概要
Meta Superintelligence Labsは10月12日、Llama 4以来となる同社初のフロンティアAIモデル「Muse Wonder」と、その上位版「Muse Wonder Full」を発表した。両モデルはテキスト・画像・音声・動画の入力と100万トークンのコンテキストウィンドウに対応し、Metaのベンチマークテストでは、GPT-6 AstraやAnthropicのFable 5.1と同等のスコアを達成したとされる。特に複雑なコーディングタスクで優れた結果を示したという。今回の発表は、個人・業務向けのエージェント型タスクに最適化した「最も高性能なモデル」という位置付けで、保険金請求処理、契約書解釈、財務分析といった専門分野のタスクをターゲットにしている。
Active MemoryとActive Focus
Muse Wonderの最大の特徴は、複数の会話にわたって重要な情報を保持し、進行中のタスクに応じて関連する詳細を取り出す「Active Memory」機能だ。Metaが実施した長期記憶ベンチマーク「MemoryBench」では、Muse WonderがFable、Opus、Astraの各モデルよりも高いスコアを記録したと報告されている。もう一つの特徴である「Active Focus」は、タスクが難しくなっても目標達成に向けて取り組みを継続し、エラーから復帰し、必要に応じて確認を求める能力を指す。これらの機能は、法律・金融・医療といった専門分野や高度なコーディングタスクで強みを発揮するよう設計されている。
価格と提供形態
Muse WonderはMeta Model API経由で、入力100万トークンあたり4ドル、出力100万トークンあたり20ドルで即時利用可能になっており、Muse Codeでも提供が始まっている。一方、上位版のMuse Wonder FullはAPI単体では提供されず、Muse Codeの購読者限定で利用できる。両モデルは今後、Museプラットフォームにも統合される予定で、まずは購読者向けに展開される見込みだ。両モデルはオハイオ州中部にあるMetaの「Prometheus」データセンターで訓練された。
背景と今後の展望
Alexandr Wangによる2025年8月の組織再編以降、MetaはMuse SparkやAIエージェントを発表してきたものの、OpenAIやAnthropicのような最先端モデルのリリースは行っていなかった。今回のMuse Wonder発表は、そうした戦略からの転換を示すものといえる。Metaは「Superintelligence Scaling Framework」に基づき、無断での個人情報共有を避け、有害な要求を拒否し、セキュリティ脆弱性の特定を支援するようモデルを訓練したとしている。長期記憶や継続的な問題解決能力を前面に押し出す今回の発表により、エージェント型AI市場における主要プレイヤー間の競争はさらに激化しそうだ。