概要

パラマウント・スカイダンスは10月6日、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーとの約1100億ドル規模の合併手続きを完了し、新会社「Skydance」を発足させた。両社の統合は2月の買収発表以降、Netflixとの争奪戦や州司法長官連合・ハリウッド脚本家組合との訴訟を経て1年近くにわたる攻防が続いていたが、連邦最高裁判所のElena Kagan判事が合併阻止を求める緊急申し立てを無言のまま退けたことで、最後の障壁が取り除かれた。申し立てを行ったのは自らをパラマウントの顧客と称する5者で、州司法長官連合との和解後も合併が反競争的であると主張していたが、最高裁はこれを認めなかった。新会社の株式はニューヨーク証券取引所でティッカー「SKYD」として取引を開始している。

新会社の体制とブランド

新会社のCEOにはDavid Ellison氏が就任する。同氏はOracle共同創業者Larry Ellison氏の息子であり、そのEllison家が最大株主となる。日々の事業運営と統合作業はYnon Kreiz氏が共同CEOとして担い、CNNの最高責任者はMark Thompson氏、CBSニュースの編集最高責任者はBari Weiss氏がそれぞれ続投する。統合後のSkydanceは、CBS・CNN・MTV・TBS・Comedy Central・Food Networkといったテレビネットワークと、Paramount+・HBO Maxの両ストリーミングサービスを傘下に収める。映像コンテンツの面では「ミッション:インポッシブル」「ハリー・ポッター」「ゲーム・オブ・スローンズ」「ロード・オブ・ザ・リング」「イエローストーン」やDCスタジオ作品など、映画・テレビ・報道の各領域にまたがる巨大なポートフォリオを統合する。Ellison氏は新会社の方針として「クリエイターを後押しし、視聴者を楽しませ、株主に報いる」ことを掲げている。

財務面の課題と見通し

合併完了に先立ち、パラマウントは州司法長官連合との和解で、最初の2年間は年間30本以上、続く3年間は32本以上の劇場公開作品をリリースすることなどを条件として受け入れており、これが独占禁止法上の主要な障壁を解消する決め手となった。一方で統合後のSkydanceは約800億ドルの債務を抱える見通しで、ストリーミング技術やクラウド基盤の統合などを通じて60億ドル規模のコスト削減を目指す計画を示している。会社全体の年間売上高は約700億ドルと見込まれており、Ellison氏にはストリーミング事業の成長、ケーブルテレビ事業のキャッシュフロー維持、劇場公開作品の業績改善という複数の課題を同時に進める必要がある。ハリウッド史上最大級ともいわれるこの合併が実際に業界再編やコンテンツ戦略にどう波及していくかは、今後の統合の進め方次第となる。