概要
The Document Foundation(TDF)は8月26日、オープンソースのオフィススイート「LibreOffice 26.8」を正式リリースした。半年ごとの定例アップデートとなる今回の目玉は、段落レイアウトを最適化する新機能や世界各国の文字体系への対応強化といった、プロフェッショナル向けのタイポグラフィ機能だ。一方で、多くの競合製品が生成AI機能の統合を競う中、LibreOfficeは今回も生成AIを一切搭載しない方針を改めて明言し、「あなたのソフトウェア、あなたのデータは、あなたのコンピューター、あなたの施設の中に」というローカルファーストの理念を前面に押し出した。
主な新機能
今回のリリースでは、段落の折り返しや配置を最適化する新機能に加え、多様な文字体系や言語への対応が強化された。国際化対応が進み、対応言語数は120言語に達したほか、スクリーンリーダーとの互換性を高めるARIAアクセシビリティ対応も追加された。インターフェース面では、Microsoft Officeのようなカラー変更可能なリボンUIが選べるようになった一方、従来型の再配置可能なツールバーに戻すオプションも維持されており、既存ユーザーの移行負担に配慮した設計となっている。
生成AIを搭載しない理由
2026年時点で主要なオフィスソフトの多くが生成AI機能の搭載を競う中、LibreOfficeが「AIなし」を明確に打ち出したことは一種の意思表明といえる。背景には、LibreOfficeのコード開発に大きく貢献してきたCollaboraが、AI統合を前面に押し出したクラウドベースのオフィススイート「Collabora CODE 26.04」を独自に展開し、TDFとは異なる路線を歩んでいるという事情もある。TDFはこうした流れとは一線を画し、データやコンピューティングをユーザーの手元に留めるローカルファーストの哲学を貫く姿勢を鮮明にしている。
展望
The Registerの記事は、LibreOfficeのようなローカルファーストのツールが、持続可能性の観点からも重要な役割を果たし続けると指摘する。クラウド前提でハードウェアの買い替えを促す製品とは対照的に、古いコンピューターでも動作するLibreOfficeは、機器の長期利用を後押しする存在だという見方だ。生成AIブームの中であえて距離を置く今回の路線が、プライバシー重視のユーザーやレガシー環境の利用者からどう評価されるか、今後の動向が注目される。