概要

Microsoftは9月16日、Visual Studio Codeの月例アップデート「1.138」をリリースした。今回の更新は全体としてAIエージェントを日常的な開発ワークフローに組み込むことを強く意識した内容になっており、隔離された開発環境でのエージェント実行、外部AIツールとのセッション連携、増え続けるセッション履歴の管理自動化など、エージェントを「使い続ける」ことを前提にした機能が中心となっている。単発の機能追加というより、これまで積み上げてきたエージェント関連機能を運用面から補強するアップデートといえる。

Dev Containers内でのエージェントセッション実行

目玉機能は、ローカルフォルダをDev Container環境内でエージェントに実行させられるようになった点だ。設定chat.agentHost.devContainer.enabledを有効にした上でワークスペースピッカーから「Use Dev Container」を選択すると、プロジェクトが定義する依存関係やツールチェーンに揃った隔離環境の中でエージェントが作業するようになる。ホストマシンを直接汚さずに済むため、依存関係の衝突やエージェントによる意図しない変更のリスクを抑えつつ、リポジトリごとに再現性のある実行環境を確保できる。なお本機能の利用にはDockerのインストールが前提となる。

Codexセッションの拡張とセッション管理の自動化

Codexセッションまわりの機能も拡充された。GitHub CopilotとChatGPTのいずれのサブスクリプションを使うか切り替えられるようになったほか、ChatGPTアプリとVS Codeの間でセッションを継続できるようになり、ChatGPTアプリ側のコンピュータ操作機能や、VS Codeに組み込まれたツール・拡張機能・MCPツールへのアクセスも統合された。複数のツールを横断してエージェントを使う開発者にとって、作業の起点をアプリ間で行き来しやすくなる変更だ。

あわせて、プレビュー機能として完了済みセッションの自動整理が導入された。マージ済みのプルリクエストに紐づくセッションをchat.agentSessions.autoMarkAsDoneMergedSessionsAfterDaysで指定した日数後に自動的に「Done」としてマークし、さらにchat.agentSessions.autoDeleteArchivedMergedSessionsAfterDaysで指定した期間が経過すると自動削除できるようになっている。エージェントを並行して多用するほどセッション一覧が肥大化しやすいため、この自動整理は運用上の負担を軽減する狙いがあるとみられる。あわせて、エージェントセッションから直接プルリクエストを作成できるようになり、タイトルや説明、ドラフト状態、マージオプションを1つのフォームでまとめて編集できるようになった。

その他の改善点

このほか、複数セッションの中で入力待ちや確認が必要なものをタスクバーのバッジで知らせる「セッション注意バッジ」がプレビューとして追加された。オートメーション機能はデフォルトで有効化され、チーム間での共有も可能になっている。音声モードには並列で動くエージェント作業間をナビゲーションする機能が加わったほか、ローカルフォルダ・リポジトリ・リモート環境を一つの検索可能なリストにまとめる実験的な統一ワークスペースピッカーも登場した。なお、従来のチャット背景設定chat.agentSessions.backgroundImageLayoutはテーマ別設定に置き換えられ、「Chat: Clear Background」コマンドは「Chat: Set Background…」内の「No Background」オプションに統合されるなど、細かな整理も行われている。今回の一連の変更から、VS Codeがエディタとしての機能拡張だけでなく、複数のAIエージェントを日常的に運用するためのハブとしての性格を強めていることがうかがえる。