概要

Metaは9月9日、スウェーデン・ストックホルム発のAIスタートアップStilla.aiを買収したと発表した。買収金額や具体的な契約条件は明らかにされていないが、Stillaが2026年1月にプリシード資金調達を公表してからわずか8ヶ月というスピード決定であり、Metaが同社の技術とチームを高く評価していることをうかがわせる。買収の狙いは、WhatsApp・Messenger・Instagramで展開する企業向けAIエージェント「Meta Business Agent」の機能強化にあり、Stillaのチームと技術はMeta社内に統合される見通しだ。発表を受けてMeta株は6.5%上昇し、市場もこの動きを好感した。

Stilla.aiとは何か

Stillaは、組織全体のツールやワークフローを横断して実際の業務を遂行できるAIエージェントを開発してきた企業だ。単に情報を要約・生成するだけでなく、Slack、Linear、GitHub、Notionといった主要な職場向けツールと連携し、チームが今何に取り組んでいるかを常に把握した上でタスクを代行する「マルチプレイヤーAI」というアプローチを特徴とする。創業者は元Shopify幹部のSiavash Ghorbani氏とKaj Drobin氏で、2026年1月にGeneral Catalystを主導投資家として500万ドルのプリシード資金調達を実施した際には、Shopify社長のHarley Finkelstein氏、Hugging Face共同創業者のThomas Wolf氏、ElevenLabsのCEOであるMati Staniszewski氏ら著名な個人投資家も名を連ねていた。

Metaの狙いと今後の展望

Metaにとって今回の買収は、個人向けAIエージェント「Muse」に続く布石であり、企業・消費者の双方に向けたAIエージェント展開を加速させる狙いがあるとみられる。Axiosの報道によれば、Stillaの技術は商取引のやり取りを促進するMeta Business Agentの開発に活用され、商業的な自動化取引の円滑化や加盟店のワークフロー最適化、WhatsApp・Messenger・Instagram全体でのマネタイズ強化に寄与する見込みだ。Metaはスウェーデンでの事業拡大も計画しているという。既存のStillaプラットフォームは当面顧客向けサービスとして継続運用される予定だが、長期的なロードマップの詳細はまだ明らかになっていない。今回の買収は、生成AIのロードマップを支えるために年間1300億〜1450億ドルという設備投資ガイダンスを掲げるMetaの積極的なAIインフラ投資戦略の一環でもあり、AIエージェント分野をめぐる大手テック企業間の争奪戦が一段と激しさを増していることを示している。