概要
自動運転配車企業May Mobilityは9月16日、特別買収目的会社(SPAC)のACP Holdings Acquisition Corp.と合併し、企業評価額14億ドルで株式公開を目指すと発表した。ACP Holdingsはヒューストンを拠点とするAtlas Credit Partners傘下のSPACで、合併により調達される資金は3億ドル超となる見込みだ。内訳はPIPE(私募増資)による1億2,000万ドルと、SPACの信託口座に積まれた最大2億1,700万ドルで構成されるが、SPAC株主による償還(解約)状況次第で実際の調達額は変動し得る。実現すれば、自動運転配車事業に特化した米国初の上場企業となる。
資産軽量型モデルでの事業展開
May Mobilityは自社で大規模な車両フリートを保有・運用するのではなく、自動運転車両をフリート運営企業に販売し、ソフトウェア更新や遠隔監視を担うことで、ライセンス料や従量課金方式の収益を得る「資産軽量型」かつ「パートナーシップ重視」のビジネスモデルを採る。米国ではジョージア州アトランタで配車大手Lyftと提携して展開しているほか、ミネソタ州のEden PrairieやGrand Rapidsでもサービスを提供しており、日本でも試験展開を開始している。今後はテキサス州アーリントンでUberとの商業展開も予定する。事業規模はまだ小さく、2025年の収益は約1,000万ドルにとどまる一方、現金燃焼額は同年で約9,300万ドルに達しており、黒字化には距離がある段階だ。もっとも、これまでに55万回以上の有料自動運転配車と100万マイル以上の走行実績を積んでおり、実運用データの蓄積は進んでいる。
業界での位置づけと今後の見通し
自動運転分野にはTesla、Rivian、Alphabet傘下のWaymo、Aurora、Kodiakなど幅広いプレイヤーが存在するが、これらは物流や自社サービスとの統合など事業モデルが異なり、May Mobilityは配車サービス専業の上場企業という点で一線を画す。今回調達する資金は、車内に同乗する安全運転者(セーフティドライバー)の削減、サプライチェーンへの投資、新規展開地域の拡大に充てられる計画だ。収益規模に対して現金燃焼額が大きい財務状況を踏まえると、上場後は投資家から採算性改善のスピードが厳しく問われることになりそうだ。LyftやUberといった大手配車プラットフォームとの提携を軸にどこまで展開エリアを広げられるかが、今後の成長を占う鍵となる。