概要
Python Software Foundationは10月9日、「Python 3.15.0」の正式版をリリースした。1,012人の貢献者による5,643件のコミットが取り込まれており、実験的なJITコンパイラの性能向上、新しい組み込み型の追加、デフォルトエンコーディングのUTF-8統一など、パフォーマンスと国際化の両面で大きな進展を含むリリースとなった。
JITコンパイラの性能向上
Python 3.13で実験的機能として導入されたJITコンパイラは、3.15で大幅にアップグレードされた。公式発表によると、x86-64 Linux環境では幾何平均で7〜8%の性能向上、AArch64macOS環境では11〜12%の高速化を達成したという。ベンチマークのアーキテクチャ間での差は大きいものの、インタプリタの根本的な高速化が着実に進んでいることを示す結果だ。これに加え、Windows 64ビット版ではテイルコール方式のインタプリタが採用され、macOS版ではフリースレッド(GILなし)ビルドがデフォルトで提供されるようになるなど、プラットフォームごとの実行基盤も強化されている。
新しい組み込み型とUTF-8統一
言語仕様面では、番兵値を明確に表現するためのsentinel型(PEP 661)と、不変な辞書を提供するfrozendict型(PEP 814)が新たに組み込み型として追加された。いずれもこれまでサードパーティライブラリやイディオムで代替されてきた機能を標準化するもので、コードの意図をより明示的に記述できるようになる。また、PEP 686に基づき、デフォルトの文字エンコーディングがUTF-8に統一された。プラットフォームやロケール設定に依存した挙動の違いを解消し、国際化対応をさらに前進させる変更となる。
プロファイリングとその他の改善
パフォーマンス分析の分野では、PEP 799により専用のプロファイリングパッケージが導入され、高周波統計サンプリングプロファイラ「Tachyon」が新たに提供される。既存のツール群を統合する形で、開発者がボトルネックを特定しやすくする狙いがある。その他にも、起動時間を短縮する遅延インポート(PEP 810)、内包表記内でのアンパッキングを可能にするPEP 798、TypedDictやTypeForm、Disjoint Basesなど型システムの拡張が盛り込まれた。なお、macOS 27.0環境ではIDLEやtkinter使用時のダイアログ関連の問題が報告されているが、これはTkフレームワーク全体に起因するOS側の問題であり、Python本体の不具合ではないとされている。