概要
医療機器大手のBoston Scientificは8月25日、サイバー攻撃を検知したことを明らかにした。翌26日にはSECへの開示文書で、この攻撃が「同社の情報システムおよび業務アプリケーションへのアクセスに障害と制限を引き起こし、今後も引き起こす見込みである」と説明し、注文処理や顧客への出荷ができない状態にあると報告した。同社はサードパーティのサイバーセキュリティ専門家を起用してインシデント対応にあたっているが、攻撃の全容や手口、財務・業務への影響、システム復旧の見通しは依然として不明としている。ペースメーカーや植込み型除細動器などを手がけるBoston Scientificは、59,000人の従業員を擁し127カ国13拠点で製造を行う企業で、年間およそ4,800万人の患者に関わる製品を提供しており、2025年の売上高は200億ドルを超える。患者データが流出したかどうかについて、広報担当者はコメントを避けている。
業務への影響と株価反応
Boston Scientificは企業インフラの多くをMicrosoftおよびAmazon Web Servicesに依存しているが、今回の攻撃がこれらのサービスに起因するかは明らかになっていない。業務アプリケーションへのアクセス制限は世界規模で発生し、これにより受注処理と顧客向けの出荷が停止している。開示を受けてBoston Scientificの株価は当日朝に4%超下落しており、投資家が業務継続性と財務への影響を懸念していることがうかがえる。ランサムウェアによる攻撃かどうか、また実際にデータが窃取されたかについて同社は明言しておらず、記事執筆時点でいずれの脅威アクターも犯行声明を出していない。
医療機器業界を狙う攻撃の連鎖
Boston Scientificへの攻撃は、医療機器メーカーを標的にした一連の事案の最新例だ。2026年3月にはStrykerがグローバルなネットワーク障害に見舞われ、イラン情報機関とつながりを持つとされるハッカー集団がMicrosoftのツールを悪用して数万台のデバイスをリモートで削除した事案が確認されている。また4月にはMedtronicがサイバー攻撃を公表し、その後ShinyHuntersが犯行を主張、氏名や社会保障番号、健康情報を含む患者データを窃取したとしている。Abbott Laboratoriesも本年標的となった企業の一つに数えられており、医療機器業界全体でサイバー攻撃のリスクが高まっていることを示している。Boston Scientificの復旧時期は現時点で明らかになっておらず、被害の全容が判明するまで業務への影響が続く可能性がある。