しし、自国の半導体関連企業も供給網に組み込む形で経済安全保障上の協力関係を深める事例といえる。日経クロステックは続報で追加の技術的詳細を報じる予定としており、2棟目の着工計画や具体的な生産品目など、今後明らかになる情報にも注目が集まる。