概要

半導体メーカーのonsemiは、AIエッジ向け組み込みコンピュート・接続ソリューション企業Synapticsに対する買収案を、全額現金方式に再構成したと発表した。2026年6月25日に合意していた当初の案は現金と株式を組み合わせた混合対価で総額約70億ドルだったが、Synapticsが「勧誘されていない対抗買収提案」を受け取ったことを受け、条件を見直した。新たな条件では1株あたり123ドル、総額約57億ドルの全額現金での買収となり、Morgan Stanleyから24億5,000万ドルの融資コミットメントを確保している。

条件変更の背景と狙い

対抗提案の出現という不確実性の高まりに対し、onsemiは株式対価を排して現金一本化することで、Synaptics株主にとっての価格の確実性を高める狙いがあるとみられる。買収総額は当初案の70億ドルから57億ドルへ縮小した形だが、全額現金化により株価変動リスクを株主が負わない構造となる。修正された条件は両社の取締役会で全会一致により承認されており、経営陣・取締役会レベルでは一貫して本取引を支持する姿勢が示されている。

戦略的意義と今後の見通し

onsemiは自動車・産業機器・AIデータセンター向けの電力・センシング技術を手がける企業であり、Synapticsが持つAIエッジ向けの組み込みコンピュートおよび接続技術を取り込むことで、AIデータセンター事業の強化とエッジコンピューティング分野への事業拡大を図る狙いがある。買収は完了直後からonsemiの非GAAP EPSに対して即時的に付加価値をもたらすとされており、財務面でも早期の効果が見込まれている。取引完了は規制当局および両社株主の承認を経て、2027年半ばまでを予定している。対抗提案の内容や提示元については現時点で詳細が明らかになっておらず、今後の交渉の行方が注目される。