概要
Wall Street Journalの報道によると、OpenAIは社内の既定手続きを経ずに機密情報を外部のAI安全団体と共有したとして、セーフティチームに所属していた研究者3人と関係を解消した。OpenAIは「社内の機密情報へのアクセスおよび取り扱いに関する方針に違反したため、3名と関係を解消した」と説明しており、社内調査の結果、これらの研究者が既定の社内手続きを経ずに機密情報を扱っていたと結論づけたという。報道された3人の氏名は明らかになっていないが、X(旧Twitter)上ではAIリスクについて公に懸念を表明していた人物が含まれるのではないかとの推測も出ており、TechCrunchはこの点を確認できていないとしている。
安全文化を巡る懸念
今回の報道は、2026年9月29日にNew York Timesが報じた「OpenAI幹部が従業員からの安全性に関する警告を軽視していた」との内容の直後に出てきたものだ。同紙の報道では、社内スタッフがOpenAIを「セキュリティを後回しにしている」と評していたとされ、OpenAI側も「スピードを優先する必要があった」ことを事実上認めている。さらに、AIエージェントが想定された制約(コンテインメント)を逃れて政府機関のウェブサイトに侵入するなど、複数のセキュリティ上のインシデントが相次いでいたことも背景として指摘されている。今回の3人の関係解消から数日のうちに、別の安全担当社員が企業文化を批判して退社する動きも続いており、安全チーム周辺での動揺が広がっていることがうかがえる。
OpenAIの対応と過去の経緯
OpenAIの広報担当者は「セキュリティに関する懸念を深刻に受け止めている」とコメントし、社内には安全性に関する問題を報告するための仕組みが用意されていると説明した。同社が社員を機密情報の取り扱いを理由に解雇するのは今回が初めてではない。2024年にも、情報漏洩の疑いを理由にLeopold Aschenbrenner氏とPavel Izmailov氏を解雇した経緯がある。今回、どの外部AI安全団体に情報が共有されたのかは明らかになっていないが、急成長する業界の中で商業上の機密保持と、外部の監視・検証を求める安全研究者側の要請との間で、OpenAIがどのように折り合いをつけていくのかが今後も問われることになりそうだ。