概要
政府機関や金融機関などに利用されているセキュアファイル共有大手のKiteworksが、顧客に対して世界規模でのシステム一時停止を要請した。同社は9月25日、連邦の情報機関から「一部の顧客向けKiteworksシステムを標的とした攻撃が試みられる可能性がある」との信頼性の高い脅威情報を受けたと発表し、これを受けて9月26日に6時間のシステム停止期間を設定した。停止時間帯は中央ヨーロッパ時間で午前4時から午前10時、ニューヨーク時間では金曜午後10時から土曜午前4時に相当し、全世界の顧客に適用される内容となっている。
未知の脆弱性への警戒
サポート担当者は今回の停止措置について「潜在的なゼロデイ攻撃から保護するため」と説明した一方、Kiteworksはあくまで予防的な措置であることを強調している。同社は「現時点で判明しているすべての脆弱性は最新リリースであるバージョン9.5.1で対処済みである」とし、「Kiteworksシステムの侵害を確認した事実はなく、今回の勧告は実際の侵害への対応ではなく予防的なものである」との声明を出した。またKiteworksは「万全を期すため、顧客に直接通知を行い、法執行機関と連携して問題に対処する間、予防的な停止期間を設けるよう推奨した」としている。同社は顧客に対し、最新バージョンへの更新に加え、インターネットに直接公開されていないシステムであってもオフラインにするよう呼びかけ、捜査当局への協力を求めている。
ファイル転送製品を狙う攻撃グループの脅威
Kiteworksのようなセキュアファイル転送・コミュニケーション基盤は機密文書を大量に保存していることが多く、データ窃取を伴う恐喝を目的とした攻撃者にとって格好の標的となってきた。実際、恐喝グループのClopはこれまでAccellion FTA、GoAnywhere MFT、SolarWinds Serv-U FTP、Cleo、MOVEit Transferといった企業向けファイル共有製品を相次いで標的にしてきた経緯があり、米国務省はClopの攻撃と外国政府との関連情報提供に対して1000万ドルの報奨金を設定している。今回のKiteworksの事案でも、具体的な脆弱性の内容や攻撃者の身元は明らかにされておらず、法執行機関との調査が続く中で今後の詳細な情報開示が注目される。