概要
シアトルで開催された「Amazon Accelerate 2026」にて、Amazonは出品者向けAIツール「Seller Assistant」の大幅な機能強化を発表した。新たに永続的な記憶機能と常時稼働のワークフローを追加するとともに、AnthropicのClaudeおよびAmazon QuickからSeller Assistantの機能を直接呼び出せる新しい「Selling Partner」プラグインを公開した。Amazon Quickでは正式提供、Claudeではベータ版としての提供となる。これまで自社アプリ内に閉じていた出品者支援機能を外部のAIエージェントに開放する取り組みであり、Amazon・Anthropic・AWSが協力してAmazon BedrockとClaudeモデルを基盤に構築した。あわせて、全世界のプライマリアカウント保有者を対象に、2026年12月31日まで登録可能な12か月間無料のAmazon Quick Plusも提供される。
新プラグインでできること
新しいSelling Partnerプラグインを使うと、出品者はClaudeやAmazon Quickのチャット画面から、リスティングと在庫レベルの確認、売上分析やパフォーマンス指標の閲覧、価格調整、在庫が一定水準を下回った際のアラート設定などを行える。接続作業はおよそ60秒で完了し、コードを書く必要はない。Anthropicのエリック・バーンズ氏は、この手軽さを製品の特徴として強調している。安全面では、すべてのアクションは実行前に出品者の承認を経る仕組みになっており、やり取りには監査証跡が残るため、価格変更や在庫操作といった実務に直結する操作でも制御を失わずに済む設計だ。
記憶とワークフローの強化
Seller Assistant自体の進化も大きい。新たに追加された永続的な記憶機能は、出品者の価格パターン、在庫サイクル、成長目標を保持し、複数のツールをまたいでもコンテキストが失われないようにする。このメモリはClaudeやAmazon Quickとも共有されるため、どの窓口からアクセスしても一貫した文脈で助言を受けられる。常時稼働ワークフローでは、「上位商品の評価が星4つを下回ったら通知する」といった定型タスクを出品者がログインしていない間もバックグラウンドで監視・実行できるようになり、Amazonによれば、Assistantの推奨事項は90%以上の割合で受け入れられているという。2023年の導入以来、Seller Assistantはすでに販売パートナーの90%が利用する主要ツールに成長しており、今回の刷新はその上に外部AIエージェントとの連携層を重ねる形になる。
展開状況と今後
現時点でのベータ提供は米国が先行しており、Amazonは国際展開や他のAIプラットフォームとの統合も今後進める方針を示している。実際に利用した出品者からは、従来は手作業で午後いっぱいかかっていた在庫・価格管理が一瞬で完了するようになったとの声が上がっているという。生成AIエージェントに実運用データへのアクセスと操作権限を与える動きは、承認フローや監査証跡といった安全策とセットで語られており、他のECプラットフォームや業務システムがAIエージェント連携をどう設計するかの参考事例としても注目される。