概要

オープンソースのオフィススイートONLYOFFICE Docsは10月10日、バージョン10.0を正式公開した。今回の目玉は文書・表計算・プレゼンテーション・PDFの全エディタへのAI機能の統合と、AI Agents・Forms・Files・Roomsという4つの新しい無料モジュール型アプリの追加だ。これに加えて約35件の脆弱性修正、1,000件超のバグ修正、50以上の新機能が含まれており、単発の機能追加というより大規模なメジャーアップデートとなっている。

AI機能とモジュール型アプリ

AIは専用タブから全エディタでアクセスできる形で組み込まれた。エディタごとに提供される機能は異なり、PDFエディタでは文書内容に関する質問への回答や要約生成、メール文の作成、機密情報の修正に対応する。文書エディタでは段落の書き直しや翻訳、校正、目次の自動生成が可能になった。スプレッドシートでは数式の生成やデータ分析、予測、外れ値の検出をAIが支援し、プレゼンテーションではスライド構成の提案やスピーカーノートの生成ができる。ユーザーは保存済みプロンプトを使って挙動をカスタマイズできる点も特徴だが、クイックアクションやAIアシスタントによる継続的なカスタマイズは現時点では文書エディタでのみ提供されている。

さらに、AI Agents・Forms・Rooms・Filesという4つのモジュール型アプリが新設され、必要な機能だけを個別に選択して組み合わせられる構成になった。従来の一体型アプリケーションから機能を切り出すことで、利用者は自分のワークフローに合わせて導入範囲を絞れるようになる。

エディタ別の改善と今後の展開

各エディタにもそれぞれ改善が加えられている。PDFエディタではメタデータの削除や自動表認識、署名機能の強化が行われた。文書エディタは右から左へ書く言語(RTL)への対応改善や改ページ制御、共同編集時のカーソル追跡機能が強化されている。スプレッドシートはパフォーマンスの向上に加え、関数のヒント表示やセルの一括リサイズといった操作性の改善が盛り込まれた。プレゼンテーションには新しい表示モードや拡張された印刷設定、動画・GIFのエクスポート機能が追加されている。

クラウド版は既に利用可能になっており、セルフホスト版の提供は後日予定されているという。1,000件を超えるバグ修正と35件の脆弱性修正が同時に行われたことは、オープンソースのオフィススイートとしての安定性とセキュリティ強化に対する取り組みを示すものであり、企業導入を検討する利用者にとっても注目すべき点だ。