概要

Valveは9月18日、標準でSteamOSを搭載するワイヤレス・スタンドアロン型VRヘッドセット「Steam Frame」を正式発売した。価格は256GBモデルが1,059ドル、1TBモデルが1,299ドルで、いずれもコントローラーと「Half-Life: Alyx」が同梱される。2025年11月の発表から約10か月を経ての投入となり、早期レビューでは装着感の良さやセットアップの手軽さが高く評価される一方、バッテリー駆動時間の短さやVR専用タイトルの少なさを指摘する声も相次いだ。

レビュアーの評価は賛否両論

PC Gamerのジェイコブ・リドリー氏は「快適で直感的、何より便利だ。頭に装着してゲームを選ぶだけで済み、VRがこれまでになく簡単になった」と好意的に評価した。IGNのジャクリーン・トーマス氏は通常のゲームとVRゲームをほぼ同じ時間プレイしたとし、「自分のゲーミングモニターの代替になる」と述べている。ワイヤレスでのPCストリーミング性能についても、KotakuのZack Zwiezen氏が「驚異的だ。あまりに滑らかで完璧なため、ケーブルにつながっていないことを忘れるほどだった」と絶賛するなど、無線接続の完成度の高さが複数のレビューで共通して挙げられた。Aftermathのクリス・パーソン氏も「ここ数年でVR領域において最も心躍るハードウェアの一つ」と評している。

一方で、バッテリー持続時間の短さ、発売直後の動作の不安定さ、VR専用コンテンツの選択肢の乏しさ、そして高価格帯であることを課題に挙げるレビューも目立った。CNETのスコット・スタイン氏は購入を急がず「様子を見る」ことを推奨し、Kotakuは「2026年において、これは一体誰のための製品なのか分からない」と疑問を呈する見出しを掲げた。EngadgetのDevindra Hardawar氏も、低迷が続くVR市場に活力を与えるには「あまりに遅すぎる投入だ」と指摘している。

予約枠を大幅に上回る需要

発売直後には供給が需要に追いつかない状況も明らかになった。有志が運営する集計サイト「steamframeout.com」には、Valveのストアページ経由で登録した希望者による自己申告の回答が約3万5,000件(当初集計時点では3万3,000件以上)寄せられている。それによると、当選して予約が確定したのは全体の44.7%にとどまり、51.6%がウェイトリストに回り、残る3.8%は結果通知をまだ受け取っていないという。ウェイトリストの実数は1万8,000人を超えると見られる。

Valveは9月17日午前10時(太平洋時間)に予約受付を締め切り、単純な先着順ではなく「一回限りの抽選」で当選者を決定した。当選者が購入を辞退した場合、その枠は次点のウェイトリスト登録者へ順次回される仕組みだ。なお、ストレージ容量では1TBモデルとの価格差240ドルにもかかわらず、256GBモデルを選ぶ回答者が各国で多数派を占めたことも分かっている。

今後の見通し

早期レビューの評価は、操作の手軽さとワイヤレスストリーミング性能という明確な強みがある一方、バッテリー駆動時間やコンテンツ不足といった課題も併存する形でまとまった。それでも今回明らかになった旺盛な予約需要は、VR市場が停滞していると言われる中でもSteam Frameへの関心の高さを裏付けている。Valveは今後、ウェイトリスト登録者への案内を順次進める方針で、供給体制の拡充ペースが今後の普及スピードを左右しそうだ。