概要
Meta CEOのMark Zuckerbergは9月23日、年次イベント「Meta Connect 2026」で新型VRグラス「Meta VR Glasses」を発表した。2027年春発売予定で価格は1,299.99ドル。顔にかける本体部分は約100グラムとQuest 3の5分の1程度の軽さで、マグネシウム合金フレームとパンケーキレンズを採用し、37ピクセル/度の解像度を持つマイクロOLEDパネル「5K Infinite Display」を搭載する。処理性能とバッテリーはベルト装着型の別体ユニット(通称puck)に分離する構成で、Snapdragon Reality Eliteプロセッサにより連続再生は最大3時間。アイトラッキングとハンドジェスチャーに対応し、発売時点で75以上のタイトルがハンドジェスチャーでプレイ可能になるという。ただし価格は2025年時点で報じられていた「1,000ドル以下」という目標を300ドル以上上回っており、9月14日に256GBモデルが1,059ドルで発売されたValveの「Steam Frame」と比べても約241ドル高い。
Ray-Ban Metaファミリーの拡充
スマートグラス分野では、カメラを搭載せず音声操作に特化した初のモデル「Ray-Ban Meta Audio」が10月13日に349ドルから発売される。重量43グラムでバッテリー駆動時間は12時間、専用ケース併用で最大48時間まで延長でき、Clubmaster・Burbankの2スタイル、23色展開となる。あわせて第3世代の「Ray-Ban Meta」も449ドル(前世代は379ドル)から刷新され、12MPカメラによる3K動画撮影、アクションボタン、6マイクアレイによる背景ノイズ90%以上削減、バッテリー持続時間の延長を実現した。新フレームとしてAviatorやZena(キャットアイ系)が加わるほか、Kylie Jenner監修のIvoryカラーやK-POPグループBLACKPINKのメンバーLISAとのコラボモデル、低価格帯の「Meta Adventurer」(249ドル、10月23日発売)、限定版「Meta Fury」、米国向けのMix & Matchカスタマイズなど、ラインナップは年内に100スタイル以上へ拡大する計画だ。ディスプレイ搭載モデル「Ray-Ban Meta Display」も国際展開を進め、カナダ・英国では即日(CA$1,149/£749)、フランス・イタリア・ドイツでは10月13日から899ユーロで発売される一方、米国価格の799ドルは据え置かれる。またFDA認可の聴覚補助機能(149.99ドル、年内に米国展開)やランニング・サイクリングのワークアウト追跡、Dolby Atmosによる360度空間音声録画、ランドマーク基準の音声ナビなど、AIグラス向けソフトウェア機能も相次いで追加される。
Muse AIエージェントと新デバイス「Muse Charm」
個人向けAIエージェント「Muse」も大幅に強化される。深い対話が可能な「リアルタイムボイスモード」、表現力豊かなアバターで応答する「Muse Realtime Avatar」、近日対応予定のAIグラス連携、専用メールアドレスの付与に加え、Macアプリを通じて許可した範囲でコンピュータ操作を代行する機能も追加された。連携パートナーにはWalmart、Best Buy、Sephora、Ulta、Wayfair、Expedia、Instacart、GitHubなど10社以上が新たに加わる。さらに、キーチェーンサイズで「タマゴッチのような」外観を持つ新デバイス「Muse Charm」も披露された。小型ディスプレイ、スピーカー、マイク、指紋センサーを備え、個人のMuse AIエージェントを常時携帯できるようにする狙いだが、詳細仕様は年内に改めて発表される予定だ。
新型Questの不在とコンテンツ展開
今回のConnectで注目されたのは、新型Questヘッドセットの発表が一切なかった点だ。VRコンテンツについてはBeat Saberが2027年春に約10年ぶりとなる大規模デザイン刷新を行い、ハンドトラッキング中心の新モード「Flux」(収録曲35曲)を追加してMeta VR GlassesとQuestの両方に対応する予定のほか、Supernaturalが秋に復帰、Payday: Aces Highが年後半に登場する。Phoenix Wright: Ace Attorney – Dual Destiniesは来年Meta VR GlassesとQuestの両方向けに提供され、11月からはDisney+経由で没入型の3D映画配信も始まる。加えてMeta VR Glassesでは年間100件以上のライブ没入型スポーツ配信が計画されており、これはApple Vision Proの年間10試合という規模を大きく上回る。新型Questを見送り、軽量VRグラスとスマートグラス群への投資を前面に押し出した今回の発表は、MetaがヘッドセットからARグラスへと開発の重心を移しつつあることを改めて印象づけるものとなった。