概要

ServiceNowは8月27日から28日にかけて、自社のAI Platformに存在する脆弱性4件を修正するパッチを公開した。このうち3件はCVSSスコア10.0の最大深刻度で、未認証の攻撃者がネットワーク経由・低難易度で悪用可能とされる。ServiceNowのAI Platformはフォーチュン500企業の85%以上を含む10万件超のエンタープライズAIアプリケーションで利用されており、影響範囲は極めて広い。ServiceNowは8月28日時点で実際の悪用は確認していないとしているが、企業に対しインスタンスの棚卸しや過去のアクティビティのレビューを含む早急な対応を呼びかけている。

4件の脆弱性の詳細

最大深刻度の3件のうち、CVE-2026-18885はGraphQLエンドポイントにおけるコードインジェクションの欠陥で、未認証の攻撃者による任意コード実行とデータの閲覧・改ざんを許す。CVE-2026-18886は画像アップロード処理における不適切なアクセス制御に起因し、権限昇格やデータの作成・改ざんにつながる。CVE-2026-74820は動的スキーマのORDER BY句を通じたSQLインジェクションで、攻撃者がバックエンドデータベースに対して任意のSQL文を実行できる。これら3件はいずれも認証や利用者操作を必要とせず、機密性・完全性・可用性のすべてに影響し、接続された周辺システムにも波及し得る。加えて、Now Platformのサンドボックスエスケープ脆弱性であるCVE-2026-6876(CVSS 8.7)もあわせて修正された。影響を受けるのはXanadu(Patch 11 Hot Fix 7a以前)、Yokohama(Patch 12〜13の一部Hot Fix以前)、Zurich(複数のパッチレベル)、Australia(Patch 5以前)の各リリースで、ホスト型インスタンスにはすでにパッチが適用済みだが、セルフホスト環境の顧客は自ら修正を適用する必要がある。

専門家の見解と過去の悪用実績

SOCRadarのCISOであるEnsar Seker氏は、「コードインジェクションは、信頼された企業アプリケーションを攻撃者に制御された実行環境へと事実上変えてしまう」と警告し、SQLインジェクションも同等のリスクをもたらすと指摘した。Beauceron SecurityのDavid Shipley氏は、未認証でアクセス可能な点を「格好の攻撃チェーン」と表現し、脆弱性の詳細公開からわずか15分程度で悪用が始まる可能性があると述べている。ServiceNowはIT・従業員向け業務・CRMなど複数のワークフローにまたがって利用されているため、侵害が成功すれば横方向の侵入や資格情報の悪用を通じて被害が広がりやすい点も懸念材料だ。ServiceNowを巡っては、2024年にもCVE-2024-4879、CVE-2024-5178、CVE-2024-5217の3脆弱性を連鎖させた攻撃が確認されているほか、2026年7月には未認証のサンドボックスエスケープ脆弱性CVE-2026-6875が実際に悪用され、先月には未認証のAPI脆弱性を通じて顧客データが露出する事案も発生しており、同社は脆弱性対応の実績を繰り返し問われている。

企業への推奨対応

専門家は、ServiceNowを利用する企業に対し、まず自社インスタンスのバージョンを棚卸しし、該当パッチが適用されているかを確認するよう推奨している。あわせて、連携しているインテグレーションやAPI、権限を持つサービスアカウントの見直し、異常なAPIリクエストや管理者権限の変更の監視、インターネットに公開されているインターフェースの最小化、入力値検証やパラメータ化クエリの徹底といった防御策も求められる。ホスト型インスタンスでは自動的にパッチが適用済みとされるが、セルフホスト環境を運用する組織は速やかな対応が急務であり、今回の一連の脆弱性が実際に悪用される前に、確認と対策を完了させることが重要となる。