概要

オープンソースゲームエンジンGodotの中核開発者らが設立したW4 Gamesが、Tencent主導のシリーズBラウンドで1800万ドルを調達した。これにより同社の累計調達額は3300万ドルに達する。ラウンドにはTencentのほか、OSS Capital、LUX、Naval Ravikant氏やTobias Lutke氏のファミリーオフィスも参加した。Tencentとは資金調達にとどまらず複数年にわたる戦略的パートナーシップも締結しており、W4 Gamesの共同CEOであるNicola Farronato氏は、グローバル展開を進めGodotをより多くのスタジオや開発者に届けるための重要な一歩だとコメントしている。

W4 GamesとGodotの関係

W4 GamesはGodotの創作者であるJuan Linietsky氏とFarronato氏らが設立した企業で、Godotエンジン自体を開発・所有しているわけではない。エンジン本体はMITライセンスの下で公開され、オランダに法的拠点を置く独立非営利組織Godot Foundationがコミュニティ主導で統括している。W4 Gamesはこの体制を支援する立場にあり、Foundationの理事会にも参加しつつ、エンタープライズ向けのツールやクラウドサービス、サポートといった商用レイヤーを提供することで事業を成立させている。オープンソースの中立性を保ちながら収益化の仕組みを別会社に持たせるという、近年のOSSプロジェクトでよく見られる構造だ。

資金の使途とアジア市場への展開

調達資金は主にチームの50%拡大と、エンタープライズ向けオファリングの加速に充てられる。特に注目されるのはTencentとの提携を軸としたアジア市場、なかでも中国市場への展開強化だ。Tencentは世界最大級のゲーム企業であり、その販路や技術基盤をW4 Gamesが活用できることは、Godotエコシステムがアジア地域のスタジオや開発者に浸透する上で大きな追い風になると見られる。

Godotの成長を裏付ける指標

今回の調達の背景には、Godotの急速な採用拡大がある。Steam上で公開されるGodot製ゲームのタイトル数は2024年から2025年にかけて年50%以上のペースで増加し、年間売上100万ドルを超えるGodot製ゲームはこの3年間で2本から50本以上へと急増した。またGlobal Game JamやGMTK Game Jamといったゲームジャムイベントでも、Godotの採用率は2022年の10%から現在では50%まで上昇している。UnityやUnreal Engineへの依存を見直す開発者が増える中、無料かつオープンソースであるGodotへの関心の高まりが、こうした投資家からの評価につながったといえる。