概要

Microsoftは、投資家からの長年の要望を受け、クラウド事業Azureの実際の売上高を四半期ごとに開示すると発表した。2026年6月期(第4四半期)のAzure売上高は294億2,000万ドルで、前年同期比42%増。2026会計年度通期の累計売上高は1,000億ドルを突破し、Microsoft全体の売上高の約3分の1を占める規模に成長した。従来は成長率のみを公表し、具体的な金額を明かしてこなかったが、AWSを2015年から、Google Cloudを2020年から開示してきた競合2社に対し、開示の透明性で後れを取っていた形だった。

開示範囲とセグメント再編

新たな開示では、Azureの定義がこれまでの「Azureおよびその他のクラウドサービス」という広範なカテゴリから絞り込まれ、GitHubのクラウドサービスやSecurity Copilot、ヘルスケア関連製品などは対象から除外される。あわせて、Microsoftは2015年以来となる報告セグメントの大幅な再編も実施する。従来の3区分を、「Agents and Infra」と「Devices and Consumer」の2区分に統合する計画だ。Azureが含まれる「Agents and Infra」セグメントには、Microsoft 365 Cloudや生産性ツール、サーバーライセンス、業界向けソリューション、サポートサービスに加え、Microsoft 365 CopilotやGitHub Copilotコーディングエージェントといった一連のAIアシスタント製品も統合される。一方の「Devices and Consumer」には、Windowsライセンスや家庭用ゲーム機Xboxなどが含まれる見通しだ。

開示に至った背景

今回の方針転換は、AI関連投資が急拡大するなかで、投資家がクラウド事業の実態をより正確に把握したいという要望を強めていたことが背景にある。Microsoftはこれまでクラウド全体の成長率という形でしか実績を示しておらず、巨額の設備投資がAzure単体でどれだけの収益に結びついているかを外部から検証することが難しい状態が続いていた。新たなセグメント区分によって、AIエージェントや生成AI関連製品の収益貢献を「Agents and Infra」セグメント内でより明確に示せるようになり、投資家はMicrosoftのAI戦略の進捗をこれまでより具体的な数字で追えるようになる。

今後の展望

新たな報告体制は、2027会計年度第1四半期(7〜9月期)の決算発表から本格的に適用される予定で、これはMicrosoftにとって2015年以来となる主要な報告区分の刷新となる。Microsoftの見通しでは、次四半期の「Agents and Infra」セグメントの売上高は751億5,000万〜757億5,000万ドルとされており、Azure単体の伸びがこの新セグメント全体の業績をどこまで押し上げるかが今後の焦点になる。開示の透明性向上により、AI関連投資の収益化ペースを巡る投資家の評価がより精緻になることが見込まれる。