概要

Microsoftはサンフランシスコで開催した発表会で、サティア・ナデラ氏とNVIDIAのジェンスン・フアン氏が共演し、NVIDIAの「RTX Spark」SoCを搭載した新型ノートPC「Surface Laptop Ultra」と、同チップを使う開発者向けデスクトップ「Surface RTX Spark Dev Box」を披露した。両社の提携は、クラウド依存を前提としてきたAI PCの構図を、ローカルで大規模な推論・生成処理を完結させる方向へ転換させる狙いがある。Surface Laptop Ultraは2,599ドルから、Surface RTX Spark Dev Boxは5,999ドルからで、いずれも予約受付を開始している。Surface Laptop Ultraの発売は10月16日、Surface RTX Spark Dev Boxの出荷開始は11月の予定。

Surface Laptop UltraとRTX Spark SoCの技術的詳細

RTX Spark SoCはARMベースで、Blackwell世代のRTX GPUコアを最大6,144基搭載し、NVIDIAのGrace CPUを最大20コア組み合わせる構成となっている。GPU性能はGeForce RTX 5070に匹敵するとされ、レイトレーシング、DLSS、NVIDIA Reflexにも対応する。Copilot+ PCの要件を満たす専用NPUも備える。Surface Laptop Ultraは最大128GBのユニファイドメモリを搭載し、SSDは交換可能な設計で修理性にも配慮している。

ディスプレイは15インチのmini-LEDタッチパネルで、3:2のアスペクト比とピーク輝度2,000nitを実現、MacBook Pro M5と比べて最大25%高いHDRピーク輝度を謳う。本体重量は4.5ポンド未満、厚さ18mm未満に抑えられ、トラックパッドは第7世代Surface Laptopより30%大型化、放熱容量は従来の15インチモデルの2.5倍に向上した。ポート構成はUSB-A、USB-C、HDMI、3.5mmジャック、フルサイズSDカードリーダーを備え、マグネット式USB-C充電にも対応するなど、バッテリーは終日駆動をうたう。価格はMacBook Proからの乗り換えで最大1,000ドルのキャッシュバック施策も用意された。

Surface RTX Spark Dev BoxとWindowsのローカルAI機能

Surface RTX Spark Dev Boxは同じRTX Spark SoCと128GBのユニファイドメモリを搭載した開発者向けミニPCで、最大1ペタフロップスのAI性能を発揮するとされ、AppleのMac StudioやMac miniを競合に見据えた製品となっている。Microsoftはこの発表会で、WindowsをAIエージェントにとって「最も安全なプラットフォーム」と位置づけ、ローカルモデル実行とクラウド補完を組み合わせたCopilotの強化策も明らかにした。権限を与えればローカルファイルに基づいた行動ベースの応答やアプリ・ウィジェットの生成が可能になるほか、2026年秋以降はタスクバーの検索から数千種類のクイックアクション(ダークモード切り替えやスクリーンショット取得、音量調整など)を呼び出せるようになる予定だ。PerplexityのPersonal ComputerやMetaのMuseといったAIエージェントもネイティブ選択肢として利用可能になる。

展望

今回の発表は、NVIDIAのデータセンター向けAIチップ技術がコンシューマー向けPCに降りてくる象徴的な事例といえる。Lenovo、Asus、Dell、MSI、HPなど他社もRTX Spark搭載PCを合わせて発表しており、今後は同SoCを軸にしたAI PC製品群が業界全体に広がる可能性がある。ローカルで大規模な推論処理を完結できる性能が実際にどこまでユーザー体験を変えるか、10月16日の発売後の評価が注目される。