概要

BlackRockが支援する「Artificial Intelligence Infrastructure Partnership(AIP)」とオーストラリアの機関投資家IFM Investorsから成る投資グループが、データセンター事業者Stack Infrastructureのアジア太平洋部門を最大250億ドルで買収する独占交渉に入ったと報じられた。Stackの現所有者であるBlue Owl Capitalとの間で、今後デューデリジェンスを実施し、早期の合意成立を目指しているとされる。ただし交渉はまだ最終段階に至っておらず、条件次第では延長や不成立となる可能性も残る。

買収の背景とAIPの狙い

AIPは2024年9月に発足したBlackRock主導の投資枠組みで、データセンターやエネルギー関連施設を中心にAI関連インフラへ300億ドル超を投じる計画を掲げてきた。今回の交渉はその具体化の一つで、生成AIの学習・推論需要の急拡大を受けて世界的に逼迫するデータセンター容量を確保する狙いがある。一方、Stackを保有するBlue Owl Capitalは当初300億ドルを超える評価額を求めていたとされ、現在交渉されている200億〜250億ドルという水準はそれを下回る。買い手側が需要の強さを踏まえつつも評価額の妥当性を慎重に見極めていることがうかがえる。

対象資産と今後の見通し

買収対象となるStackのアジア太平洋事業は、東京、大阪、シドニー、メルボルンといったAPACの主要都市にデータセンター拠点を持つ。いずれも電力供給や土地確保の制約が強まる中で希少性の高い立地であり、AI向けGPUクラスターのホスティング拠点としての需要が見込まれる。投資グループは今後デューデリジェンスを進め、Blue Owl Capitalとの最終合意を目指すとみられるが、規模の大きさから独占禁止当局や各国の対内投資審査の対象となる可能性もある。実現すればAI関連インフラ分野で今年最大級の取引となり、機関投資家によるデータセンター資産への資金流入がさらに加速する兆しとして注目される。