概要
フードデリバリー大手Delivery Heroの経営委員会と監督委員会は9月2日、Uberによる約150億ドル(報道によっては148億ドルとも)規模の買収提案を承認し、株主に応募を推奨すると発表した。両委員会は今回の提案について「会社、株主、従業員および他のステークホルダーの最善の利益にかなう」と判断し、価格も「公正かつ適切」と評価した。買収が実現すれば、Uberの配達プラットフォームは中国を除く世界で最大級の規模となり、DoorDashやJust Eat Takeawayとの競争構図を大きく塗り替えることになる。
買収の経緯と条件
Uberは2026年7月、Delivery Heroの買収で合意したと発表していた。もともとUberは買収交渉に入る前からDelivery Heroの筆頭株主となっており、今回の取締役会承認はその延長線上にある動きだ。取引の成立には、Delivery Heroの発行済み株式(資本)の50%超プラス1株分の応募が必要となる。また、Delivery Heroに17%相当の株式を保有する大株主Prosusも、規制上の条件に従い保有株の売却に同意しており、買収実現に向けた障壁の一つが取り除かれた形だ。取締役会は買収によって「製品革新が加速し、大きな追加的機会が生まれる」との見方も示している。
業界再編の流れの中での位置づけ
今回の案件は、フードデリバリー業界で相次ぐ統合の一環でもある。過去18か月ほどの間には、UberによるGetir買収(約3億3,500万ドル)、GrabによるFoodpanda台湾事業買収(約6億ドル)、DoorDashによるDeliveroo買収(約38億7,000万ドル)といった大型再編が続いている。Delivery Hero自身も直近で14市場の事業をSSW Partnersに16億ドルで売却するなど、事業ポートフォリオの整理を進めてきた。競合ではProsusがJust Eat Takeaway.comを買収するなど、各社が地域ごとの陣営を組み替える動きが加速しており、Uber・Delivery Hero連合の誕生はこの業界再編の総仕上げ的な意味合いを持つ。
今後の見通し
取締役会の支持表明を受け、取引は株主投票という最終関門を残すのみとなった。承認されればUberはヨーロッパ、アジア、中東、南北アメリカなど両社が展開する広範な地域で配達事業の存在感を一気に拡大し、DoorDashなど競合との規模の差を縮める、あるいは逆転する可能性がある。一方で、複数地域にまたがる大型統合案件であることから、各国・地域の競争当局による審査が今後の焦点となりそうだ。