概要
xAIは9月21日、新モデル「Grok 4.7」を発表した。パラメータ数は前モデルのGrok 4.6比で約40%増となる2.1兆に達し、「難題への対応能力を高めるための長時間の強化学習」と、文脈管理・自己検証能力の強化によって学習された。学習データにはSpaceXが持つ衛星通信、製造記録、エンジニアリング失敗ログといった実務データが補足的に組み込まれており、xAIはこれを「コーディングと知識作業向けの最も強力なモデル」と位置づけている。xAIは「Grok 4.6と同じ価格と速度で顕著な改善」を実現したとしているが、リリース自体は複数回の延期を経てのものだった。
ベンチマークで見える強みと弱み
コーディング関連の性能向上は複数の指標で確認されている。DeepSWE v1.1では前世代の65.2%から71.0%へと大幅に改善し、ソフトウェアエンジニアリング能力を測るCursorBench 4.0でも46.3%を記録した。これはGPT-5.6 Sol Maxを上回る水準だが、Claude Fable 5.1には届いていない。このほか電気工学分野のEEBenchで64.0%、臨床推論を測るHealthBench Professionalで56.7%、Harvey Legal Agent Benchmark(法律エージェント評価)で19.6%を達成した。安全性面でも新たなセーフガードスタックを構築し、生物安全性ベンチマークで62.4%を記録したという。
一方で、総合的なタスク遂行能力を測るGDPvalでは1,695点、専門業務の代行能力を評価するAA-Briefcaseでは1,657点と、いずれもClaude Fable 5.1(それぞれ1,735点、1,678点)にわずかに及ばず2位にとどまった。CursorBench 4.0でも価格帯を横断して見るとFable 5.1が優位との指摘があり、Grok 4.7は「最高性能ではなく、より安価で汎用的」な立ち位置を狙う戦略だと評されている。
価格と提供チャネル
価格はGrok 4.6から据え置かれ、入力トークン100万あたり2ドル、出力トークン100万あたり6ドルで提供される。出力速度が2倍の高速版も用意されており、こちらは価格も2倍となる。提供はCursor、xAI API、Grokアプリ、X、Grok Build、Teslaダッシュボードの音声アシスタント機能など幅広いチャネルで即時に開始されており、サードパーティ製のコーディングツールやモデルルーター、クラウドプラットフォームからの利用も可能になっている。
今後の展望
マスク氏は次世代モデルとしてGrok 4.8、4.9、さらにGrok 5の開発を予告しているが、具体的なリリース時期は明らかにされていない。Grok 4.7は最先端ベンチマークでの首位獲得よりも、日常的なコーディングや業務用途で十分な性能を同水準の価格で提供することに主眼を置いた製品と位置づけられており、Claudeなど競合モデルとの性能競争が今後も続く見通しだ。