概要
米政権が設置したAI超知能タスクフォース(通称「Super Intelligence Force」)が木曜日に初会合を開き、今後120日間でAIリスクを評価する憲章を採択した。優先分野として、(1) サイバーセキュリティ・重要インフラ防護、(2) バイオセキュリティ・デュアルユース対策、(3) AI開発企業によるモデル制御とアカウンタビリティの3領域が設定されており、超知能化が急速に進むAIモデルに対する政府のガバナンス体制構築が本格的に動き出した。
タスクフォースは国家情報長官(DNI)のジェイ・クレイトン氏が議長を務め、国防副長官のエミル・マイケル氏、連邦取引委員会(FTC)委員長のアンドリュー・ファーガソン氏、人事管理局(OPM)局長のスコット・クポール氏が副議長に就く体制だ。メンバーにはJD・バンス副大統領、スコット・ベッセント財務長官、ピート・ヘグセス国防長官に加え、情報機関、サイバーセキュリティ、保健、労働分野の当局者も加わっており、政権を横断した大規模な布陣となっている。
3つの優先分野と実務体制
憲章では3つのリスク評価分野それぞれに担当者が割り振られている。サイバーセキュリティ・重要インフラ分野のうち、サイバーセキュリティについては、2026年9月に主要AI企業のCEOらが署名した「ホワイトハウス・アコード」の実施を担う作業部会が対応し、クレイトン氏と国家サイバー長官のショーン・ケアンクロス氏が主導する。この作業部会のもと、マイケル国防副長官は、AI開発企業が侵害やハッキング、サイバーインシデントを政府に報告する義務を課す「侵害報告プロトコル」の整備を進める。重要インフラ防護については、クポールOPM局長が官民と連携して対応する。
バイオセキュリティ・デュアルユース分野では、AIが危険な生物学的用途に悪用されるリスクの防止策を検討する。消費者保護・法執行の観点では、ファーガソンFTC委員長が司法省とFTCを含む委員会を主導し、法執行機関間の連携体制を構築する。さらにクポールOPM局長は労働省と連携し、AIが米国の雇用と経済に与える影響についての調査も担当する。ホワイトハウス高官は、タスクフォースの作業を通じてフロンティアモデル開発企業や他の超知能関連企業、消費者保護団体、市民的自由の擁護団体と協議を進めていくとの声明を出している。
実効性への疑問と今後の見通し
一方で記事は、タスクフォースが実際にどのような強制力を持つのかが依然不透明だと指摘している。既存の政策手段としては輸出管理(export controls)が挙げられ、これは過去に政府へのモデルアクセス提供に抵抗したAnthropicに対して実際に用いられた経緯がある。120日間の評価期間を終えた後、具体的な規制や執行メカニズムがどこまで整備されるかが、このタスクフォースの実質的な意義を左右することになりそうだ。