クーデターは33時間で終わった
WordPress.comやWooCommerceを運営するAutomatticで、CEOマット・マレンウェグ氏を有給休職に追い込もうとする取締役会の動きが表面化し、わずか1日余りで失敗に終わったことが分かった。関係者によると、取締役会は9月第2週にマレンウェグ氏を休職扱いとする決議を可決。これを受けてマレンウェグ氏は社内Slackで取締役会が自身に対して「共謀した」と非難する投稿を行い、9月11日(金)には自らの復権を発表、翌12日(土)にAutomatticも正式にCEO復帰を確認した。マレンウェグ氏が事実上の権限を失っていた時間はわずか33時間20分だったという。
取締役会総退陣とCFO・法務責任者の解任
復権したマレンウェグ氏は取締役会側の関係者を次々と排除した。創業時のCEOで現在はBlueskyを率いるトニ・シュナイダー氏、スー・デッカー氏はそれぞれ辞任し、アン・ダンウッディ退役大将はマレンウェグ氏によって解任された。あわせて、CFOで休職期間中に暫定CEOに指名されていたマーク・デイヴィース氏と、最高法務責任者のアンディ・ミサン氏も解任され、取締役会はほぼ総入れ替えとなった。Automattic側は今回の一連の退任について「マットとAutomatticの経営陣は関係者全員に大きな敬意を払っている。個々人についてコメントはできないが、彼らの貢献に感謝している」と外交的な声明を出すにとどめ、詳しい経緯の説明は避けている。
対立の背景と今後の焦点
今回なぜ取締役会がマレンウェグ氏の休職を決議するに至ったのか、その具体的な理由は明らかになっていない。ただしAutomatticを巡っては、WordPressのホスティング事業者WP Engineとの間で商標や訴訟を巡る対立が続いており、証拠隠滅疑惑やWordPressコントリビューターのアカウント停止措置など、マレンウェグ氏の強硬な経営姿勢が繰り返し物議を醸してきた経緯がある。今回の内紛も、こうした緊張関係の延長線上で起きたとみられる。取締役会と経営陣の主要メンバーがほぼ同時に入れ替わったことで、Automatticのガバナンス体制がどう再構築されるのか、そしてWP Engineを巡る係争にどのような影響が及ぶのかが今後の焦点となる。