概要

OpenAIで幹部の離脱が相次いでいる。直近ではデータセンター部門トップのクリス・マローン氏が退社した。マローン氏は2025年3月にMeta(5年間)とGoogle(10年以上)でのキャリアを経て入社したが、在任期間は1年半に満たなかった。同氏の管轄はサチン・カティ副社長に引き継がれ、ウデイ・ルッダーラジュ氏がデータセンターチームの統括、ブレント・メイヨ氏が構築・納入プログラム、スパス・ラザロフ氏がエンジニアリングをそれぞれ担うかたちで分割された。OpenAIは「インフラストラクチャ部門を最近再編成し、作業規模とペースに対応した」とコメントしている。

相次ぐ幹部流出

マローン氏の退社は今年に入ってから13人以上に上る幹部離脱の一例に過ぎない。これまでに、最高執行責任者ブラッド・ライトキャップ氏、サム・アルトマンCEOの側近でナンバー2とされたフィジ・シモ氏、最高収益責任者デニス・ドレッサー氏(在任8ヶ月)、最高マーケティング責任者ケイト・ラウチ氏、倫理責任者クロエ・バカラール氏、動画生成ツールSoraの責任者ビル・ピーブルス氏らが同社を去っている。離脱の背景としては、健康上の問題や、いわゆる「副業プロジェクト」を整理する組織再編、経営階層そのものの大幅な変動などが指摘されている。マローン氏が率いていたデータセンター部門は、5000億ドル規模とされるスターゲート・プロジェクトの中核を担っており、その責任者の交代は同計画の遂行体制に対する信頼性への懸念にもつながっている。

ブロックマン会長の台頭とIPOへの布石

一連の離脱の中で存在感を増しているのが、共同創業者でありOpenAI会長を務めるグレッグ・ブロックマン氏だ。マローン氏の後任体制も含め、インフラとプロダクトの各チームがブロックマン氏に直接報告する構造が強まっているとされ、2019年にサム・アルトマン氏がCEOに就任した際に薄れた影響力を、同氏が再び取り戻しつつあるとの見方が強い。OpenAIは2027年に見込むIPOに向けて収益性の改善が急務とされており、競合のAnthropicがすでに黒字化を報じられる一方でOpenAIは損失拡大が伝えられている。今回の一連の経営陣交代は、上場準備段階における典型的な経営体制の再編過程だと分析する向きもある。ブロックマン氏自身は一連の離脱について「特に異例ではない」とコメントしており、今後もIPOに向けた組織再編と権限の集中が続くかが焦点となる。