株価急伸の背景

AMD(Advanced Micro Devices)の株価が9月21日(月)の取引で一時10%近く急伸し、終値ベースで時価総額が初めて1兆ドルを突破した。同日株価は一時613〜615ドル台の最高値を付け、直近5営業日では約24〜25%上昇する続伸となった。2026年初来では株価はおよそ180〜185%上昇しており、AI関連銘柄への資金流入を背景とした半導体セクター全体の上昇相場の中でも際立った値動きとなった。同日はIntelも11.8%上昇し、フィラデルフィア半導体指数は4.3%上昇するなど、AI需要への期待が業界全体を押し上げた。

AMDはこれで、Nvidia(時価総額約5.4兆ドル)、Broadcom、Micronに続き、時価総額1兆ドルを超えた4社目の米半導体企業となった。ただしAIデータセンター向けチップ市場の大部分を占めるNvidiaとの差は依然として大きく、AMDはあくまで追う立場にある。株価は予想利益の41倍で取引されており、過去10年平均の44倍を下回る一方、Nvidiaの16.3倍と比べると割高な水準にある。

データセンター事業の急成長とAIシステム戦略

急騰の背景には、AMDの業績そのものの伸びがある。直近発表された2026年第2四半期の売上高は115.4億ドルで、前年同期の76.9億ドルから50%増加した。中でもデータセンター部門の売上高は67億ドルと、前年同期比107%という高い伸びを記録しており、AI向け需要の拡大が業績を牽引している。

CEOのリサ・スー氏は、2027年までにデータセンター売上高を倍増させる目標を掲げているとされ、単体のプロセッサやGPUの販売にとどまらず、プロセッサ・ネットワーク機器などを組み合わせた統合AIシステムの提供にも事業を拡大し、Nvidiaへのより直接的な対抗軸を築こうとしている。GPUと組み合わせて使われる推論サーバー向けCPU需要の高まりも、追い風となっている。

今後の展望

今回の1兆ドル到達は、AI投資ブームが半導体業界の株価水準そのものを押し上げていることを象徴する出来事といえる。AMDが掲げるデータセンター売上倍増目標が実現するかどうかは、Nvidia一強とされてきたAI半導体市場における競争構図が今後どう変化するかを占う試金石となりそうだ。一方で、現在の株価水準は業績拡大への期待を強く織り込んだものであり、AI投資熱が一服した場合の調整リスクも指摘されている。