Intel CEOが価格急騰と2027年の供給難を警告

Intelの最高経営責任者Lip-Bu Tan氏は、Santa Claraで開催されたAI Infrastructure Summitでの発言で、メモリチップの価格がこの一年で5〜7倍(500%以上)に急騰したと明らかにした。AIアクセラレータ、とりわけNvidia製品の急速な普及により高帯域幅メモリ(HBM)の需要が爆発的に増え、供給がまったく追いついていないことが背景にある。Tan氏はさらに、この不足は2027年にかけて悪化しかねないとも警告した。この発言を受けてMicron株は5%以上、SK hynix株も約5%上昇し、この日はFRBの決定を受けた市場全体の回復も重なりNasdaqも1%超上昇した。市場調査会社TrendForceは、サーバー向けDRAMの契約価格が2025年下半期に64%上昇したのに続き、2026年にはさらに270%上昇すると予測しており、Micronの最高経営責任者も供給の改善は2028年ごろまで緩やかにしか進まないとの見方を示している。SK hynixの最高経営責任者に至っては、2027年を「業界史上最悪の供給年」になりかねないと表現した。なお、Micronは直近の第3四半期決算で売上高414.6億ドル(前年同期の93億ドルから急増)、非GAAP粗利益率84.9%という好業績を報告しており、続く第4四半期には売上高約500億ドル、粗利益率86%になるとの見通しを示している。価格高騰が一部メーカーの収益を大きく押し上げている構図も見える。

SK Hynix、Intelのオハイオ工場での米国内生産を協議

こうした需給逼迫を背景に、韓国のメモリ大手SK Hynixが、自社にとって初となる米国内でのRAMチップ生産に向けてIntelと協議を進めていると報じられた。検討されている案は主に二つで、一つはSK HynixがIntelがオハイオ州に計画する工場のスペースをリースする形、もう一つはクラウドサービスプロバイダーを交えた合弁事業として立ち上げる形だ。SK Hynixは公式には「具体的な計画や取り決めはまだ最終決定されていない」とコメントしており、交渉はなお初期段階にとどまる。この協議はAI需要によるメモリ供給逼迫を背景とした業界再編の動きとして注目を集めている。

SK Hynixにとって米国内生産には複数の狙いが重なる。AIデータセンター向けHBM需要の急増に応えて供給網を拡充する狙いに加え、半導体の国内生産拡大を掲げるTrump政権が投資企業への関税優遇を検討していることも後押し材料となっている。同社はすでにインディアナ州で38億ドル規模のAIチップ関連施設の建設を進めており、2029年の生産開始を予定している。今回のIntelとの協議が実現すれば、これに続く追加の米国拠点となる可能性がある。一方で、戦略的に重要なチップ技術の海外移転を防ぐ韓国国内の法制度により、この計画が韓国政府の審査対象となる可能性も指摘されている。

Intelにとっても、稼働率に余力のある製造拠点を他社に提供できれば収益源の多様化につながる。半導体不足が長期化するとの観測が強まる中、両社の協議の行方は今後のメモリ供給網の再編を占ううえで注目される。