概要

Paramount Skydanceは9月21日、カリフォルニア州のRob Bonta司法長官が主導する12州の司法長官および複数の労働組合との訴訟で和解に達したと発表した。この訴訟は7月13日に提起され、Warner Bros. Discoveryとの1100億ドル規模の買収が競争環境や報道の独立性、雇用に与える影響を争点としていたが、和解によって買収完了に向けた最後の法的障壁が取り除かれた形だ。連邦レベルでは6月12日に承認が下り、欧州委員会も7月22日に買収を承認済みで、今回の州レベルの和解が残された最大の関門だった。

和解の主な条件

和解にはCEOのDavid Ellison体制の下で映画製作本数を確約する条項が盛り込まれている。買収後最初の2年間は年間30本(うち広域公開20本)、続く3年間は年間32本(同21本)の映画を製作することを義務付け、達成できなかった場合は1本につき3000万ドルの罰金を拠出し、その内訳は50%が映画・テレビ業界労組の医療・年金基金、40%がMotion Pictures & Television Fund、10%がNational Association of Attorneys General Fundとなる。さらに未達が続けば、傘下のMiramaxを売却する義務も発生する。年間最低4本の独立系映画製作も義務付けられた。

資金面では、国内映画製作への追加投資として5年間で最低15億ドル(報道によっては10億ドル超とも)を確約したほか、影響を受ける労働者向けに5年間で4750万ドルの基金、独立系映画支援のために年500万ドル・総額2500万ドルの基金を設置する。全米脚本家組合(WGA)とは別途和解し、1750万ドルを組合の医療基金に拠出することでも合意した。また、ケーブルチャンネルの契約交渉を今後5年間は両社で separately(別個)に行うことを義務付け、料金競争が損なわれないようにするほか、無料配信サービスPluto TVの存続も条件に含まれている。

編集の独立性と労組の反応

買収によって統合されるCBSとCNNの報道部門については、企業側の介入から編集判断を守るための独立監視委員会(News Editorial Independence Board)を新設し、独立した監督者(トラスティー)が全体の合意事項の遵守状況を継続的に監視する。この点は、Paramount SkydanceによるCBS News買収以降くすぶってきた報道の独立性への懸念に応える措置となる。労働組合側も今回の和解を歓迎しており、IATSE(国際舞台美術家組合)のMatthew Loeb会長は組合員保護の内容を評価し「今後も同社と協力していきたい」とコメント。SAG-AFTRA(全米俳優組合)も「製作水準と米国内投資に関する深刻な懸念に応えるもの」と評価し、Teamsters(全米トラック運転手組合)も労働者保護と雇用維持を支持する声明を出した。

買収の背景と今後の見通し

Warner Bros. Discoveryとの統合が完了すれば、両社が持つ主要映画スタジオ、ストリーミングサービス(Paramount+とHBO Max)、テレビチャンネル群、そしてCBS NewsとCNNという二大報道機関が一つの企業グループの傘下に入ることになる。Paramountは買収完了が9月30日を過ぎて遅延した場合、四半期ごとに6億ドルを超える違約金を負う契約になっていたとされ、この期限が今回の早期和解を後押しした要因の一つとみられる。Ellison氏は関係当局への謝意を表明した上で、統合後の会社について「より多くの作品が生み出され、消費者にとっての選択肢が広がり、競争がより一層強まる」との見通しを示した。今後は残る手続きが完了次第、買収が正式にクローズされる見込みで、業界再編の最終段階を迎えることになる。