概要
Amazon Web Services(AWS)は、GPTやClaude、Gemini、Ollamaなど主要なLLM・LLMランタイムを基に高性能なAIエージェントを簡単に構築できるオープンソースツール「Strandsハーネス」を公開した。AWSの公式Xアカウントは「自作エージェントを作ったことがあるなら、ツールやメモリ、コンテキスト処理の配線に苦労し、それがちゃんと機能するよう祈った経験があるはずだ。Strandsハーネスはワンインポートで導入できる、あらかじめ配線済みのオープンソースエージェントだ」と紹介しており、「ワンインポート、任意のモデル、トークン消費28%減」を謳っている。agentic AI基盤をめぐる主導権争いが激化する中、AWSは自社クラウドやBedrockに縛られないオープンな選択肢を提示した形だ。
ハーネスとは何か
AIエージェントは、LLM単体ではなく、LLMと「ハーネス」と呼ばれる周辺環境の組み合わせによって成り立っている。ハーネスは、指示された目標や環境設定といったコンテキストを長期的に記憶する仕組み、ファイルやネットワーク・実行環境へのアクセス、データベースやAPIなど外部ツールへのアクセス、ポリシーや権限から逸脱しないよう制御するガードレールなどで構成される。エージェントが無駄なトークンを消費せず効率的に目標へ向かって作業できるか、ガードレールが適切に介入できるかといった点は、このハーネスの設計に大きく左右される。今回AWSが公開したStrandsハーネスは、同社が2026年8月に公開した「Strands Harness SDK」を基盤としている。
技術的な特徴
Strandsハーネスは、Amazon Bedrock上で動作するLLMに加え、Anthropic Claude、OpenAI GPT、Google Gemini、Ollama、Lite LLMに対応しており、わずか数行のコードでAIエージェントを構築できる。構築されたエージェントにはシェルの実行、ファイルの読み書き、Web検索といった機能が最初から組み込まれている。コンテキスト管理の面では、デフォルトで約1500トークンを超えるツール実行結果を切り捨てるほか、コンテキストウィンドウの使用率が85%を超えると要約による自動圧縮が働き、オーバーフローが発生した場合はループ内でコンテキストを復元する仕組みを備える。プロンプトキャッシングにも対応し、セッションIDを指定すれば以前の会話を再開できるほか、「スキル」機能もサポートする。
AWSが公開したベンチマークでは、同じ「Fable 5」をベースにしたClaude CodeとStrandsハーネス製エージェントを比較しており、Strandsハーネス側がより低コストで高い能力を発揮したとしている。公開された結果ではStrandsハーネス製エージェントがスコア69.7でトップ、コストは56.29ドルで2位につけた一方、Claude Codeは最下位だったという。
柔軟なLLM切り替えとデプロイ
Strandsハーネスで構築したエージェントは、後からLLMを入れ替えることも可能だ。例えば「@strands-agents/harness」パッケージのcreateHarnessを使い、model: "anthropic/claude-opus-5"と3行ほど記述するだけでエージェントを作成でき、この指定を"google/gemini-3.5-flash"や"ollama/llama3.1"に書き換えるだけで別のLLMへ切り替えられる。デプロイ先もAWSに限定されず、Linuxコンテナさえ用意できればあらゆる環境に展開可能だ。非エンジニア向けにはウィザード形式でLLMやツール、プラグイン、外観を設定できる「Strands CLI」も用意されており、構築したエージェントはTypeScriptまたはPythonのコードとしてエクスポートして保存できる。デモ動画では、Bedrock上のClaude Opus 4.8を選択してエージェントを構成し、Playwright MCPサーバーを追加した上でブログの動画レイテンシーをチェックさせる様子が示されており、エージェントが自律的にブラウザを操作して計測・判定を行っている。LLMにもデプロイ先にも依存せず、オープンソースゆえに機能追加やカスタマイズも自由に行える点が、Strandsハーネスの大きな特徴といえる。