概要

Microsoftは.NET 11の最初のリリース候補「RC1」を公開した。正式リリースは2026年11月を予定しており、11月10日開始の「.NET Conf 2026」でのお披露目が見込まれている。.NET 11はSTS(Standard Term Support)版と位置付けられ、リリース後2年間サポートが継続されるため、2028年11月までのサポート期間が想定される。これは2025年11月にリリースされたLTS版の.NET 10が3年以上のサポートを受けるのとは対照的で、STSとLTSを交互にリリースする.NETのバージョニング方針に沿ったものだ。

ランタイムとJITの改善

今回のRC1で最も注目される変更が、ランタイムによる非同期処理のネイティブ対応だ。従来はコンパイラが非同期処理をタスクやライブラリの処理に分解した上で実行する方式を取っていたが、これをランタイムが直接扱えるようにすることで、オーバーヘッドの削減と処理効率の向上を図る。また、これまで1024個を超える論理プロセッサを持つ環境では初期化に失敗するという制約があったが、動的なCPUセット割り当ての導入によりこの上限が撤廃された。大規模なマルチコア/マルチプロセッサ環境でも.NETランタイムを問題なく動作させられるようになる。JITコンパイラ側でも最適化が強化されており、配列などのデータの境界を確認する境界チェックが不要な場面で除去されるようになるなど、実行時の安全性検証にともなう冗長な処理が削減される。

AOTコンパイラとWebAssembly対応の強化

ネイティブバイナリを生成するAOT(Ahead-Of-Time)コンパイラも性能面で改善された。複数のインターフェース呼び出しをコンパイルする際に共有ディスパッチを活用することで、生成されるネイティブバイナリの実行速度向上とサイズ縮小を両立させている。さらに、標準のCoreCLRとWebAssembly向けのCoreCLRの互換性が本格的に高まったことで、実装の統一性が向上し、両プラットフォーム間での挙動の差異が縮小される見込みだ。

これらの変更は、クラウドネイティブなワークロードや大規模並列処理、そしてWebAssemblyを含む多様な実行環境への対応を強化する狙いがあるとみられる。正式版のリリースまでには追加の修正や調整が加えられる可能性があり、今後発表される.NET Conf 2026での詳細発表が注目される。