概要
データセンター開発企業Crusoe Energy Developmentは9月17日、シリーズFラウンドで39億ドルを調達したと発表した。これにより企業評価額は309億ドルに達し、AI需要の急拡大を背景としたインフラ投資競争の激しさを改めて示す結果となった。ラウンドはAtreides Management、Mubadala Capital、Valor Equity Partnersが共同リードを務め、Founders Fund、GIC、Nvidia、Qatar Investment Authority、Radical Ventures、TPGなど錚々たる顔ぶれが参加した。
資金の使途
調達した資金は主に2つのプロジェクトに投じられる。1つは、OpenAIが既に利用しているテキサス州Abilene の大型データセンター施設の建設拡張。もう1つは、Sparkと呼ばれる可搬型の小型「AI工場」の構築だ。Sparkはトラックで輸送可能なモジュール型データセンターで、大規模な建設労働力を必要とせず、任意の電力源に接続して稼働できる点が特徴とされる。従来型の大規模施設建設に比べて展開の機動性を高める狙いがあり、電力調達の制約が続くAIインフラ市場において需要地に近い場所への設置を可能にする戦略と位置づけられる。
会社の背景と事業展開
Crusoeは2018年設立で、当初は天然ガス随伴ガスの燃焼由来電力を使った暗号資産マイニング事業からスタートした経緯を持つ。その後AIインフラ事業へと大きく舵を切り、現在はMeta、Microsoft、Oracleといった大手テック企業を顧客に抱える。CEOのChase Lochmillerは「AIは豊かさの時代をもたらすと信じており、電力(電子)からAIトークンに至るまでのインフラを一貫して管理することが重要だ」と述べている。今回のラウンドに合わせ、Cloudflare CFOのThomas Seifert、Primary Digital InfrastructureのBill Stein、Redwood Materials CEO(かつTesla取締役)のJB Straubelが新たに取締役に就任した。
今後の見通し
Crusoeは既にJane Streetとの間で5年・130億ドル規模の契約を締結しており、AIインフラ需要の旺盛さを裏付けている。さらに同社はGoldman SachsやMorgan Stanleyと協議を進め、IPO(新規株式公開)も検討しているという。今回の大型調達とIPO観測は、データセンター建設ラッシュが単なる一時的なブームではなく、資本市場を巻き込んだ長期的な投資テーマへと発展しつつあることを示している。