概要
The Informationの報道によると、中国の工業情報化部はアリババやByteDanceなど国内テック大手に対し、NVIDIAの最新GPU「RTX PRO 5500」の購入計画の提出を求め、これを承認する方針であることが明らかになった。これまで安全保障上の懸念から事実上制限されてきた最先端AIチップの中国企業による調達が緩和に向かう可能性があり、貿易摩擦が続いてきた米中テクノロジー関係の潮目を示す動きとして注目されている。
RTX PRO 5500の仕様と位置づけ
RTX PRO 5500は2026年9月に発表されたワークステーション向けGPUで、コンシューマー向け最上位モデルのRTX 5090と同等の演算性能を持つとされる。特筆すべきはメモリ容量で、RTX 5090の32GBに対し84GBのGDDR7メモリを搭載しており、大規模AIモデルの学習・推論や大規模シミュレーション用途に適した設計となっている。NVIDIAはこれまで対中輸出規制を踏まえ、性能を抑えた中国市場向け専用チップ(H20など)を提供してきた経緯があるが、今回対象となっているのは輸出規制対応版ではなく最新世代の本流モデルである点が注目点だ。
米中関係緩和という背景
今回の方針転換は、単独の出来事ではなく今年に入ってからの一連の雪解けの延長線上にある。2026年5月のトランプ大統領訪中を機にNVIDIAのH200チップの対中販売が解禁され、さらに2026年9月には習近平国家主席が訪米し、貿易戦争の「休戦」を2027年1月10日まで延長することで合意した。両国はAIを「SI(超知能)」と位置づけ、「米中超知能対話」と呼ばれる政府間の連絡ルートまで構築しており、先端半導体を巡る緊張緩和はこうした外交プロセスの一環として進んでいる。
影響と今後の見通し
アリババは独自の大規模言語モデル「Qwen」が公開から半年で30億ダウンロードを達成するなど、自社AI開発を急速に拡大させており、ByteDanceも同様に大規模なAI投資を進めている。両社が最新世代の高性能GPUへのアクセスを得られれば、中国企業のAIモデル開発・運用能力はさらに強化されることになる。一方で、米国内では安全保障上の懸念から今回の承認方針に対する反発も予想され、実際の購入承認や出荷がどこまで進むかは今後の米中協議の行方に左右される見通しだ。